女性の健康

40代の口臭は消せる?生活改善や食事法も効果

【漢方薬剤師が解説】40代の方から多く寄せられる「口臭」の悩み。歯周病や虫歯などの明らかな原因がある場合は治療が第一ですが、はっきりした原因が無い場合は体質改善も考えてみるのが良いでしょう。中医学で考える口臭の原因となる体質の特徴と、食生活を始めとしたそれぞれに有効な対処法を解説します。

住吉 忍

執筆者:住吉 忍

薬剤師 / 妊活サポートガイド

40代の口臭の悩み……病気ではなく体質の場合も改善可能?

口臭の悩みのイメージ

口臭は体質だから仕方がない? 病院受診をするほどではなくても、気にしている方は少なくありません


漢方相談では、病気による不調のお話だけでなく、全身の不調やお悩みについて伺います。東洋医学は「病気を治す」というよりも、「人を治す」、つまり、病気の原因となる不調を取り除く医学だからです。
 
そういった相談の中で40代の方から多く寄せられるお悩みの一つに、ご自身の臭い、なかでも「口臭」があります。「最近、自分の口臭が気になるのですが、これは体質なのでしょうか?」といったものです。病気というほど深刻ではないものの、ちょっとした悩みになっている方は珍しくありません。
 
実際に、患者さまの状態を把握するためには、問診での回答だけでなく、「聞診(ぶんしん)」も行います。「聞」は「きく」ことですが、声の調子や、呼吸音だけなく、体臭や口臭などの臭いを嗅ぐことも含まれます。
  
患者さまから口臭を感じる時は、その口臭がなぜ起こっているのか、を探ることが体質判断の大切なヒントとなります。ご自身も意識をされている場合には、口臭対策用のマウスウォッシュや歯磨き粉、口臭対策用のガムを噛むことでケアをされていることもありますが、体質から考えられる原因をケアをすることで、口臭予防に繋がることがあります。
 

口臭の原因・口臭改善に効果的な生活習慣や食事のコツはあるのか

口臭の原因が歯周病や虫歯などの歯や口腔内の病気の場合、それらを治療する必要があります。しかしそれらのはっきりした原因が無い場合、体質改善も考えてみる必要があるでしょう。
 
中医学で考える口臭の原因となる体質に、「胃熱(いねつ)」「胃陰虚(いいんきょ)」「肝火犯胃(かんかはんい)」などの胃の不調があります。それぞれの特徴と、対処法について、以下で解説します。
 
■胃熱とは
胃熱とは、暴飲暴食、刺激物や味付けの濃いもの、脂っぽいもの、アルコールなどが原因で、熱邪(熱の邪気)が生じた状態です。胃熱があると口臭が強くなることがあります。

胃熱の方の特徴としては、上記のような食生活が多かったり、口内炎ができやすい・舌が赤い、舌の苔が黄色いなどの傾向が見られます。
 
思い当たる方は、食生活を見直すのもひとつの手ですが、外食が続いている方や、刺激物やアルコールを多飲した後は、漢方薬の「黄連解毒湯」を飲んでおくのも予防になります。
 
胃熱改善におすすめの食材とは、熱を冷まし、胃の働きを整えるキャベツ、きゅうり、白菜、大根、ナス、アスパラガスなどです。これらを積極的に食事の中に取り入れてみましょう。
 
■胃陰虚とは
胃陰虚とは、体を潤す陰液の不足で相対的に熱が過剰となり、熱邪となっているような状態です。口の中がねばつき、唾液が少ないなどが胃陰虚の特徴です。舌が乾いて赤く、苔が少ないことが多いです。

陰液を増すためには、漢方薬の「麦門冬湯」が奏功することもあります。また、夜更かしは陰の消耗に繋がりますので、早寝をすることが、胃陰虚による口臭の予防になることがあります。
さらに、お煎餅や、クッキーなどの焼き菓子は、胃の潤いを奪うことに繋がるので、多食することは控えましょう。
 
胃陰虚におすすめの食材としては、トマト、レンコン、梨など、体を潤す作用のあるものがおすすめです。また、お肉を召し上がる時には、潤す作用のある豚肉が良いです。
 
■肝火犯胃とは
肝火犯胃とはストレスが原因で、胃の働きを侵しているような状態です。ストレスで口臭が強くなったり、胸焼けや胃酸が上がるような感覚がある場合があります。

漢方薬では、ストレスを緩和する「四逆散」などの処方が奏功することがあります。また、香りの良いものを嗅いだり、のびのび過ごすことも大切です。
 
肝火犯胃におすすめの食材としては、熱、炎症を抑える作用のあるゴボウ、めぐりが悪くなった「気(生命エネルギー)」を整える働きのあるセロリ。また、香りの良いハーブティーや、少量の柑橘系の果物を取り入れるのがおすすめめです。
 
上記で挙げた漢方薬は、全てドラックストアでも購入できますが、体質の見極めは重要ですので、まずは専門家に相談の上で取り入れていただくことをおすすめします。
 

漢方の副作用……発疹、下痢・便秘など

また、体質にあっている漢方の場合には副作用は出にくいものの、服用後に気になる症状が出る場合があります。一例としては、発疹、浮腫み、下痢、便秘などです。これらの症状が出た場合には服用を中止し、医師・薬剤師に相談するようにしましょう。
 

口臭の不安で人との交流を避ける前に、体全体の見直しを

口臭の悩みは、人に相談しづらく、また自分では程度がわかりにくいため、「周りにどう思われているのだろう……」と不安を感じやすいものです。手軽に購入できる口臭ケア製品で症状やお悩みが緩和できれば良いのですが、なかなか改善が見られない場合、口臭は治せないと諦めてしまい、人との会話自体がストレスになってしまうこともあります。

口臭の原因は様々。歯周病予防などの口腔ケアをしてきたけれど改善しないという方は、ご自身の体全体の状態を見直してみるのもおすすめです。
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