貯蓄を増やすためには正社員にならないとダメですか……

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回の相談者は、現在契約社員で働く34歳のシングルマザー。今はまだ貯蓄ができているが、契約社員のため、将来が不安。正社員時代にうつ病になった経験から再度正社員で働く自信はないとのこと。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。※マネープランクリニックに相談したい方はコチラのリンクからご応募ください。(相談は無料になります)

 
老後までに貯金を増やしたい

老後までに貯金を増やしたい


■相談者
ぽよんさん(仮名)
女性/契約社員/34歳
東京都/実家
 
■家族構成
子ども(5歳)、父親(嘱託社員/70代)、母親(無職/60代)、兄(無職/40代)
 
■相談内容
今は実家のため貯金も出来ていますが、この先シングルマザーで教育費や老後までに貯蓄が増やせるか心配です。数年前にうつ状態で休職から退職した経緯があり、正社員でやっていく自信が持てないのですが、やはり貯金をしていくには正社員で働いて収入を増やしていくしかないでしょうか。今はフルタイムの契約社員で、人間関係などは良好です(3年目)。また、つみたてNISAを1万円(8資産均等型の投信)、iDeCoを2万円(日本株式インデックス系3:外国株式インデックス系3:外国債券インデックス系3:日本株投信1)始めました。
 
■家計収支データ
相談者「ぽよん」さんの家計収支データ

相談者「ぽよん」さんの家計収支データ



 
■家計収支データ補足
(1)前職について
正社員時の収入は手取りで約22万円、ボーナスは8万円。専門職。現時点で同じ仕事に戻る予定はなし。
 
(2)現在の職場について
厚生年金は加入している。
 
(3)加入保険について
・本人/共済保険(定期タイプ、保険期間44歳、死亡保障1000万円)=毎月の保険料1075円。
・本人/医療保険(終身保障60歳払込終了、入院5000円、がん特約、通院特約付き)=毎月の保険料3737円
・本人・子ども/個人賠償責任保険(補償額3億円)=毎月の保険料160円
・子ども/学資保険(17歳満期、満期金320万円)=毎月の保険料1万4100円
 
(4)体調について
相談者コメント「通院や投薬(主に漢方)は半年くらいで終了しており、ここ3年弱くらいは何もしておりません。再発は不明ですが、前職の専門職は一度離れ、再び戻ったもののうまくいかず体調を崩すきっかけとなった為、戻る予定はありません。また、普段の生活を過ごすのに精一杯でスキルアップなどに時間も労力も使えていないのが現状です」
 
(5)実家について
築17~18年といったところ。今のところ緊急にリフォームを要する必要性ない。
 
(6)相続について
相談者コメント「同居の兄が実家を相続する予定の為、将来的には出ていく必要もあると思います。預貯金などの相続は多少あるかもしれません」
 
■FP深野康彦の3つのアドバイス
アドバイス1 実家を出ても老後資金は用意できる
アドバイス2 長く働くことが最善の老後対策
アドバイス3 正社員より現状維持を目指す
 

アドバイス1 実家を出ても老後資金は用意できる

まずは今後のキャッシュフローですが、とりあえずお子さんが高校卒業となる今後13年間を試算してみます。
 
毎月の収入ですが、児童扶養手当が仮に今年から支給されなくなったとします。また、児童手当は15歳までなので、家計には反映させず、最後に今後の総受給額を加算します。そのため、収入は手取りで19万円。支出が9万8000円ですから、9万2000円の黒字。これをすべて貯蓄(一部は投資)するとおよそ1435万円。これに児童手当の受取額120万円と今ある貯蓄、さらに学資保険の満期金320万円を加算すれば、合計で約2950万円となります。
 
ここから教育費を差し引きます。小学校から高校までは公立、大学をやや高めの私立理系として費用を1000万円(習い事、学習塾等の学校外教育費も含める)とすれば、残りは1950万円ということになります。
 
では、それ以降のキャッシュフローはどうでしょうか。養育費がいつまで続くか不明ですが、たとえ18歳で終了するとしても、学資保険の保険料の支払いも17歳で終わりますから、結果的に家計収支はさほど変わりません。したがって、その後も月9万円の貯蓄が可能、ということになります。しかし、いずれご実家を出ることが予想されます。そうなると、当然それ以降の家計支出は増加します。
 
具体的には、家賃と食費、水道光熱費を合わせて、お子さんと同居なら月13万~15万円、お子さんが独立して一人暮らしになっても10万~12万円はかかるでしょう。現在それが5万円で済んでいるわけですが、コストアップは平均して6万円~9万円。それでも、赤字を出さない程度の生活なら無理ではないはず。実家を出られる時期を大学に入学した時点とすれば、60歳まで手持ち資金には手をつけることなく、あるいは多少貯蓄ができて2000万円超(投資の評価額は変動しないとする)ということも十分考えられます。そして、それがイコール、ぽよんさんの老後資金ということになります。

しかも、これはやや「厳しめ」の試算です。養育費は18歳まででストップ、児童扶養手当は今年支給が0になって、13年後には実家を出るという前提です。
 

アドバイス2 長く働くことが最善の老後対策

ともあれ、問題はそれで老後資金が足りるかどうかですが、どちらにしても明言はできません。ただし、足りるようにするためには、少なくとも公的年金が支給される65歳までは、元気に働いてほしいところ。収入としては、貯蓄はできなくても、生活をカバーできる程度が理想。であれば、65歳以降、公的年金に対して生活費が月3万円足りないとしても年間で36万円。90歳まで生きて900万円ですから、それでも1100万円余ります。老後の予備費(医療費や介護費用など)としては十分です。さらに100歳まで生きても740万円余ります。

また、60歳以降の収入が低い場合でも、例えば65歳以降も月数万円アルバイトをすれば、そこでカバーもできます。
 
そう考えると、やはり健康が欠かせません。もろちん、ぽよんさんが言うように、正社員になって収入が上がれば、老後資金にもさらに余裕が生まれるでしょう。しかし、それによって病気が再発したり、体調を崩してしまっては、元も子もありません。もっとも避けるべきことは、たとえ一時的であっても働けなくなることです。
 

アドバイス3 正社員より現状維持を目指す

収入に関しては、現状を維持することが最優先。そこから何ができるか、どうマネープランを組み立てるか。逆算して考えるべきです。しかも、厚生年金には現在加入できているのですから、無理をしてまで正社員を目指す必要はないと考えます。
 
家計は本当に頑張っています。まったく無駄がありません。
投資についても、よく勉強されています。つみたてNISAとiDeCoの積立額もこのくらいがちょうどいいでしょう。しいて言えば、iDeCoのポートフォリオですが、日本株投信と同じく日本株のインデックス型、どちらかに一本化してもいいのでは。それと現状では、日本株3に対して、外国株の割合は3ではなく4でもいいと思います。ともあれ今後は、必要に応じて適宜リバランスさせていくことを心掛けてください。
 

相談者「ぽよん」さんより寄せられた感想

漠然と仕事や将来についての不安が常にありましたが、今回深野先生にアドバイスを頂いて、焦らずコツコツと、仕事や貯金を頑張っていけばなんとか大丈夫そうかな、と思える事が出来ました。背中をそっと押して頂いたような気がして嬉しかったです。本当にありがとうございました!


教えてくれたのは……
深野 康彦さん
 
 

 


マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。近著に『55歳からはじめる長い人生後半戦のお金の習慣』(明日香出版社)、『あなたの毎月分配型投資信託がいよいよ危ない!』(ダイヤモンド社)など


取材・文/清水京武

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