年代、収入から、いくらの住宅購入が適正か教えてください

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回の相談者は、マンションの購入額で悩む35歳の会社員女性。加えて、第2子も希望していて、現状考えている6000万円の物件を購入することに無理はないか……。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。※マネープランクリニックに相談したい方はコチラのリンクからご応募ください。(マネープランクリニックへの相談は無料です)

 
物件価格6000万円のマンションは買える?

物件価格6000万円のマンションは買える?



 
■相談者
ミッフィーさん(仮名)
女性/会社員/35歳
東京都/賃貸住宅
 
■家族構成
夫(会社員/36歳)、子ども(1歳)
 
■相談内容
住宅購入の金額目安を知りたい。マンションギャラリーでは今の世帯年収で7000万円くらいの借入は大丈夫と言われたましたが、今後2人目の子どもも欲しいため、今の段階で物件価格6000万円、自己資金1300万円(うち300万円は諸費用)で、残りをローンで組もうと考えています。これくらいの年代・世帯年収ではどれくらいの費用を住宅にかけてよいものか、アドバイスが欲しいです。
 
■家計収支データ
相談者「ミッフイー」さんの家計収支データ

相談者「ミッフイー」さんの家計収支データ



 
■家計収支データ補足
(1)ボーナスの使いみち
貯蓄40万円、保育園年払い40万円、旅行など32万円
 
(2)住宅購入、クルマ購入について
希望する購入時期は2019年の年末~2020年4月。新築、中古、一戸建て、マンションいずれも可能性としてあり。また購入後、子どもが小学生になるタイミングでクルマを所有する可能性もあり(現在はカーシェアリングを利用)。
 
(3)加入保険について
・夫/終身保険(65歳払込終了、死亡保障1200万円)=毎月の保険料3万円(65歳での解約返戻金は1200万円)→※退職金代わりと考えている。 
・夫/終身保険(45歳払込終了、死亡保障1000万円)=毎月の保険料370ドル(50歳時以降利益が出る予定)
・妻/医療保険(終身保障終身払い、入院1万円、がん一時金100万円、死亡特約200万円)=保険料3500円
子ども/学資保険(17歳満期、10歳払込終了、満期金50万円×4回)=毎月の保険料1万5000円
 
(4)家族の小遣いについて
夫婦で4万5000円ずつ。それぞれ昼食代込み。
 
(5)夫婦の定年と退職金について
夫婦とも、勤務先の定年は65歳。その後の再雇用制度はなし。また、夫は退職金制度がないため確定拠出年金で月2万円積立。

(6)第2子出産と育休について
出産時期は1年以内を希望。育休中は給与の2/3程度(手取りで月20万円ほど)が支給されるとのこと。
 
(7)教育費について
「高校までは公立」が希望だが、中学から私立に入学する可能性もある。
 
■FP深野康彦の3つのアドバイス
アドバイス1 現状での住宅購入プランは無理のない範囲
アドバイス2 第2子を出産しても老後資金は十分作れる
アドバイス3 夫婦とも定年まで収入を維持することが大前提
 

アドバイス1 現状での住宅購入プランは無理のない範囲

先に結論から申し上げます。現状での住宅購入プランは、マネープラン全体を考えても、十分に無理なく返済できると考えます。
 
まずは現在予定されている住宅ローンを組んだ場合の、その後のキャッシュフローを試算してみましょう。最初に住宅コストから。仮に購入物件を都内の新築マンション、物件価格は6000万円、入居は来年1月とします。諸費用に300万円、ローンの頭金に1000万円とのことですから、借入額は5000万円。金利の種類は不明ですが、金利上昇リスクを考慮して、全期間固定を選択、金利は1.5%。勤務先の定年が65歳ですので、やや長いですが返済期間は30年。完済はご主人67歳のときとなります。これで毎月の返済額は17万2500円ほど(ボーナス月加算なし)。
 
これだけを比較すると、現在の家賃より2万6500円のアップですが、持ち家になることで、その他にランニングコストが発生します。毎月の管理費・修繕積立金は不明ですが、物件価格から考えて安くても3万~4万円。他に5年後にクルマを購入し、駐車場を借りるとすると、やはり都内では3万円は見ておく必要があるでしょう。固定資産税は平均して年額10万円とします。これで、ランニングコストは月割りにして7万~8万円。結果、住宅コストは少なくとも最初の5年間は月7万円、それ以降は10万円程度のアップが想定されます。
 

アドバイス2 第2子を出産しても老後資金は十分作れる

次に家計支出ですが、まず家族構成として、年内が希望という第2子を、便宜上マンション入居と同じ時期(来年1月)に出産したとし、その1年後に職場復帰するとしましょう。その時点での貯蓄ですが、前年のマンション購入資金の捻出と産休の減収も考慮して、100万~200万円程度に減っているはずです。
 
マンション購入後の家計支出は、住宅コスト以外は生活費が今と変わらないとします。ただ、教育費はあとでまとめて差し引きますので、ここでは家計支出に加えません。クルマ購入までの5年間で貯蓄できる額は1400万円ほど。

クルマ購入後は、マンションでの駐車場代金、ガソリン代、その他維持コスト(税金、保険、車検、その他整備)が新たに発生します。購入するクルマによってそれら金額には幅がありますが、一般的な額として月割りで5万~6万円。それらを加算すると、ご主人が定年となる65歳までの23年間で貯蓄できる額6500万円ほど。したがって、ざっとですが、65歳の定年時点で手持資金は8000万円。さらに、その他の収入として、第2子が受給する児童手当と、第1子の学資保険の満期金200万円がありますから、トータルで8400万円となります。
 
ここから2人分の教育費を差し引きます。高校まで公立を希望しているが、中学から私立の可能性もあるとのこと。後者で、大学を私立文系とすれば、1500万円ほど(塾や習い事などの平均的な学校外教育費を含む)。大学が私立理系なら1600万円となります。進路は未定ですが、2人分3000万円を考えれば、残りは5400万円。

この他、クルマの購入費が発生します。65歳までに買い替えも含め計3台購入するとすれば、これも車種によって金額は大きく変わりますが、600万円は見ておきたいところ。これをコストとして差し引くと、途中、第1子の児童手当がなくなったり、支払い保険料が減ったりするといった変動はありますが、あくまで目安として4800万円が定年時に手元に残ることになるわけです。
 

アドバイス3 夫婦とも定年まで収入を維持することが大前提

老後資金としてこの4800万円で足りるかどうかですが、この他に退職金もしくは確定拠出年金があります。終身保険の解約返戻金もあります。また、公的年金が夫婦とも厚生年金であることを考えれば、介護費や医療費、住宅リフォームを考慮しても、それらが平均的な額であれば、老後は資金的に十分余裕があると言えるでしょう。住宅ローンは67歳まで続きますが、繰上返済も可能ですから、返済期間を短縮すれば問題はありません。
 
マンションの営業担当者に「7000万円を借り入れても大丈夫」と言われたそうですが、計算上は確かに返済可能です。そこまで借りなくても、物件価格7000万円(借入額で6000万円)のマンションも十分手が届くと思います。世帯収入が高い一方、支出は抑え気味で、家計管理がしっかりしている点も、安心材料となっています。
 
ただ、ここまでの試算には大前提があります。夫婦とも今の収入を維持して定年まで勤務するということです。もちろん、ローンはそれを前提に組むわけですが、「夫婦とも」という点でリスクは倍になります。例えば、病気やその他の理由で、どちらかが年間100万円減収したとします。30年間で3000万円の減収になりますから、購入が6000万円のマンションでも、定年時の手持資金は1800万円。老後を考えると、それでも不安視するほどではありませんが、余裕はかなり減ります。
 
一方で、コストとしては教育費など高めに見ていますし、ボーナスもアップにともないもっと貯蓄に回せることも十分考えられます。それらを考え合わせれば、マネープランに余裕のある6000万円の物件をあえて「上限」と考えることが、将来へのリスクヘッジという意味でも適正ではないでしょうか。
 

相談者「ミッフィー」さんから寄せられた感想

6000万円までであれば問題なさそうとのこと、具体的な数字で示していただき安心しました。第2子を授かることができても、無理のない範囲で共働きを続けられるようにがんばります。ありがとうございました。

教えてくれたのは……
深野 康彦さん
   
 

 


マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。近著に『55歳からはじめる長い人生後半戦のお金の習慣』(明日香出版社)、『あなたの毎月分配型投資信託がいよいよ危ない!』(ダイヤモンド社)など


取材・文/清水京武


【関連記事をチェック】
34歳貯金100万。4年後にいくらのマンションなら買える?
32歳会社員、妻が仕事を辞めたが5000万円のマンションは買える?
30歳貯金160万。4000万の家を建てたいが資金に不安
36歳貯金40万。頭金ナシで4000万円の住宅購入したい
39歳貯金450万。3500万円の住宅ローンを組んで後悔しています
 
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。