セレッソ史上最年少で公式戦にデビュー
2000年6月生まれで19歳の瀬古歩夢(せこ あゆむ)は、2017年5月にセレッソ大阪のクラブ史上最年少で公式戦デビューを果たした。日本代表には中学生年代から選ばれてきたディフェンダーで、早くから将来を嘱望されてきた選手のひとりだ。U-20W杯でチームのベスト16進出に貢献した瀬古歩夢(写真:ムツ・カワモリ/アフロ)
所属するセレッソ大阪では、U-20W杯後の6月末からポジションを確保している。瀬古は183センチの高さがあり、左右どちらの足でも正確なキックを蹴ることができる。セレッソは24節終了時点で失点がリーグ最少タイとなっているが、ここまで9試合にフル出場している若武者の存在も、守備の安定につながっているはずだ。
チームを率いるスペイン人のミゲル・アンヘル・ロティーナ監督も、「彼の年齢を考えると、驚きに値する能力を持っていると思います」と評価する。
二つの世代が五輪出場を争う
五輪の男子サッカー競技は、23歳以下の選手に出場資格がある。今回のチームは、2017年と2019年のU-20W杯に出場した選手を中心に構成される。瀬古を含めた現在20歳以下の選手たちは、今春までU-20W杯に集中していた。同大会が終了した現在は、来夏の東京五輪へターゲットが変わった。東京五輪へのサバイバルは、新たな局面に突入したのだ
センターバックのポジションでは、17年U-20W杯組の冨安健洋の選出が有力だ。18年1月から19年6月までシントトロイデン(ベルギー)に所属し、8月開幕の今シーズンからイタリア・セリエAのボローニャへ加入したこの20歳は、森保一監督が率いる日本代表でもレギュラーポジションをつかんでいる。東京五輪ではディフェンスリーダーを任されるだろう。
五輪の男子サッカーでは、年齢制限に関係のないオーバーエイジの出場も3人まで認められている。12年のロンドン五輪と16年のリオ五輪では、3人のオーバーエイジのひとりはセンターバックだった。GK、センターバック、センターフォワードといったチームの背骨となるポジションに、オーバーエイジが起用される傾向は強い。
ひとつの参考になるのは、今年6月開幕のコパ・アメリカ(南米選手権)だろう。
森保一監督は東京五輪世代を中心としたチームを編成し、センターバックは植田直通と冨安がコンビを組んだ。94年10月生まれの植田は、16年のリオ五輪に出場し、18年のロシアW杯でも日本代表のメンバー入りした。同大会後は鹿島アントラーズからサークル・ブルッヘ(ベルギー)へ移籍した。186センチでフィジカルコンタクトに優れ、五輪も経験している彼は、オーバーエイジの候補のひとりと見られる。
冨安とともに17年のU-20W杯に出場した中山雄太(ズヴォレ/オランダ)、板倉滉(フローニンゲン/オランダ)らも、ヨーロッパで経験値を高めている。また、J1の清水エスパルスで昨シーズンから出場試合数を増やしている立田悠悟は、6月のコパ・アメリカで中山、板倉とともに日本代表デビューを飾った。21歳の立田は、191センチの長身もセールスポイントにする。
チームの中心となるセンターバックのポジション争いに、瀬古はどこまで食い込んでいけるか。香川真司、乾貴士、南野拓実らをヨーロッパへ送り込んだセレッソから、またひとり注目株が登場してきた。