年金

フリーランスなら知っておきたい社会保険とリスクへの備え(3ページ目)

私たちの生活には様々なリスクがあります。それらのリスクに対してすべて自分だけで備えようとしても限界があります。リスクに対して社会全体で備えるしくみが社会保障制度です。そして、社会保障制度の中で中心となっているのが社会保険です。今回は働き方が多様化する現在において、フリーランスとして働く場合の社会保険とリスクへの備えについてみていきます。

原 佳奈子

執筆者:原 佳奈子

年金入門ガイド

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フリーランス・個人事業主は、会社員に比べると保障内容が限定されます。

フリーランス・個人事業主は、会社員に比べると保障内容が限定されます。

 

労災保険・雇用保険とは

会社員など、雇用されて働く人が加入する社会保険制度は、狭義の意味において「労働保険」と呼びます。具体的に労働保険とは雇用保険と労災保険です。雇用保険は、失業時の所得の保障を中心に給付を行います。労災保険は、業務上または通勤途中の災害により、けがや病気、障害・死亡といった事態になった場合に、本人や遺族に対して所定の保険給付を行います。
 
●労災保険とは
会社員の亮介さんが仕事中にけがをした場合や仕事が原因で病気になった場合は、認定されれば、労災保険から給付が行われます。病院で治療を受けたり入院したりしたときの費用は、全額、労災保険でカバーされます。健康保険と異なり、3割の自己負担がありません。場合によっては、通院に伴う交通費等も労災保険から支給されます。また、療養のために会社を休んだ場合は、休業補償の給付も行われます。
 
一方、フリーランスの健介さんが、業務中にケガをした場合であっても、労災保険の適用はありません。国民健康保険の給付の対象となるので、治療かかった費用の3割の負担が必要となります。なお、費用が高額となった場合は、高額療養費の対象となり負担の上限額は抑えられます。
 
●雇用保険とは
また、会社員の亮介さんの会社が突然倒産してしまって失業状態になってしまったような時には、失業している期間の所得保障として、雇用保険から基本手当が支給されます。いわゆる失業手当です。ただし、自己都合で辞めた場合には3か月間基本手当をもらえなかったり、ハローワークの指定日(失業認定日)にハローワークに行かなかった場合には、基本手当をもらえません。なお、それぞれの方の勤務年数、離職理由、年齢により基本手当を受ける日数(支給日数)が決まっています。
 
一方、フリーランスの健介さんが自営業を辞めたとしても、自営業者に雇用保険はないため、基本手当等の支給はありません。収入がなくなる時期に備えた所得保障などを考えておく必要があります。
 

自営業者の社会保険給付の留意点

ここまで、フリーランスなら知っておきたい社会保険を会社員と比較しながら見てきました。生活していく上でのリスクに備えた社会保険制度。知っているか知らないかで差が出ます。特に、フリーランス・個人事業主は、会社員に比べると保障内容が限定されます。
 
社会保障制度の中の社会保険を全体で見たとき、フリーランス・個人事業主が受けられる給付を整理してみることが重要です。そのうえで、会社員と比べて給付が薄い部分に対しては、自分で早めに備えることが、今後ますます重要となるでしょう
 
いざという時の社会保険給付など、知らないと損することも多いので、正確な情報を収集して、日々安心して過ごしていけるよう、自分にとって必要な部分はどういうところなのかを把握したうえで、リスクにも備えておくことは大切でしょう。
社会保障制度の参考

社会保障制度の参考
 

※この記事は、掲載当初協賛を受けて制作したものです。

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