家事も、精神的にも……私は夫の「母」じゃない!
夫と妻、大人同士なのだから補い合えればいい関係になれるはずなのだが、夫に甘えられすぎて「私だってしんどい」と訴える妻は少なくない。
私も慰められたり褒められたりしたい
30歳のとき、同い年の男性と結婚。11歳と9歳の子どもたちを育てながら仕事も続けているエリナさん(43歳)。
「40代に入ってから、なんだか夫が弱気になって。以前は仕事の愚痴は家庭に持ち込まないようにしようと夫が言っていたのですが、このところ夫は口を開けば愚痴ばかり。もちろんなるべく聞くようにしてきました。私だって、子どもたちの話は最優先で聞きたいし、本当は愚痴ったり相談したりしたいこともある。でもそれを押し殺して夫の愚痴を聞くことに疲れ果ててしまったんです」
エリナさんは、母親と確執があり、結婚後もほとんど母とは関わっていない。幼いころから2歳年上の姉と比べられて育ち、「自分は愛されていなかった」という思いが強いのだという。
「ただ、子どもを愛することで自分の心の穴を少し埋めることができるようになったんです。小さいうちは無条件に私を頼ってきたから。でも子どもには子どもの意志があり、今はもう自分の意志で動いている。私はサポートするだけ。だったら夫に愛情を注げるだろうと思われるかもしれないけど、そうじゃなくて私も誰かに褒められたり慰められたりしたいんです、正直言って。夫の母親としてふるまうことに疲れて」
夫も部署が異動になって大変なことはわかっている。それでも心の底に「私はあなたの母親じゃない」といいう思いがふつふつとわいてくる。
なんとかガス抜きしながらやりくりしている
一方の夫は、専業主婦の母親に大事に育てられた過去をもつ。結婚前に夫の実家に行ったときも、母にいちいち了解を求める彼の姿に、若干の不安を感じたことがある。「だから結婚するとき、私はあなたのお母さんみたいにあなたをケアできないからね、大人なんだから大人として対処してねと言ったんです。夫は『オレが家庭を守るよ』なんて頼もしいことを言っていたんですが。今は自分の迷いや悩みをストレートに私に投げかけてくるので、ちょっとつらいです。相談ならまだいいんだけど、愚痴の垂れ流しになっているので、彼自身のためにもよくないなと思っています」
そんなエリナさん、夜中にかわいい犬や猫の動画を観ることで自分を癒やしている。時間を気にして15分だけと決めているが、ときには1時間近く観てしまうことも。
「少しそうやって自分を甘やかすことも重要かなと思っています。若いころ、やはり悩みが多くて占いにはまって散財した経験があるので、そちら方面にはいかないようにしようと、なんとかがんばっているところです」
思い切って夫を突き放せればいいのだが、夫の気弱さを理解しているだけに無碍にもできない。夫は「黙って褌を締め直せるタイプではない」のだという。
「どうやって締め直せばいいのと叫びまくって助けを呼ぶタイプ(笑)。ただ、私にも限界があることはわかってほしいので、ときどきチクりと言うんですけどね、どこまで理解してくれているのか」
夫と同じ土俵に立って、きっちり組み合って家庭を築いていきたい。そう願う妻は多いのだが、その願望を満たしてくれる夫は少ない。