有給休暇の取得義務化がスタート
働き方改革関連法案の施行がスタートし、4月から有給休暇の取得義務化が始まりました。これは年10日以上社員に有給休暇を与えた場合、5日については時期を指定して必ず社員に取得させなければならないというものです (※1)。自分で計画的に取得していた人からしてみると「いやいや、時期を指定しなくても使いますから」と声が上がりそうですが、全国的な有給休暇の取得率は49.4%(※2)でしかないため、ほとんどの場合半分以上は使い残していることになります。
また、有給休暇を使えない理由として社員側が挙げる理由の第1位は、「職場に休める空気がないから」であり、会社に「有給休暇を取りやすくするための工夫がない」という人が、4人に3人という高い割合だそうです(※3)。
今回の法改正は企業の背中を押し、有給休暇の利用を促すことになりますが、個人にとってもこれを上手に受け止めたいところです。
有給休暇は使わないと損!
有給休暇は、基本的に使わないともったいないです。というのは、有給休暇の権利は行使しないと、どんどん消えていくことになるからです。有給休暇はそもそも「付与してから1年間」に使うことが想定されています。現在では、2年を時効として繰り越しが認められており(労働基準法第115条)、それを超えるとただ消滅していきます。時効については、2年のままとするか5年にするか、議論があるようです(※4)。
会社が特例的に繰り越しを認めている場合もありますが多くの場合、使わずにいると消えていくと考えておいたほうがよいでしょう。
仮に年20日の有給休暇を付与されているということは、毎月1日以上は「仕事をしなくても給料が減らない日」を持っているということです。簡単にいえば、あなたの月給が22万円で月の労働日数が22日だとすれば、「有給休暇の価値は1万円」ということです。
未使用の有休が10日消えれば10万円、20日消えれば20万円、毎年損をしていると思えば、未使用のもったいなさが分かると思います。
有給休暇を買い取ってもらえないワケ
先ほどのBIGLOBEの調査によれば、有給休暇に関して最も希望するものを1つ挙げてもらったところ、「有給休暇の買い取り」が45.3%で最多だったそうです。どうせ使えないのだからせめて買い取ってほしい、という気持ちは社員目線の本音だと思います。しかし、有給休暇の買い取りについては、慎重に考えておくべきだと思います。そもそも買い取りが禁止されているのは、「会社が会社の都合で休む権利を取り上げてしまうことを防ぐ」という趣旨があるからです。
時効になった分、退職時の未使用分、法律より多くの有給休暇日数を提示していた場合の未使用分などを会社が買い取ることがあるようですが、そういった企業はあまりないと思います。また、この場合でも会社が買い取りを提案するのではなく、社員が申請する構図を求めています。
時々、有給休暇の買い取りが議論になっているようですが、それよりはむしろ「給料は減らず、平日休む」を上手に活用してほしいと思います。
男性も有休で子育てに参加!
子育て中の女性であれば、子どもの発熱などで有給休暇を取得し、ほぼ使い切っているケースがあります。しかし、男性はどうでしょうか。1週間のスケジュールを調整し、「水曜日あたり、子どもが熱を出したら、僕が休む」といったかたちで、男性も有休を取得してみてください。そうすれば、男性も有給休暇をほぼゼロにできるはずです。子育てママはだいたい、有休残日数が数日まで減って毎年チャージされているものです。
時間休や半休なども、最近では設定されていることが多いので、病気に限らず保育園のお迎えに使ってみてもよいでしょう。ママの仕事が長引きそうなら、予めパパが有休を取得してみるのです。
閑散期に有休を使って上手にリフレッシュ
そして、子育てに限らず男女とも、有給休暇をリフレッシュに使いたいものです。仕事が忙しい時期とちょっと余裕がある時期がある会社であれば、閑散期の平日に休みを取ってリフレッシュしてみるのもよいでしょう。働きづめではメンタル的にまいってしまいますが、繁忙期はそうもいっていられません。だとしたら、閑散期に計画的に休みを取って、小旅行に出かけてみてはどうでしょうか。
今回の法改正も本当なら「会社の実施義務化」ではなく、「社員が意識的に取得できる環境作りの義務化」の方向で行ってほしかったところです。
とはいえ、勤続6年半を超えると毎年20日は有給休暇がもらえます。5日の取得時期が義務化されても、15日はまだ使える日数があるはずです。自分で使える有給休暇分についてはぜひ、自分で上手に消化してみてください。
【関連記事をチェック!】 【参考】
※1:厚生労働省 法案資料
※2:厚生労働省 平成29年就労条件総合調査
※3:BIGLOBE「有給休暇に関する意識調査」
※4:厚生労働省 賃金等請求権の消滅時効の在り方に関する検討会資料