いつもと違う恋愛パターン、乗ってみるかやめてしまうか……アラフィフの恋
半世紀も生きてきて恋愛経験があれば、いつしか「自分なりの恋愛パターン」ができてしまうもの。告白がなければつきあわないという人もいれば、「いつしかつきあっている状態になっている」という人まで、さまざまである。
今までとは違うパターンの恋が始まろうとしているとき、オトナの女性が戸惑ってしまった経験談を聞いてみた。
「つきあってください」は陳腐すぎる……アヤノさんの主張
友人関係から始まり、いつしかつきあっている。あるいは一目惚れしたりノリが合ったりして一夜を過ごし、そこから恋が始まる。そのいずれかで生きてきたというのは、アヤノさん(48歳)。30代前半で短い結婚生活を送り、あとはずっと独身で生きてきた。もちろん、恋愛はたくさんしてきたし、まだまだ現役で恋をしていくつもりだ。
半年ほど前、友だちに誘われて行った飲み会で2度ほど顔を合わせたことのある同い年の男性から丁寧なメールが来た。
「あなたを見込んで折り入って相談がある、というんですよ。彼と私はたまたま仕事の業種が近かったので、仕事の話かなと思い、忙しかったけど時間を作って会いました。すると彼、なかなか本題に入らない。『ごめん、私、会社に戻らないといけないんだけど』と言ったら、急に背筋を伸ばして『本題に入ります。つきあってください』って。私、『え? 何につきあうの?』と思わず返してしまいました」
彼女にとって、彼はまったく恋愛対象ではなかったのだ。というより、恋愛が始まるほど彼と話したこともなかった。いつもの彼女のパターンでいえば、友だちの飲み会で顔を合わせ、次は友だちの中でふたりでゆっくり話し、ようやくふたりで会って親密になっていくはず。そうでなければ初回で、ふたりでホテルへでも行ってしまっているはずなのだ。
そのどちらでもないパターンに彼女は戸惑ったという。
「パターンを崩されると弱いですよね。私、なんだかしどろもどろしちゃって。でもそのあとふと疑問がわいたんです。『つきあうって何をするの?』と。そうしたら彼の目が点になった。『デートするんです』。それを聞いて申し訳ないけど笑っちゃったんですよね。どうしてそんなふうに、きちんとつきあうことを決めてからデートしなくてはいけないのだろう、だったら映画にでも誘ってくれればいいのにって」
さりげなく映画に誘って一緒に観に行き、感想を話し合っているうちに意気投合したり相手の感想に興味を抱いたり。そういうことをしないうちに、どうして「つきあう」という発想が出てくるのだろうと彼女は不思議でならなかったという。
彼にとっては、たまたま身近に現れた女性に興味を抱いただけかもしれないが、「つきあってください」は彼女にとっては言葉が陳腐すぎたのかもしれない。
突然の「結婚してください」に怒り……タカミさんの主張
オトナだからこその距離の縮め方、コミュニケーションのとり方があるはずなのに、アラフィフ男性たちは意外と恋に奥手なようだ。
「私の場合、趣味のプロ野球観戦でつきあっていたグループがあったんです。行ける人たちで集まって野球に行って帰りも時間がある人だけ居酒屋で飲む。誰が参加してもいい気軽な仲間だったんですよね。個人的な話はあまりしたことがなかった。その中のひとりが、急に帰りに『ちょっとつきあってもらえませんか』と言いだして。何か他の人には言えないことがあるのかなとつきあってみたら、喫茶店でいきなり『結婚してください』って。私も思わず笑っちゃいました」
タカミさん(46歳)はそう言って苦笑した。お互いに、相手のプライベートなことはほとんど知らないのだ。彼女はずっと独身ではあるが、そのときはつきあっている人がいた。相手のことを何も知らないままに突っ込んでくるのはせいぜい10代のすることだろうと感じたという。
「この人とは大人同士としてつきあえないなと思いました。社会人でありながら、人との距離の縮め方をまったく知らないんですから。たとえ友だちとしてつきあう場合でも、距離感ってあるじゃないですか」
いったい、社会で何を学んできたのかと彼女はだんだん怒りモードになっていく。
経験豊富なオトナ女性曰く
相手のことを知らずに「つきあってほしい」「結婚してほしい」というのは、目の前の相手でなくてもいいと思っている証拠だとタカミさんは言う。
「つきあう人がほしい、結婚する人がほしい、という訴えにしか聞こえないんですよね。まずは人間関係を深めていきたいと思うなら、もっと賢い近づき方があるはずなのに」
彼女の言い分はよくわかる。もう少しスマートに、さりげなく粋に接近していかなければ、オトナの恋は始まらないのではないだろうか。