19年ラストマッチは韓国に敗退
森保ジャパンはE-1選手権で韓国に敗れ、惜しくも優勝を逃した(写真:松岡健三郎/アフロ)
日本、韓国、中国、香港の4カ国が韓国・釜山に集った東アジアサッカー連盟E-1選手権に、日本はJリーグ所属選手によるチーム編成で臨んだ。欧州各国リーグが開催中のためだ。
森保一監督は2019年のJリーグでMVPに輝いた仲川輝人や2020年東京五輪世代(※)を中心に、選手をセレクトした。2013年以来となる東アジアのタイトル奪還を目ざしつつ、東京五輪世代の強化と日本代表の底上げを進めていった。
12月11日の中国戦は2対1で競り勝ち、14日の香港戦は5対0で大勝した。中国は2022年カタールW杯アジア2次予選で苦戦しており、11月に監督が交代したばかりだった。香港はそもそも格下である。ヨーロッパでプレーする海外組を欠いたとしても、キッチリ勝たなければいけない相手だ。
そう考えると、E-1選手権の成果が問われるのは18日の韓国戦だった。8日の現地入りから練習を重ねていったから、中国戦や香港戦よりチームとしての練度も高まっているはずだった。
ところが、日本は0対1で敗れてしまうのだ。スコア以上の完敗だった。チームとしての連携に進歩は感じられず、個人の頑張りにも物足りなさが残った。
韓国はJリーグやCリーグ(中国)でプレーする選手を集め、W杯の出場実績を持つ選手も含まれていた。チームとしての実績や経験で日本は劣っていたが、森保監督は東京五輪で表彰台に立つことを目ざし、カタールW杯では前回以上の成績(ベスト8以上)を視野に入れている。チームの目標から判断すれば、韓国にてこずっているようでは困るのだ。
試合中の修正能力に課題が
2019年を振り返ると、韓国戦と同じような試合が少なくない。森保監督の就任後初の国際大会となった1月開幕のアジアカップでは、決勝戦でカタールに完敗した。相手の戦術にハマって前半のうちに2失点し、最終的には1対3で敗れた。11月のベネズエラ戦でも惨敗している。国内組中心の編成だったとはいえ、前半だけで4失点を喫した。
9月開幕のカタールW杯2次予選では、ミャンマー、モンゴル、タジキスタン、キルギスに4連勝し、グループ首位を快走している。しかし、韓国やベネズエラといった同等または格上との対戦では、試合中の修正能力に大きな課題を残した。主導権を握り返したり、試合の流れを変えたりすることのできる選手が、率直に言って見当たらないのである。一度悪い流れにハマると、そのままズルズルといってしまうのだ。森保監督の采配も、効果的ではない。
世代交代は進んだ
その一方で、2019年の成果をあげれば、世代交代の加速があげられる。森保監督は2018年9月の初陣から、同年夏のロシアW杯に出場していない中島翔哉(25歳)、南野拓実(24歳)、堂安律(21歳)、冨安健洋(21歳)らを積極的に起用してきた。2019年は彼らに加え、18歳の久保建英が日本代表デビューを飾った。6月にFC東京からスペインの超名門レアル・マドリードへの移籍が発表された久保は、8月開幕の2019‐2020シーズンは同国リーグのマジョルカの一員としてプレーしている。
日本代表の守備陣には長友佑都(33歳)、主将の吉田麻也(31歳)、酒井宏樹(29歳)ら、ロシアW杯出場の経験者が揃う。中盤から前線にかけては、ヨーロッパのクラブに所属するタレントが続々と台頭している。どのポジションも選択肢が増えているのは、2019年の歩みがもたらしたものだ。
20年は3月からカタールW杯アジア2次予選が再開し、9月からは最終予選がスタートする。2次予選突破は確実となっており、9月までにどれだけ地力を蓄えられるのかがポイントだ。
20年の課題は大迫不在時のオプション確立
そのうえで課題をあげるなら、「東京五輪世代からの突き上げ」と「大迫勇也に次ぐストライカーの見定め」だろう。東京五輪世代からは冨安と堂安が日本代表のレギュラー格に食い込み、久保も森保監督の構想にしっかりと入っている。彼らに続いて日本代表に定着する選手が出てくることで、最終予選への備えが万全となる。ドイツのヴェルダー・ブレーメンでプレーする大迫は、アジアカップやW杯アジア2次予選で別格の存在感を放った。彼の代役を見つけるのは簡単でないものの、最終予選はこれまでのようなその場しのぎの対応が通用しない。森保監督は日本代表で4-2-3-1を、五輪代表では3-4-2-1のシステムを軸に戦っているが、五輪後のシステムの整理と合わせて、大迫を起用できない際のオプションを固めていくべきだろう。それこそは2020年はもちろん、2022年までを見据えた日本代表のメインテーマである。