不妊治療を経て高齢出産……産後や育児への不安の声も 

妊娠

高齢出産を控えている方が心配される、産後の生活や育児。気をつけたい考え方とは?


不妊治療専門クリニックの漢方外来では、ご自身の年齢を気にされながら妊活に取り組まれる方も少なくありません。無事に妊娠・出産できるだろうかというご不安に加えて、子育てをする頃の年齢を心配するご相談も実際によくいただきます。

不安の内容もご相談者の方によって様々です。「年齢的に体力が落ちてきたと感じるので、しっかり子育てできるのか不安」「子供が自立するまで、両親そろって健康でいられるだろうか」といった体力や健康に関するものから、「経済的なライフプランをどう立てればよいのか」といった経済的なことまで、多岐にわたります。一方で、お話を詳しく伺っていくと、経済的なご不安の根底にも、先々の健康へのご不安があることも多いと感じます。

また、「高齢出産は産後の肥立ちが悪い」といった昔ながらの考えもあるのか、「(高齢出産を控えている自分は)産後も大変だと思っていた方がよいのでしょうか?」といったご質問も少なくありません。
 

産後の不調対策は妊娠中から……日常生活の養生、安胎薬の活用など

もちろん産後かどうかに関わらず、年齢に伴って体力や気力の衰えはあるものです。そして、妊娠中は疲れやすく感じることが多いですが、妊娠中のケアが不十分で筋力が衰えてしまうと産後の不調が起こりやすくなることは、高齢出産に限らずどの年代でも言えることです。また、産後はどの年齢層でもホルモンバランスの変化から心身の不調を感じることがありますが、40代半ばになると産後のホルモンバランスの変化に加えて、更年期の不調を併発されるケースもあるため、そのあたりのケアは必要かもしれません。

いずれの場合も、産前、つまり妊娠中の過ごし方で、産後の大変さが軽減できることも多いと感じます。食事、睡眠、運動などの養生に加えて、妊娠中の母体や、胎児に安心で、かつ、服用することで体調が良好に保たれる漢方の「安胎薬」などを利用して、体力、筋力が衰えないようにサポートして行くことも有効です。
 

産後の心身の不調に有効な漢方薬

産後の一般的な不調に関しては、お産や授乳によって失われた気血を養い、産後のホルモンバランスを整える処方として、「芎帰調血飲第一加減(きゅうきちょうけついんだいいちかげん)」「十全大補湯(じゅうぜんだいほとう)」「当帰建中湯(とうきけんちゅうとう)」などを用います。

産後の不調に加えて更年期の症状も見られる場合には、体質も勘案し、全体的に適した処方を組んで行きます。産前産後のケアや不調に漢方薬を試してい見たい方は、専門家がいるクリニックや漢方専門薬局などでご相談ください。
 

高齢出産後の育児の考え方……「望んで産んだから甘えてはダメ」と考えないで

私が担当する漢方外来では、40代の方の妊娠、出産、育児の過程をフォローさせていただくことも多々あります。不妊治療で辛い経験をされながらも治療を継続してお子様を授かられた方も多いため、お子様との関わりを大切にされ、育児にも積極的に取り組んでいらっしゃる方が多いと感じます。

ただ、気になることもあります。産後の不調や、体力的・年齢的な衰えが重なった方のご相談を聞いていて印象的に感じるのですが、「自分が強く希望して出産したのだから、周りに甘えてはいけない」という考えを持たれている方が少なからずいらっしゃることです。

しばしば伺うのが、「妊娠を希望して不妊治療までして授かった子ですが、育児がこれほど大変だとは思っていませんでした。でも仕事のキャリアも一旦横に置いて、私が欲しいと思って努力したことの結果なので……。妊娠も出産も自分が希望したことなので、育児が大変だと感じても周りに甘えるとわがままだと思われそうで、甘えることができません」というようなお話です。

ここまでの妊娠・出産・育児にしっかり取り組まれてきたからこそ、責任感から発せられるお話かもしれませんが、このような言葉をこぼされる方は、育児の大変さを抱え込んでいらっしゃることが多く、時に育児を楽しむ余裕を失われているように感じることもあります。多くの方のご相談を受けながら感じることですが、私は、ご自身が妊娠を希望したからと言って、育児において周りを頼ったり甘えたりすることが、わがままだとは思いません。

実際、私も不妊治療を経験して娘を授かっていますが、仕事も継続して、同じように悩まれている方をサポートしたいと思ってきましたので、育児にしっかり取り組めているかという悩みは常にあり、その都度、保育園の先生から助言をもらったり、頼れるところには、甘えています。子供にとっても、母親だけで抱え込んでしまうよりも、いい影響があるように感じています。
 

高齢出産を控え、不安を抱えている方へ

産後の不安は高齢出産に限ったことではありません。若くても、適齢期でも、初めての妊娠・出産・育児は不安なものです。とはいえ、年齢を重ねてからの出産には、子供を持つことに対してパートナーとしっかりと検討する必要があったり、場合によっては不妊治療が必要だったり、高齢出産における母体と子どもの健康上のリスクなども考える必要がある面もあります。

ただ、そんな中でも忘れていただきたくないのが、強く望まれて生まれてくるお子様は、「自分は望まれて生まれてきたんだ」という自己肯定感を育むことができるということです。

また、多くの方からのご相談を受けてきた経験上、高齢出産をされる方には、ほかの世代よりも経済的なゆとりや精神的な余裕を持って、ゆったりと育児に取り組まれる方も多いと感じます。体力の低下に伴う不調はどの方からもお受けしますので、赤ちゃんのケアだけではなく、ご自身のケアにもしっかりと取り組んでいただけると幸いです。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※当サイトにおける医師・医療従事者等による情報の提供は、診断・治療行為ではありません。診断・治療を必要とする方は、適切な医療機関での受診をおすすめいたします。記事内容は執筆者個人の見解によるものであり、全ての方への有効性を保証するものではありません。当サイトで提供する情報に基づいて被ったいかなる損害についても、当社、各ガイド、その他当社と契約した情報提供者は一切の責任を負いかねます。
免責事項