保険と老後資金、適正な金額を知りたい

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回の相談者は、保険の保障内容と、このままの貯蓄で老後資金が足りるかどうかを相談したいという41歳の会社員女性。これまで実家暮らしだったが、一人暮らしを始めたこと、昇給が見込めないことも、今後の不安材料とのこと。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。※マネープランクリニックに相談したい方はコチラのリンクからご応募ください。(マネープランクリニックへの相談は無料です)


 
海外から帰国してから実家で暮らしていたが

海外から帰国してから実家で暮らしていたが




■相談者
マリアンヌさん(仮名)
女性/会社員/41歳
九州/賃貸住宅
 
■家族構成
一人暮らし
 
■相談内容
相談したいのは、保険と老後資金が適切かどうかです。海外から帰国後、生活の立て直しのために実家暮らしでしたが1年前独立し、一人暮らしを始めました。現在の家賃は8.4万円(保証会社費用、ネット代込)で、会社より5年間は3万円の家賃補助が出ています。5年後からは、1万円ずつ少なくなり8年後には家賃補助がなくなります。社内規定もあり、今以上の昇給は見込めず、5年後くらいまでに家賃補助分くらいまで昇給したら、そこが上限という感じです。車は駅近くのため独立の際に手放しました。通信費は個人のスマホがありますが、会社携帯(ガラケー)WiFiルータの貸与があり、私用通話が認められており、そちらで掛けるため基本料金のみ。趣味が旅行で、2カ月に一度くらいのペースで国内旅行をするため、この費用が1.5万~4万円掛かります。ただ、これ以外には殆ど飲みに行ったりすることはなく自身のお小遣い・交際費込みという感じです。
 
 
■家計収支データ
相談者「マリアンヌ」さんの家計収支データ

相談者「マリアンヌ」さんの家計収支データ



 
■家計収支データ補足
(1)加入保険について
・本人/医療保険(終身保障終身払い、入院5000円)=毎月の保険料1687円
・本人/がん保険(終身保障終身払い、入院1万円、がん一時金200万円)=毎月の保険料1660円
 
(2)定年と退職金について
定年は60歳、再雇用制度で65歳まで勤務可。また、退職金制度あり。月6000円、会社が掛けている。
 
(3)公的年金について
現時点での厚生年金加入期間は118カ月、国民年金は43カ月。
 
(4)雑費の内訳
日用品に8000円、美容代に7000円、Amazonやクラウド利用に1500円、衣料品に5000円、実家へ送金1万円
 
(5)実家と相続について
実家は築50年、現在の建築法では建て替えができない古い家のため、残しても崩すのにもお金が掛かるような物件とのこと。両親は健在で実家に住んでいるが、どちらか1人になった時点で、介護施設に行く予定。家族は他に兄弟が1人。
 
■FP深野康彦の3つのアドバイス
アドバイス1 保険は保障に無駄がなく問題なし
アドバイス2 大事なのは現状の貯蓄ペースを継続すること
アドバイス3 投資をするならiDeCoを利用してもいい
 

アドバイス1 大事なのは現状の貯蓄ペースを継続すること

保険と老後資金について、自身の適正を知りたいというご相談ですが、ともに大きな問題はないと思います。まず保険ですが、掛け方に無駄がありません。死亡保障はありませんが、まとまった資金を遺す家族はまだいませんので、現時点では不要です。

医療保障については、家計が赤字であれば、医療保険とがん保険のどちらかに絞ってもいいでしょう。ただ、家計は健全ですし、保険料自体も決して高くはありません。また、現状、マリアンヌさんがマネープラン的にもっとも回避したいのは、働けず減収になることです。したがって、病気やケガによるコスト増をケアする意味でも、この2本は加入のままでいいですし、これ以上、保障を加える必要も今のところないと考えます。
 

アドバイス2 大事なのは現状の貯蓄ペースを継続すること

貯蓄については、現在、毎月4万5000円、ボーナス40万円を財形貯蓄で積み立てをし、他に投資信託を月8000円購入されています。ともに19年間継続すれば、合わせて、およそ1970万円(投資商品の評価額は元本のままとする)。今ある貯蓄と投資商品と合わせて2030万円。退職金は勤務23年間で、月6000円の積立をそのまま受け取るとすれば165万円となりますから、計2200万円。これが想定される、マリアンヌさんの老後資金となります。
 
老後資金が足りるかどうかは、老後の生活費が公的年金だけではどれだけ不足するのかが、その判断材料になりますが、まだ不確定要素が多く何とも言えません。ただ、不足額が月額3万円程度なら、100歳まで生きても1260万円(65歳から35年間)。これを老後資金から差し引いても、1000万円近く手元に残ります。単身者の予備費としては十分でしょう。
 
したがって、貯蓄ペースも今のままで構いません。大事なのは、このペースを維持していくということ。それができれば、老後資金も十分用意ができます。
 

アドバイス3 投資をするならiDeCoを利用してもいい

今後、マネープランでポイントとなりそうなのが、定年から公的年金の支給が始まる65歳までの5年間。再雇用で勤務できるとのことですが、収入はどのくらいになるのか。仮に、生活費に対して月5万~6万円の赤字になると、老後資金から300万~360万円を別途取り崩すことになります。
 
それでも、過度に心配する必要はありません。例えば、65歳以降も働くことで、老後資金を取り崩すペースを遅くすることができます。また、マリアンヌさん自身が、上手に家計管理をされているので、減収となれば、それなりに家計をやりくりし、赤字幅も小さくできるはず。それよりも、将来を必要以上に不安視し、無用なストレスを溜め込むことの方が避けるべきことです。
 
投資は続けていいと思います。ただ、老後資金づくりと割り切るなら、iDeCo(個人型確定拠出年金)を利用してはどうでしょう。メリット、掛金が全額所得控除になるという点。月8000円の掛金で、マリアンヌさんの収入であれば所得税と住民税合わせて、1万7000円前後が還付されるはず。掛金が増えれば、還付金の額も当然アップします。加えて、運用による配当、売却益が非課税という利点もあります。
 
ただし、利用にあたって、口座管理コスト等が年間数千円発生します(コスト額は金融機関によって異なります)。また、選択できる投資商品は投資信託となりますが(他に定期預金のような元本保証商品もある)、各金融機関が用意している商品に限られます。積み立てた資産を引き出すのは原則60歳以降となる点も注意が必要です。ともあれ、iDeCoの比較サイトでいくつかの金融機関を比較検討してみるといいでしょう。
 

相談者「マリアンヌ」さんから寄せられた感想

ありがとうございました。これまでまったく貯金というものをしてきておらず、ここにきて、人に話を聞いたりしてとても心配していましたが、今回のお話を伺い安心しました。また、iDeCoは資料を見たことはあっても内容がよく分からなかったので、普通に投資信託していましたが、これを機にiDeCoを検討してみようと思います。今後も貯蓄額をキープできるようにしたいと思います。この度はありがとうございました。

教えてくれたのは……
深野 康彦さん
  
 

 


マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。近著に『55歳からはじめる長い人生後半戦のお金の習慣』(明日香出版社)、『あなたの毎月分配型投資信託がいよいよ危ない!』(ダイヤモンド社)など


取材・文/清水京武

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