「お金持ちと貧乏の決定的な違いは能力(または才能)だ!」と考える方が多いようです。しかし、この考え方はあまりに短絡的です。では、何がお金持ちと貧乏を分けるのでしょうか。その答えは、ある秘密に隠されています。
能力はお金に直結しない
たとえば、「あの人は、普通の人の100倍お金を持っているから、きっと100倍の能力を持っているに違いない」と考えてみてください。貧乏な人は握力が10kgしかないけど、お金持ちの人は100倍(1t)の握力があるとか、貧乏な人はIQが100だけど、お金持ちの人はIQが140だとは考えませんよね。すると、このロジックがおかしいと分かります。お金持ちと貧乏の決定的な違いは、能力ではありません。では、お金持ちと貧乏を分ける違いは、一体何でしょうか。
お金に直結するのは自制心
スタンフォード大学の心理学者、ウォルター・ミシェルの研究(1)で、お金持ちと貧乏を分ける違いが見つかりました。それは、自制心です。研究によると、「長期的な視点で考える人」と「将来のために今を我慢する、自制心を持った人」が、お金持ちになりやすいことが分かりました。中でも僕は、お金持ちになりやすい人は、「ドミノ効果」と「複利効果」の2つの法則を強く意識していると考えます。
法則1:小さな努力が連鎖を生み出す「ドミノ効果」
お金持ちは「ドミノ効果」を強く意識しています。ドミノ効果とは、「1つの行動が連鎖反応を生み、多くの結果を生み出す」ことを指します。ドミノ倒しを想像してみてください。1つのドミノをコツンと押したとします。すると、並んでいるドミノを全て倒すことができます。
自分で倒したドミノは1つだけです。しかし、並んでいるドミノが多ければ多いほど、大きな連鎖反応を生み出すことができます。僕は「連鎖反応」が大好きです。なぜなら、小さな行動で多くの成果が期待できるからです。
ドミノ効果を活かす良い例が「自動化」です。たとえば、自動引落です。家に貯金箱を置いても、自分がお金を入れない限り貯金はできません。今日は1000円を入れるかもしれませんが、明日は1円も入れないかもしれません。
しかし、証券口座を開き、自動引落で積立投資を始めたらどうでしょう。自動引落の効果は絶大です。フィリピンの農村で行われた研究(2)によると、「自動引落」のような仕組みを使うことによって、他の人よりも80%以上も多く貯金できたのだとか。
申し込みは1度だけです。それだけで、預金口座からお金が自動で繰り返し引き落とされます。そして、決まったタイミングで積立投資されます。たった1つの行動で、お金を自動で貯め続ける習慣が身に付くのです。
法則2:小さな努力が大きな成果につながる「複利効果」
お金持ちは「複利効果」を強く意識しています。複利とは、「雪だるま式に数が増えていく」ことです。『21世紀の資本』(3)で有名な経済学者トマ・ピケティは、「r(資本収益率) > g(経済成長率)」という話をしました。数式だけでは何が何だか分かりません。でも意味が分かるとゾッとします。彼は、不労所得(株式投資など)による年利回りは平均4~5%だと話しています。
「年利回り4%」というスピードは、めちゃくちゃ速いです。仮に「年利回り4%」が続くと、18年ごとにお金が2倍になります。36年後には4倍になります。54年後には8倍になります。
今、20歳の人が、「1万円分を株式投資に回す」と決めたとします。そして、74歳まで複利で運用したら、引き出すときは8万円になります。
新卒社員が「毎月1万円貯金する」と決めたらどうでしょう。今は1万円でも、54年後には8倍になり、年配になってから「毎月8万円を引き出す」準備ができるのです。
ここまで聞くと「複利、すごい!」と思いますよね。そのとおり。複利はすごいんです。お金持ちほど、複利の凄さを知っています。投資の神様と呼ばれるウォーレン・バフェットも、複利のパワーをを活かすことでお金持ちになりました。お金持ちは、ものごとを「複利」で考えるのです。
今すぐ始めよう!
ここまで記事を読んだら、「ドミノ効果すごい!」「複利すごい!」と感じませんか? ドミノ効果と複利効果を最大限に活かすには、「今すぐ始める」のがベストです。1日遅れるごとに、ドミノ効果も複利効果も効果が薄れていきます。ぼーっとしている場合ではありません。ちなみに、ドミノ効果と複利効果を活かした画期的な投資法があります。それは、積立投資です。僕は、最強の投資法は積立投資だと考えています。
この記事を読んで、「今すぐ積立投資を始めよう!」と感じる人が1人でも増えたら嬉しく思います。ちなみに、積立投資を始めるコツは、以下の記事で紹介しています。本記事と併せてご活用ください。
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【参考文献】
- 論文:Walter Mischel, Ebbe B. Ebbesen, and Antonette Raskoff Zeiss, 1972, "Cognitive and Attentional Mechanisms in Delay of Gratification", Journal of Personality and Social Psychology, 21(2), pp. 204-218
- ディスカッションペーパー:Nava Ashraf, Dean S. Karlan, and Wesley Yin, 2006, “Household Decision Making and Savings Impacts: Further Evidence from a Commitment Savings Product in the Philippines”, Yale University Evonomic Growth Center Discussion Paper, 939
- 書籍:トマ・ピケティ, 2014, 『21世紀の資本』, みすず書房