オトナ婚~してみてわかった、結婚に向いていない私
「人として生まれたからには一度くらい結婚してみたい」と言う独身女性は多い。仕事も充実しているけど、この先の老後を考えると不安。そんな気持ちからオトナ婚してみたら……。
お互い初婚でギクシャク
「うーん、女性のことをまったくわかっていない人でした。まあ、私のほうも男性のことをわかってないんでしょうけど」
半年でスピード離婚したフミカさん(51歳)は、ケラケラと笑いながらそう言った。50歳を目前にして、「猛烈に寂しくなって」、シニア向けの婚活パーティに行ったら、3歳年上の男性と意気投合。お互いに初婚で、身寄りがほとんどないところも似ていた。
「私はお試しで同棲してみようと言ったんですよ。だけど彼はどうしても婚姻届を出したい、と。お互いに残りの人生、時間も少ないからじゃあ、すぐに結婚しちゃおうかと。知り合って1カ月で婚姻届を出して、友人を集めてパーティやって。だけど彼のほうは会社の人が数人来ただけ。え、友だちいないの?とちょっと驚きました」
彼女は自分の所有するマンションをキープしたまま、身の回りのものだけ持って彼の家で同居を始めた。
「家もそんなに遠くなかったから必要なものはすぐ取りに行けるし、たまにひとりになりたくなるかもしれないと思ってキープしておきました。いきなりマンションを売りに出して結婚なんていうリスクはとりたくなかった」
一緒に住んですぐ、お互いにギクシャクすることに気づいた。夫となった人は夜、お風呂に入るが、フミカさんは長年、朝風呂派。朝、どうしても洗面所で彼とかちあってしまう。夫はなかなか洗面所が使えないことにイライラ。
風呂に入る前に食事をとっていた彼女だが、時間をずらすためにお風呂後に食事をすることにした。
味の好みが合わない
フミカさんは長年、自炊しているので料理を作るのはお手のもの。だがこの料理が彼の味覚に合わなかったという。
「彼はずっと外食ですから、濃い味が好きなんですよね。私が作った料理すべてに醤油とかソースとかかけて食べている。健康診断にひっかかっているんだから薄味にしたほうがいいと言っても聞く耳を持たない」
好きなものはラーメンやハンバーグなど。子どもが好きなものばかりだ。
「そのうち彼は、外食してくるからいいと言い出して。ひとりで作ってひとりで食べるようになりました。テレビをつけても、彼はバラエティばかり。結局、私は自分の部屋とされた場所にこもって別の番組を見たり読書をしたり」
そんな生活が続くうち、「これって彼の部屋でひとり暮らしをしているだけのこと」だと思い至った。休日も、彼はどこにも出ずに家でゴロゴロ。フミカさんはスポーツジムへ。一緒に楽しめるものは何もなかった。
「話題の映画を観に行こうと誘っても、『そのうちテレビでやるでしょ』っていう感じ。最初に会ったとき、どうして意気投合したと思ったのかというと仕事の話だったんですよね。お互いに金融業界にいるので……。あ、そうか、ただの友だちでいればよかったんだと気づいたのは2カ月ほどたったころでした」
フミカさんは自宅に戻った。夫は追いかけてもこなかった。そのまま数カ月がたち、「離婚しようか」と電話をかけると「そうだね」という返事。
「お互いに恋愛経験も少なくて、大人になってから誰かと一緒に住んだこともない。そんなふたりがともに暮らすのは最初から無理だったのかもしれませんね」
平日はひとりの自宅でくつろぎ、週末はひとりで映画を観に行ったりジムに出かけたり。ときどき友人たちと食事をする日常に戻った。
「一度は結婚という夢を叶えてみたら、たいした夢じゃなかったことがわかったというところですね。でも、もし二度目があるとしたら今度はもっと慎重に相手を選べるような気がします」
フミカさん、懲りてはいなかった。定年退職のころを見据えて、再度、ゆっくり婚活に励むと断言した。