近年のきょうだい事情
「少子化=ひとりっ子が多い」というイメージがあるかもしれませんが、国立社会保障・人口問題研究所の第15回出生動向基本調査報告(平成28年)によると、実は2人きょうだいが一番多いんです。次に3人きょうだい、3番目にひとりっこ……とこれまでは続いていました。ですが、この第15回の調査ではじめてひとりっこが3人きょうだいを上回り2番手になりました。
詳しくは「ひとりっ子は意外と少数!? 現代のきょうだい事情」をご覧ください。
なぜ、子どもが産めないのか? 同調査によると、経済的事情で子どもが産めないという回答が、バブル時代も不況のときも常に1位……。果たして本当にお金が原因なのでしょうか?
そこで実際に周りのアラフォーひとりっ子のママたちに、ガッツリ踏み込んだ質問をぶつけてみました。「なぜ、子どもはひとりっ子に?」。出てきた理由は以下の4つでした。
- 夫の育児協力が得られない、ワンオペ育児だったから
- 1人目育児がつらすぎた……大変な生活に戻りたくない
- 妊活してみたけれど授からなかった
- 「きょうだい計画」をせず、自然に任せた結果
今回はそのひとつである、「きょうだい計画をせず、自然に任せた結果、ひとりっ子になった」というケースをお伝えします。
きょうだい計画は自然におまかせ
首都圏在住のD子さん(43)は、夫と娘(7)の3人暮らし。もし授かれば2人目の子どもを生むことに、ためらいはないと言います。「娘は一人っ子ですが、私たち夫婦がそう望んだわけではなく、結果的にそうなっているという感じ。そもそも子どもを『つくる』という意識がなく、私も夫も、自然な営みのなかで妊娠するときはする、しないときはしない、と思っています。娘はきょうだいを望んでいるし、私も2人目は欲しいと思っています。ただ1人目のときと同じように、仕事や雑務などでやるべきことを優先してやってきた結果、後回しになっていますね」
旦那さんとは学生時代に出会い、31歳のときに結婚。1人目の出産はD子さんが36歳のときでした。お互い仕事が好きで熱中するタイプで、あっという間に4年がたってしまったといいます。
「仕事は好きですがストレスもたまるし、お酒を飲むことも大好きでした。次に分かっている仕事の山場が連続してあると『今、妊娠したら困るな』という思いがあって、仕事を優先させてきました」
あるきっかけで、小さいころの夢が『お母さんになること』だと思い出したD子さん。旦那さんへの気持ちに波があったので、時期を待っていたといいます。
「働き始めたら夢は仕事上のことになっていましたが、子どもを持つ選択肢をはずしたわけではありませんでした。正直なところ、夫のことは嫌いではないけど、大好きというわけでもなく、性行為をしたくないという気持ちが年々大きくなっていきました。ただ私の気持ちには浮き沈みがあるので、そろそろ子どものことを考えようかなという時期と、気持ちが盛り上がるタイミングを待っていたという感じでしたね。いざ妊娠すると戸惑ってしまいましたが、大切な機会が来たと思って向き合ったつもりです」
冒頭のデータによると、子どもの数が想定より下回る理由は「経済的理由」、40歳以上に多いのは「健康上の理由」。D子さんは後者の心配があるようです。
「いつもお金のことは気にしません(笑)。足らなそうなら、稼ぐしかないので。身体的な理由としては思うことはたくさんあります。いま43歳で毎日どこかしら痛いし(笑)、1人目のときより私も親も体力はなくなるからお世話の負担は増えるわけで。高齢出産のリスクとして、赤ちゃんが障がいをもって生まれてくることもありえますよね。下手したら私は出産で死ぬかも、と思いますが、考えてもしかたないな~と、一周しました。もし、もう一人生まれたら、娘は姉として成長したり、夫はもっと家族と向き合うのではという期待もあって、リスクより家族が増えたらいいなという気持ちが少し多い、といった感じですね」
仕事をしながら、いつ生むか
結婚とやりがいのある仕事を両方手にしているアラサー女性の一番の迷いどころは、「いつ生むか」ではないでしょうか。高齢出産になる前に生んでおきたいという思いと、目の前の仕事にのめりこんでいると、妊娠は「ジャマ」とさえ感じる……でも子どもを持たないのもどうかな……なんてことの葛藤です。仮に、夫婦で仕事と妊娠の両立プランを決めたとしても、妊娠は計画どおりにいくとは限りません。D子さんの「自然におまかせ」というのは無計画のように見えて、一種のあきらめと現状を受け止める力が合わさったもの。いわば不都合を飲み込む力であり、そのマインドになれるのであれば、女性のライフステージを進めていく対応策になりえると感じました。