自制心が強い人ほどお金持ち体質
「お金持ちになりたいなら自制心を鍛えろ!」といいます。スタンフォード大学のウォルター・ミシェル教授が指揮したマシュマロ実験が有名です(1)。この実験では4歳の子どもたちを集め、子どもを1人ずつ椅子と机しかない部屋に呼び出しました。そして、目の前にマシュマロを置き、「すぐ食べずに我慢できたら、もう1つマシュマロをあげるよ」と言い、子ども1人を残して部屋の外へ出ました。
結果はさまざまで、誘惑に耐えてマシュマロを2つ受け取った子、誘惑に耐えきれずにマシュマロを食べてしまった子がいました。
面白いのはここから。その後の研究で、マシュマロを我慢できた子ほど、人生で成功をおさめていました。言い換えると、「未来のために今を我慢できる、自制心が強い人はお金持ちになる!」ことが分かったのです。
自制心の源は、ワーキングメモリ
ここまでの話では、自制心の大切さが分かりました。ここで気になるのが、「どうすれば自制心(貯金体質)を鍛えることができるのか?」という点です。僕らは、トレーニング次第でお金持ちになれます。そのためにもぜひ覚えておきたいのが「ワーキングメモリ(作業記憶)」という概念です。
ワーキングメモリとは、「心の中で情報を保持して、同時に処理するための記憶」のことです。イメージしやすいのが、算数の暗算能力です。
ワーキング・メモリと自制心には、密接なつながりがあります。ワシントン州立大学の研究(2)では、「ワーキングメモリが優れている人ほど自制心が強い(=お金持ちになりやすい)!」ことが確認されました。
ちょっとだけ、ワーキング・メモリをテストしてみましょう。頭の中で「100-7」を計算してください。次は、その結果からさらに7を引いてみましょう。その次に、さらに7を引いて……。と、ひたすら7を引き算していってください。スラスラと答えられる人は、良いワーキングメモリをお持ちですね。
連続で引き算をするとき、僕らの頭の中では流れてくるたくさんの情報を処理する必要があります。「100-7=93」……「93-7=86」……「86-7=79」……と、「計算」と計算結果の「記憶」を同時にこなします。
ワーキングメモリが優れている人は、頭の中でたくさんの情報を処理できます。ワーキングメモリが強力になるほど、複雑な状況でも正しく行動できるのです。そう考えると、ワーキングメモリが強いとお金持ちになる、というのも納得できます。
ワーキング・メモリを鍛えることはできる?
自制心(ワーキング・メモリ)は鍛えられる!
嬉しいことに、ワーキング・メモリは鍛えることができます。ワーキング・メモリ研究の第一人者トレーシー・アロウェイは、ワーキング・メモリは、以下の方法で鍛えられる可能性を指摘しました(3)。○健康的な食事
○十分な睡眠
○運動
○瞑想
○片付け
○パズル(数独など)
○戦略ゲーム(信長の野望など)
どれも身近で、いつでも生活に取り入れられます。ささやかな習慣を取り入れるだけでもワーキング・メモリは鍛えられます。ワーキング・メモリを鍛えれば正しい金銭感覚も手に入るので、気づけばお金持ち体質になれるでしょう。
ちなみに僕はゲームが大好きなので、休日に「パズル」や「戦略ゲーム」を楽しんでいます。やればやるほどお金持ち体質になれる、夢のような遊びですなぁ。
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●参考文献
- 論文:Walter Mischel, Ebbe B. Ebbesen, and Antonette Raskoff Zeiss, 1972, 『Cognitive and Attentional Mechanisms in Delay of Gratification』, Journal of Personality and Social Psychology, 21(2), pp. 204-218
- 論文:John M. Hinson, Tina L. Jameson, and Paul Whitney, 2003, 『Impulsive Decision Making and Working Memory』, Journal of Experimental Psychology, 29(2), pp. 209-306
- 書籍:トレーシー・アロウェイ, ロス・アロウェイ, 2013, 『脳のワーキングメモリを鍛える!』, NHK出版