高齢出産は難産? 産後の肥立ちなどへの影響は
高齢出産を控えている方の中には、「高齢出産だから難産になるのではないか」「出産時のリスクが若い人より高いのでないか」と心配される方がいるようですが、合併症がなければ、それほど変わりはありません。同じように、「産後が辛いのではないか」「産後の肥立ちが悪かったらどうしよう」と不安に思う声も聞かれますが、産後についても高齢出産だからといって一概に言える傾向はありません。いずれも本人の元の体力とお産の経過によります。妊娠前からの体力づくりが重要なことは、年齢に関わらず同じです。
高齢出産の場合の子供のリスク・障害
妊娠・出産の経過は確かに年齢的要因も影響を受けますが、それ以上に個体差が大きく、若いから安心とも言い切れません。それと同様に、赤ちゃんへのリスクも個体差の影響が大きいといえますが、統計学的には、例えば染色体異常の割合は明らかに年齢とともに高くなっていきます。
また、帝王切開になるリスクや、妊娠高血圧症などの産科合併症のリスクも、年齢とともに上がりますので、早産や低体重児、分娩時のトラブルによる赤ちゃんへの健康リスクなどは、年齢が高いと注意すべき項目にはなります。
高齢出産の場合の病院選びのポイント・注意点
現在は産院にも様々な種類があり、医療面の充実の違いはもちろん、母乳育児に力をいれている産院や、家族同室で過ごせるように工夫された産院、また、産前産後の母親に対するサービスを充実させた産院など様々です。高齢出産だからといって全てが特別なお産ではないので、自分が何を優先したいかで選ぶのがよいでしょう。ただし、合併症がある場合は、総合病院やNICUを完備している産院を選ぶ方が安心です。
高齢出産で自宅出産や助産院出産は控えるべきか
高齢出産と一言でいっても、年齢にはかなりの幅があり、35~40歳の場合、34歳の人とそれほど大きなリスクの違いはありません。自宅出産や助産院は万一の場合に素早い医療的処置ができないことも実際にありますので、先述の通り、合併症がある場合は総合病院やNICUがある病院を選んだ方が出産リスクを下げることができます。
それぞれの違い、特徴、万一の場合のリスクなどを正しく理解した上で、合併症や妊娠中のリスクを作らずに「主体的に生む」覚悟があれば産む本人の選択でよいのではないでしょうか。
高齢出産の場合、出生前診断などの検査は受けるべきなのか・考え方
近年話題になっている出生前診断については、非常に難しい問題です。医師としても、受ける「べき」とは絶対に言えませんが、「受けない方がよい」「受けるべきではない」と言うこともできません。出生前診断を受ける場合のメリットとデメリット、そして受けない場合のメリットとデメリットをしっかり考慮して、夫婦が決めるべきことだと考えます。
高齢出産を控えている場合、準備しておくとよいものはあるか
葉酸は年齢を問わず、妊娠を考えている女性には必要な栄養素です。一方で、高齢出産だからといって出産に臨む上で特別な準備は必要なく、金銭的な準備も周囲のサポート体制なども、他の年齢の方と同じと考えてよいでしょう。もし子供の成人を見届けられない可能性がある年齢であるならば、自分に何かあった時の後見人や金銭的フォローの準備は必要かもしれません。これから高齢出産を控えている方は、あなたにとって「この年齢を選んだ」意味が必ずあります。その意味を大事にして、出産に臨まれてください。