亀山早苗の恋愛コラム

最愛の夫が糖尿病になり…"夫婦関係"はどう変わった?

長年、結婚生活を送っていると、何もなく平穏に過ごす時期がいかに少ないか、それがいかに貴重かがわかってくるものなのかもしれない。マリエさん(46歳)の夫は糖尿病と診断された。幸い、薬を服用しながら仕事は続けているが、男女としての関係はなくなっている。

亀山 早苗

執筆者:亀山 早苗

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糖尿病の夫に浮気を勧められて

浮気すすめ

長年、結婚生活を送っていると、何もなく平穏に過ごす時期がいかに少ないか、それがいかに貴重かがわかってくるものなのかもしれない。マリエさん(46歳)の夫は糖尿病と診断された。幸い、薬を服用しながら仕事は続けているが、男女としての関係はなくなっている。

 

 

夫のことは大好きだけれど

10歳年上の夫と結婚して18年。マリエさんにとって、夫は大事な人だ。

「仕事でうまく人間関係を築けず、ぼろぼろになっていた私を救ってくれたのが会社の先輩だった夫。人間関係で過敏になるな、仕事は必死に取り組めば誰かが見てくれると励ましてくれ、ある程度、仕事で評価を得たところで結婚したんです。逃げの結婚だったらきっとうまくいっていなかった」

妊娠がわかって退職、ふたりの子をもうけてマリエさんはパートで働いている。

「夫は仕事人間だけど家庭も大事にしています。子どもたちが小さいときはよく、ふたりを遊びに連れ出して、私がひとりで好きなことをできる時間を作ってくれた。気持ちがやさしいんです。そんな彼が糖尿病と診断されたのは3年前。彼の両親がふたりとも糖尿病だったから気をつけていたみたいですが、それでもやはり予防しきれなかった」

入院治療したことである程度、よくはなったが、薬は手放せない。マリエさんも夫の食事にはことさら気を遣い、一生懸命勉強もした。

「ただ、性機能だけはどうもダメみたいなんです」

子どもが大きくなっても、夫婦は週に1、2度必ず愛を確認してきた。セックスレスなんて自分たちには関係のない言葉だと思っていた。だが夫が病気になってから、どうがんばってもできなくなってしまったのだという。

「私は抱き合うだけでもよかった。でも夫にしてみれば、『したい気持ちはあるけど、できないのがつらい』と。だからスキンシップも避けたいみたいなんですよね。私は夫のことが大好きだから、その気持ちもよくわかりました」

一緒に寝ていたダブルベッドを、シングルふたつに変更、ベッドの間には少し距離がある。

 

 

我慢がイライラを招いて

それまで満たされていたから気づかなかったのだが、夫とレスになってみるとマリエさんはだんだん気持ちが乱れていった。

「自分でも抑制がきかないくらいイライラして子どもに八つ当たりしてしまっては落ち込んで。たまに夫が抱きしめてくれると、かえってせつなくて泣いてしまう。性欲が満たされないからイライラしているんだ、と思いたくない。私はそんな女じゃないってなぜか虚勢を張って。でもやっぱりイライラするんですよ」

夫が見かねてセルフプレジャー用の商品を買ってきてくれたこともある。だがマリエさんは使うことに抵抗があった。それまで自分でしたことがなかったのだ。

「そのうち、夫が『マリエ、浮気してもいいよ』と言い出した。オレはマリエを満たしてやれない。きみがイライラしているのを見るとせつないし悲しい。もしチャンスがあるなら、他の男性としてきてもいいんだよって。夫にそう言わせてしまった自分が情けなくて……」

そんなことはできない、あなた以外の人とする気にはなれないと夫にしがみついて泣いたという。

「あれから夫は何も言いませんが、最近、私もそろそろ限界かなと思うようになっているんです。今、パート先で知り合った男性が気になって。先日、ふたりでお茶したんですが、あちらも既婚者で、奥さんが病弱だということがわかった。似たような境遇なんだねって共感しあったんですよね。たぶん私がその気にさえなればいいんだとわかってはいる。あと一歩、踏み出してしまおうかと思いながら、やっぱりそれは病気の夫に申し訳ないという気持ちもあって苦しいんです」

おそらくマリエさんの気持ちは、彼とつきあうことを望んでいる。何もしなければ夫への愛を貫いたことになるのか、それとも穏やかに夫と接するためにも彼とつきあったほうがいいのか、誰にも答えは出せないのかもしれない。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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