特に、「お人好し(=優しい人)ほど貧乏になりやすい」という話は衝撃的です。かといって、「優しさを捨てて、意地悪になればよいのか?」というと、話はそう単純ではありません。
というのも、「優しい人は貧乏になりやすいものの、幸福にもなりやすい!」ということが分かっているからです。2016年に公開された論文(1)によると、「共感力の高い人(優しい人)は幸せになりやすい」ことが分かりました。
つまり、「優しさを捨てること=不幸に近づくこと」ともいえます。共感力が低い人は不幸になりやすいので、お金持ちにはなれても幸せにはなれません。
こんな話をすると、いかにも「お金と幸せを両立するのが難しい」ように思えます。とはいえ、打開策はあります。そこで今回は幸せを犠牲にすることなく、お金持ちを目指す効果的な方法をご紹介します。
優しい人が貧乏になってしまうワケ
他の論文(2)によると、協調性が高い人は貯金が少なく、借金の滞納が多いうえ、破産確率が高いそうです。極端な例を挙げると、「連帯保証人になってくれと頼まれて、借金を肩代わりしてしまうようなお人好し」などがイメージしやすいでしょう。優しさが貧乏につながる主な理由は、「他人の願いを断れない」「衝突を避けすぎる」悪い面が収入低下につながるからです。
よって、優しさを仇にしないためには、この「優しさの弱点」をカバーする方法を身につけるのが効果的でしょう。具体的な対策として、3つの方法が考えられます。
対策1:付き合う人を選ぶ
1つ目の対策は、「付き合う人を選ぶ」方法です。優しい人は頼み事を断れないので、理不尽な頼み事をしてくる人とは付き合わないようにすることで、身を守るのが効果的です。心理学者のアダム・グラント氏は、彼の著書(3)の中で「自分の時間をテイカー(奪う人)のために浪費すべきでない」と説いています。
かくいう筆者も、他人からの頼み事を断るのがヘタです。だから、「頼み事を断るのがヘタだからこそ、理不尽な頼み事をしてくる人とは付き合わない」ようにしています。諸悪の根源との関係を断つことで、貧乏に引きずり落とされずにすむでしょう。
対策2:「NO」と言う訓練をする
2つ目の対策は、「NOと言う訓練をする」方法です。もしあなたが、「お人好し過ぎて損をしているなぁ……」と感じるなら、衝突を怖がらずに「NO」と言う勇気を持ちましょう。「NO」というときには、「全面的なNO」ではなく、「部分的なNO」を使うのがコツです。たとえば、「◯◯はすべてNGです」と表現すると角が立ちます。しかし、「◯◯に関してはOKですが、△△はNGです」と言えば、角が立ちにくいのでオススメです(筆者も多用しています)。
他にも、「YESの中にNOを織り交ぜる」という方法も効果的です。理不尽な要求に対して3回に1度は「YES」と言うものの、残りの2回は「NO」という方法です。この戦略は「寛大なしっぺ返し」と呼ばれています。
対策3:優先すべき目標を見つける
3つ目の対策は、「優先すべき目標を見つける」方法です。他人の頼み事を断れない人の多くは、「断る理由が見つからない」ことで流されてしまいます。そこで、頼み事を断るための「優先すべき目標」をいくつか見つけておきましょう。できれば、倫理的・道徳的に否定されない目標を立て、依頼を断っても相手の気を悪くしない理由付けがよいでしょう。
子持ちの方であれば、「子供の世話をしなければならない(=残業は受け入れられない/飲み会に参加する時間はない)」といった目標などを立ててはいかがでしょうか。頭を使い、なんとかして危機をかいくぐる方法を考えましょう。
まとめ
優しさは幸せになるために不可欠です。しかし、優しいだけでは、貧乏になる可能性も否めないため、誰にでも優しくすることは、賢いこととはいえません。世の中には、魑魅魍魎のような危険人物が必ずいます。だからこそ、「戦略的な」優しさを身につけることが大切です。【参考文献】
- 論文:Jessie Sun, Scott Barry Kaufman, and Luke D. Smillie, 2016, "Unique Associations Between Big Five Personality Aspects and Multiple Dimensions of Well-Begin", Journal of Personality, 86(2), pp. 158-172
- 論文:Sandra C. Matz, and Joe J. Gladstone, 2018, "Nice guys finish last: When and why agreeableness is associated with economic hardship", Journal of Personality and Social Psychology
- 書籍:アダム・グラント, 2014, 『GIVE & TAKE 「与える人」こそ成功する時代』, 三笠書房