“愛の本質”が分かる一冊!

「愛の本質がわかるおすすめの1冊」とガイドのひかりさん


「愛とは、なんなのか?」と考えたことのない人はいないでしょう。恋愛はもちろんのこと、親に対して、兄弟に対して、さらに自分自身に対して、きちんと愛せているのか?――そんな愛の指針となる一冊として、エーリッヒ・フロム著『愛するということ 新訳版』(紀伊國屋書店 刊)を紹介します。
   
 

哲学者が書いた、“恋愛の究極本”!?

哲学者であるエーリッヒ・フロムが書いたこの本は、“恋愛の究極本”と言っても過言ではありません。

恋愛ではまず、「人を愛せるようになること」が大切です。では、愛せるようになるためには、どうしたらいいのか。それは“自然に”できることではなく、「“技術”が必要だ」とフロムは言います。愛は能動的な活動であり、「落ちる」ものではなく、「自ら踏みこむ」ものである、というのです。興味深いと思いませんか?

 

「愛されるテクニック」ではない、“愛する技術”とは?

例えば、「恋い焦がれていた相手に対して、だんだん気持ちが冷めてしまった」といった経験をしたことがある人は多いでしょう。それは、人の感情というのは、生まれては消えていくものだからです。でも、ずっとそのままでは、「恋する→気持ちが冷める→別れる」といった恋愛を繰り返してしまうだけです。
 
フロムはこう言います。

誰かを愛するというのはたんなる激しい感情ではない。それは決意であり、決断であり、約束である


つまり、愛が冷めるのは相手の魅力がないせいだ、というだけではなく、「自分に愛せる能力がない」ことも原因である、ということなのです。
 
女性の中には、母親に「男性に大切にしてもらいなさい」「守ってくれる男性を見つけなさい」と言われて育ってきた人は多いものです。それもあって、「男性が自分に何をしてくれるのか?」によって、愛情や自分の存在価値をはかってしまう女性は少なからずいます。

でも、その段階ではまだ“自己愛”に過ぎません。「自分にとって都合のいい人だから好き、そうでなければ嫌い」という薄っぺらい愛情しか持てていないことも多いのです。そんな人が本当に相手から深く愛されるものでしょうか? 

このように、「いい恋愛をするためには、まずは自分が相手をきちんと愛せるようになることが大切なのだ」と気づかせてくれます。

 

誰もができていそうでできていない、“愛の本質”を学べる本

私自身、この本で、“愛の本質”を学びました。さらに言えば、人を愛する技術を身につけるためには、“人間的な成熟”が必要であることも理解しました。

この本に出会ったからこそ、今もコラムニストとして活動をし続けられているといっても過言ではありません。「人を愛するためには、自分自身が自立していることが必要不可欠であること」を学べたことは、私自身にとって重要なことでした。
 
フロムは、こういったことを言っています。

未成熟な愛は「あなたが必要だから、あなたを愛する」と言い、成熟した愛は「あなたを愛しているから、あなたが必要だ」と言う。

つまり、人に依存し、自分の松葉杖のような存在を求めているうちは、「未成熟な愛」というわけです。

また、フロムは「幼稚な愛」と「成熟した愛」をこのように表現しています。

幼稚な愛は「愛されているから愛する」という原則にしたがう。成熟した愛は「愛するから愛される」という原則に従う。

「愛されている方が勝ち、多く愛している方が負け」なんて言っているうちは、まだまだ「幼稚な愛」だということなんですよね。

愛というのは、言うなれば、“幸せ物質”です。人を愛することで心が温かくなり、幸せな気持ちになるもの。人を愛せば愛するほど、愛(幸せ物質)は自分の内側から増えていきます。
 
つまり、人を愛せるようになることは、自分自身が幸せになるために必要不可欠なことなのです。自分を幸せにするためにも、この本を一度読んでみませんか?
 

DATA
紀伊國屋書店┃『愛するということ 新訳版』

著者:(著)エーリッヒ・フロム 、 (翻訳)鈴木 晶
発売年:1991年3月25日
判型:単行本、kindle
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。