アドバイス1 まったく問題ありません。好きなことに、もっとお金を使って
ぱんださん、何も心配することはありませんよ。来春に早期退職して、55歳まではパートで働くというのも、良い選択だと思います。51歳から55歳までは、パート勤務で年収が84万円、支出が156万円で年間72万円の持ち出し。5年で360万円。56歳から60歳までは、個人年金で84万円、支出が156万円で年間72万円の持ち出し。5年で360万円。60歳から64歳までは、個人年金で114万円、支出も変わらずだと、42万円の持ち出し。5年で210万円。ここまでで、ざっと930万円、約1000万円は資産からの取り崩しになります。
でも、現在の資産が6200万円あり、これに退職金の2200万円(2300万円から税金分100万円を
差し引く)を加えると8400万円。65歳の時点までの取り崩し分1000万円を差し引いても、7400万円残る計算です。
3000万円ぐらいのマンションを購入しても、4300万円残り、さらに、65歳からの公的年金が年188万円あるわけですから、ここからは持ち出しがなく、逆に、お金が貯まっていくことになります。公的年金の受給を繰り下げることも考えられているとのことですが、繰り下げれば、それだけ受け取り額も増えますので、さらに余裕のある生活になるのではないでしょうか。
こう計算してくると、年間50万円程度を、楽しみのために使っても、まったく問題ありませんよ。もっと自由にお金を使ってもいいんじゃないでしょうか。
アドバイス2 一人になったときが心配。長い人生を楽しむことを
今後、お母さまの介護が必要になっても、お母さまの資産でカバーできそうということですし、ぱんださんは、お一人なので、お金を遺すべき人もいらっしゃらない(万一、相続が発生したら、兄弟の方がぱんださんの資産を相続することになります)。そう考えると、ぱんださんが、自分のお金を自由に使い切ってもいいわけです。心配なのは、万一、お母さまを見送ったあと、お一人になられたときのことです。
これまで、仕事も、貯蓄も、真面目に取り組んでこられたんだと思います。そのため、早期退職されても、経済的な不安をまったくない状態にまですることができているのです。ご褒美として、もっと自分に甘くなってもいいと思います。外に出かける、旅行をする、お友だちと外食する、これまで我慢してきたことがあるなら、どんどんやりましょう。
人生は長いです。女性の平均寿命87歳からすると、あと37年もあります。第二の人生を楽しむ経済的な余力はあるのですから、何か新しいことにチャレンジしてもいいかもしれませんね。人生を楽しんでください。
相談者「ぱんだ」さんから寄せられた感想
早期退職しマンションを購入しても老後資金の心配はないとのこと。安心いたしました。退職の件はこれから検討したいと思います。先生がおっしゃる通り、自分の人生を楽しむためにもっとお金を使いたいと思います。今まで、どちらかというとお金を使うことに罪悪感があったのかもしれません。それと、母の亡きあとのことも私の不安材料ではありました。精神的な喪失感のうえ、趣味もなく仕事もなくでは……。幸い経済的な心配はないので、第二の人生を謳歌すべく、趣味や仕事でも新しいことにチャレンジして、前向きに楽しく歩んでいきたいと思います。そのようなきっかけを下さり、感謝しております。この度は大変ありがとうございました。教えてくれたのは……
深野 康彦さん
マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。近著に『55歳からはじめる長い人生後半戦のお金の習慣』(明日香出版社)、『あなたの毎月分配型投資信託がいよいよ危ない!』(ダイヤモンド社)など
取材・文/伊藤加奈子
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