毎年数千人規模で増え続ける不登校の数、その引き金になっている要因とは

見える現象は同じ”不登校”でも、そのきっかけは1つではない

見える現象は同じ“不登校”でも、そのきっかけは1つではない

不登校になる子供たちは年々増加しています。小・中ともに毎年何千人もの規模で、その人数が増えているのは異常事態といえます。

ここでは、何がその引き金になっているのか、不登校になるきっかけについて見ていきます。

 

不登校の定義と現状~中学生の約30人に1人

「不登校」とは、
  • 何らかの心理的、情緒的、身体的、あるいは社会的要因・背景により、児童生徒が登校しない、あるいはしたくともできない状況に置かれ、
  • 年度間に連続又は断続して30日以上欠席している状態
  • ただし、「病気」や「経済的理由」による者を除く
とされています。

文部科学省が毎年行っている調査によると、平成29年度の不登校児童生徒は、
  • 小学校(国立、公立、私立含む)35,032人
  • 中学校(国立、公立、私立含む)108,999人
小・中ともに、前年度と比べ、約5,000人ずつ増えていることになります。
 
児童全体の人数から見た割合を見ても、
  • 小学校で0.54%の児童が不登校(185人に1人)
  • 中学校で3.25%の児童が不登校(31人に1人)
と、中学校ではクラスに1人は不登校の子がいる割合になっています。

小学校と中学校を比べると、圧倒的に中学校の方が不登校生徒が多いのですが、小学生も高学年になるほど、不登校の割合が増えていきます。1年生では1692人だったのに、6年生になると10,894人にまで膨れ上がるのです。

 

不登校になる理由はいじめや勉強だけではない

ひと言で不登校といっても、そのきっかけは様々です。ここでは、文部科学省が行った「不登校実態調査」の結果から、不登校のきっかけを見ていきましょう。

この調査では、平成18年度に不登校だった生徒を対象に、5年後の状況を追跡調査、それを「平成18年度不登校実態調査」として、平成26年度に公表しています。

対象者へのアンケートでは、不登校のきっかけについて、次のようにたずねています。

「あなたが学校を休みはじめた時のきっかけは何ですか。思いあたるものすべてに○をつけてください」

回答は次表のとおりです。回答が多かったものから順に並べてあります。
「不登校に関する実態調査」 ~平成18年度不登校生徒に関する追跡調査報告書より

「不登校に関する実態調査」 ~平成18年度不登校生徒に関する追跡調査報告書より


「その他」と「とくに思いあたることはない」を除いても、そのきっかけは12個もあります。不登校というと、真っ先に思うのが、いじめがあったのではないか、学校の勉強で悩んでいるのではないかということですが、このような人間関係によるもの、学業に関するものによる要因のほかにも様々なことがきっかけとなりうることが分かります。

 

以前はなかった新たな要因が不登校のきっかけに……

上の表では、参照として右端に「平成5年度不登校実態調査」のデータを載せてありますが、それを見るとあることに気がつきます。当時は、「生活の乱れ」「インターネット、メール、ゲームなどの影響」は項目として存在していなかったのです。

平成5年といえば、1993年。今から25年以上も前です。タブレットやスマホもない時代でしたので、子供たちの遊び方や生活スタイルも今とは大きく違うわけです。今では、不登校のきっかけとして、
  • 生活リズムの乱れと答えた子が34.7%
  • インターネット、メール、ゲームなどの影響と答えた子が15.6%
これらは、新たに不登校の要因として加わったものと見なしていいのではないでしょうか。

この設問では複数回答が可能となっていますので、生活の乱れやネットによる影響だけが不登校を引き起こしたとは限りません。人間関係の悩みを機に、ゲームにのめりこんだり、また逆に、画面に向かう時間が長いために、対人コミュニケ―ションが苦手になったりというケースもあるでしょう。

いずれにしても、インターネットやメール、ゲームなどは節度を持って使わないと、不登校を加速、複雑化してしまいかねない要素があると考えられます。

文部科学省は、「不登校児童生徒への支援の在り方について」の中で、「不登校児童生徒への支援は“学校に登校する”という結果のみを目標にするのではなく……」と言っていますが、「不登校⇒登校⇒OK」とすべきでないのは、何がきっかけで不登校になったのかという背景に目を向けないと、持続的な解決には至りにくいからです。見える現象は同じでも、そのきっかけはその子それぞれ違います。ましてや、上記のように、さらなる要因が不登校に拍車をかけている時代ですので、なおさら背後にある要因を深く理解しようとすることが大切といえます。


■参照:「不登校に関する実態調査」 ~平成18年度不登校生徒に関する追跡調査報告書
 

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※乳幼児の発育には個人差があります。記事内容は全ての乳幼児への有効性を保証するものではありません。気になる徴候が見られる場合は、自己判断せず、必ず医療機関に相談してください。