貯蓄

持ち株が含み益…どうすればよい?

今回は、「持ち株が含み益を出したとき、どうすればよいのか?」、僕なりの考えを共有します。

中原 良太

執筆者:中原 良太

エビデンスに基づく資産活用&マネープランガイド

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さいきん、Youtubeで生放送をしていると、個別株に関するご相談を沢山頂きます。中でも多いご質問がコチラです:
 
「持ち株が含み益を出しています。いつ利益確定すればよいでしょうか?」
 
いわゆる「株本」を読んでも、「株の買い方」は書いてあっても、「株の売り方」について書かれていないものが多いです。それもあり、「株を買ったのはよいけど、いつ売ればよいか分からなくなってしまった!」と戸惑う投資家が多いようです。
 
そこで今回は、「持ち株が含み益を出したとき、どうすればよいのか?」、僕なりの考えを共有します。
 

含み益が出たときに考えるべき3つのこと 

株価が上がったときに考えるべきことは3つあります。
 
1つ目は、「このまま株を持ち続けるべきか?」という点です。
2つ目は、「ほかの株に乗り換えるべきか?」という点です。
3つ目は、「資産配分をどうやって 調整するか?」という点です。
 
これらの3点を抑えることで、上手に株を売ることができます。以降では、それぞれのポイントについて、詳しく解説していきます。
 

ポイント1:このまま株を持ち続けるべきか?

含み益が出た時に考えるべきポイント1は、「このまま株を持ち続けるべきか?」という点です。
 
自分の持ち株が割安な場合は、無理して売る必要はありません。割安である限り、まだまだ株価が上がると期待できます。よって、持ち株が割安の場合は、保有を継続して、「もっと含み益が増えるのを待つ」のがよいでしょう。
 
一方、株価が上がって含み益が出ているということは、「持っている株が値上がりし、割高になってきた」ということでもあります。もし、自分の持ち株がすでに割高水準であれば、早く売ってしまい、他の割安な株を買った方がお得です。
 
ちなみに、株の割安性を知るには、「予想PER」を確認するのが有効です(1)。目安として、「予想PERが20倍を超えると割高!」「予想PERが15倍を切ると割安!」と言われています。
 
よって、株を売るときの目安としては、持ち株の予想PERが20倍を超えてきたら、割高水準なので売るとよいでしょう。
 

ポイント2:ほかの株に乗り換えるべきか?

含み益が出た時に考えるべきポイント2は、「ほかの株を買うべきか?」という点です。
 
前述したとおり、株価があがると持ち株の割安感が薄れます。持ち株が割高になった場合は、とうぜん売るのがよいと考えられます。しかし、たとえ持ち株がまだまだ割安でも、売った方がよい場合があります。それは、「自分が持っている株よりも、もっと割安な株が現れた場合」です。
 
仮に、自分が持っている株よりも割安な株がある場合は、そちらの株に乗り換えた方が、お金を増やしやすいハズです。その場合は、持ち株がまだまだ割安だとしても、乗り換えを検討すべきでしょう。
 

ポイント3:資産配分をどうやって調整するか?

含み益が出た時に考えるべきポイント3は、「資産配分をどうやって調整するか?」という点です。
 
Financial Analysts Journalに掲載された論文(2)によれば、年金運用のパフォーマンスを調べた結果、「資産配分で運用成績の8割~9割が決まる!」ことが分かったのだとか。
 
安易に利益確定をして資産配分を変えると、お金を増やすチャンスを失う可能性があります。よって、株を売るときには、「持ち株のうち何株を売るべきか?」「株を売って得た現金で、別の株をどれくらい買うか?」といった点に目を向けて、理想の資産配分を維持するよう心がけましょう。
 

まとめ

自分が持っている株の株価が上がると嬉しいものです。決算を詳しく分析したり、企業価値を分析したりして、手間をかけて見つけた株なら、利益が出たときの喜びは尚さらです。
 
しかし、「株価が上がって含み益が出た!」からと言って、ウカウカしてはいられません。そのときは含み益が出ていたとしても、ここで対応を間違えると、大きく損をする危険があります。含み益に喜ぶのもよいですが、浮かれすぎて失敗しないように気を付けましょう。
 
 
●参考文献
  1. 論文:S. Basu, 1977, "Investment Performance of Common Stocks in Relation to Their Price-Earnings Ratios: A Test of the Efficient Market Hypothesis", The Journal of Finance, 32(3), pp. 663-682
  2. 論文:Gary P. Brinson, L. Randolph Hood, and Gilbert L. Beebower, 1986, "Determinants of Portfolio Performance", Financial Analysts Journal, 42(4), pp. 39-44
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