アドバイス1 経済的には、今のペースで100歳まで安心なので、体調優先で
病気治療、お辛かったことでしょう。治療を乗り切られ、前向きに考えられているのは、とても素晴らしいです。あささんが60歳まで働き、その後、悠々自適に楽しまれるためには、その時点までに、いくら貯められるかがポイントになりますが、今の生活、貯蓄のペースを続けていけば、十分、趣味の旅行を楽しむことができます。経済的なことは、どうぞ安心してください。今は、体調を整え、どうか無理のないように過ごされてください。特に、ストレスを溜めることがよくないと聞きます。家計支出も特に問題ありませんから、無理に節約したり、生活を切り詰めず、ゆったりとした生活を送られてください。
アドバイス2 65歳時点で2000万円。年金+アルファで生活費はOK
現在の資産は2000万円。毎月8万円にボーナスから50万円の貯蓄ができていますから、年間で146万円。60歳まで働くとして、13年間で1898万円貯められることになり、合計で3898万円。これに退職金を加えると、60歳時点で約4400万円ということになります。退職後、マンションを1400万円(1200万円+諸費用)で購入しても、残りは3000万円あり、これまでかかっていた住居費は3万5000円(管理費、修繕積立金など)程度に抑えることができますから、支出も今より減らすことができます。
65歳からの年金受給までの間、支出は毎月17万円程度で、年間204万円。5年で1020万円は、貯蓄から取り崩すことになります。それでも、65歳時点で約2000万円残ります。
65歳からは年金生活になりますが、おそらく、月13万円程度の年金額になると思われるので、収支の差額は4万円。年間で48万円のマイナスになります。
しかし2000万円残っているわけですから、年48万円のマイナスであっても、使い切るまでに41年、つまり、あささんが106歳まで何の心配もなく、これまでどおりの生活が過ごせるのです。趣味のご旅行も、現在はボーナスから25万円使っていますが、そのまま80歳まで続けるとしたら、趣味・旅行費で500万円は別途かかります。それでも、1500万円は余裕で残るわけですから、何の問題もないでしょう。
アドバイス3 趣味の旅行費用で調整できれば、60歳前の退職も可能
あささんは、60歳まで働く意向とのことですが、万一、体調がすぐれないなど、今のような働き方ができなくなった場合のことを考えてみましょう。仮に55歳で退職されると、年間の支出として生活費+旅行費用25万円の約230万円が必要になり、60歳までの5年間で1150万円使うことになります。こうなると、やや老後の生活に不安が残りますので、その際には、体調次第ですが、年間100万円程度の収入を得ることと、楽しみではありますが、旅行費用を少し抑えるなどで、調整できれば、65歳時点で1000万円は残る計算になります。あささんの生活スタイルなら、1000万円あれば、85歳~90歳まで、問題なく過ごすことができると思います。
最後に保険についてですが、現在加入中の医療保険は、あささんの気持ちが割り切れるなら、解約しても構いません。高額療養費制度によって、一定額以上の負担はありませんし、会社の健保からの負担もありますから、貯蓄から持ち出しても、それほど大きな金額にはならないでしょう。
経済的なことは何も心配いりませんから、今は、体調管理を優先して、趣味の旅行を楽しまれてください。
相談者「あさ」さんから寄せられた感想
今のペースで貯蓄できれば、ひとまずどうにかなりそうで安心いたしました。保険についてはプランの見直しなどを検討したいと思います。誰に残す必要もないお金ですが、頼るのもお金しかありません。足りなくなるよりは余らせるくらいが◎として、今後も堅実に貯蓄していきたいと思います。このたびはありがとうございました。★「お金の悩みを解決!!マネープランクリニック」の過去記事はコチラへ
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教えてくれたのは……
深野 康彦さん
マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。近著に『55歳からはじめる長い人生後半戦のお金の習慣』(明日香出版社)、『あなたの毎月分配型投資信託がいよいよ危ない!』(ダイヤモンド社)など
取材・文/伊藤加奈子
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