近年のきょうだい事情
国立社会保障・人口問題研究所の第15回出生動向基本調査報告(平成28年)によると、現代日本の家族では2人きょうだいが一番多いのだそう。この調査は、同研究所によってほぼ5年ごとに国内の結婚、出産、子育ての現状についてかなり詳しく報告されています(詳しくは記事「ひとりっ子は意外と少数!? 現代のきょうだい事情」参照)。ふたりきょうだいが一番多い中、ひとりっ子のママたちはなぜもうひとりを産まなかったのか。周囲にヒヤリングをかけた結果、望む・望まないにかかわらず「2人目を生まない理由」、出てきたものは以下の4つでした。
- 夫の育児協力が得られない、ワンオペ育児だったから
- 1人目育児がつらすぎた……大変な生活に戻りたくない
- 妊活してみたけれど授からなかった
- 「家族計画」をせず、自然に任せた結果
今回はそのひとつである、「妊活してみたけれど授からなかった」というケースをお伝えします。
妊活で授からないまま
妊活のフェーズにはタイミング法、人工授精、体外受精があります
「私は子どもは2人いるもの、と思い込んでいるところがあるんです(笑)。娘の世話はずっとワンオペだったので、手がかからなくなった3歳頃から2人目を意識していました。でもなかなか授からず、妊娠しても流産してしまって。落ち込んだりお休みしたりしていたら、かれこれ4年くらい妊活している状態になっています」
旦那さまはきょうだい計画をどう考えているのでしょうか。
「夫は、子どもは1人でも2人でも、どちらでもいいと言っています。夫が『2人欲しい』と言ってしまうと、自分も妊活をがんばる責任が出てきてしまうので、あえて言い切らないのだと思います。妊活を始めたころは、タイミング法を試していましたが、機械的な行為が続くと『俺は機械じゃない』と断られたこともあります」
タイミング法は、妊娠しやすい時期に自然なかたちで夫婦生活を持つもので、チャンスは妻が排卵する直前のみ。行為は自然なかたちだけれど、目的はスキンシップではなく妊娠というドライさから、夫側の気持ちがついていけないこともあると聞きます。
「タイミング法は何度も試しましたが、このまま継続しても妊娠は難しいと言われました。血液検査では卵子の数が少ないことも分かり、妊娠できるリミットが近づいているので、次の人工授精(精子を管で子宮に送る)の段階はすっとばして、体外受精(卵子と精子を採取して、いったん培養液で育てる)に移行しています。ですが、成功はしていません」
休養をもうけながら体外授精を1年ほど続けているというC子さん。通院のコストや心身的負担はないのでしょうか。
「体外受精は、メンタルも、時間も、コストもすべてにおいて負担があります。うまくいっていないので、時間がたつほどナーバスになってきついですね……。身体的には、常に体調管理を心がけて薬を飲まなきゃいけないし、通院回数も多く、予約していても待ち時間は長いです。毎回採血や内診をして、とやることが多いので、卵子が育たなかったときは、がっくりきます。夫は今のところ協力してくれていますが、私だけが妊活をがんばりつづけることもどうかなと思って……妊活をいつやめればいいのか悩んでいます」
心身とお金と時間の消耗戦「妊活」のやめどき
妊活が成功しない場合「いつやめるか」が女性の負担となっていきます
特に体外受精は、治療のために身体的、精神的、経済的、時間的負担がかかり、夫と足並みをそろえなくてはならないハードなもの。C子さんとは別の女性の例で、自ら定時にホルモン剤を注射しなければいけない方もいました。
何度か治療に挑戦しても結果が得られなかった場合、「次で妊娠するかも」という淡い期待と、のしかかってくる負担がせめぎあい、いつ妊活をやめるかという悩みが出てきます。医療費や年齢で区切ることは合理的にみえますが、本人はスッパリ諦められるものでしょうか。
きょうだい計画は夫婦二人で考えることであり、妊活はそこへ医師が介入していきチーム性を帯びます。ですが結局のところ、妊活は妊娠する性である女性の納得と決断によるところが大きいとも思います。