残念なことに、日本人は資産運用を敬遠しがちです。悪徳な業者が多いせいか、「資産運用や株式投資=ギャンブルで危ないこと」というイメージが強いようです。
さらに、「貯金さえしていれば絶対に安全!」と思っている方も多いのではないでしょうか。しかし、貯金にも弱点はあります。むしろ、筆者は「貯金だけだと失敗する可能性の方が高い」と考えています。
また、「資産運用は金持ちがやることだ」と考えている方も多いようです。しかし、これも筆者は間違いだと考えています。お金がたくさんある人は、資産運用などしなくても問題ありません。むしろ、お金が減ったら生活に困る人こそ、正しいお金の知識を身に付けなければならないのです。
そこで今回は、貯金を過信している方に向け、貯金だけだと危ない根本的な2つの理由を説明します。
貯金だけだと危ない理由1:インフレリスク
貯金だけだと危ない理由1つ目は、「インフレリスク」です。インフレリスクは、「インフレーションリスク」の略で、貨幣の購買力が実質的または長期的に低下することです。そうなると、気づかないうちに「貯金の価値も下がる」ということです。たとえば、2013年に日本銀行は、物価上昇の目標を「年に2%」と定めました。仮にインフレが実現すると、毎年2%ずつ物価が上がります。
「物価が上がる」というと分かりにくいかもしれません。しかし、「毎年2%ずつ、預金が減らされる」と言われたらどうでしょう。1000万円の貯金をしている人は、何もしなくても毎年20万円を失うということです。そう聞くと、怖いですよね。
貯金だけだと、インフレが起きると気づかないうちにお金が減ることになります。貯金はインフレには弱いのです。インフレに備えるには、貯金だけではなく、株式などにも資産を分散することが大切です。
貯金だけだと危ない理由2:円安リスク
貯金だけだと危ない理由2つ目は、「円安リスク」です。円安とは、円が外国通貨に比べて相対的に価値が低下することです。つまり、円安になると気づかないうちに「円の価値が下がる」ということです。たとえば、2013年以降アベノミクス相場によって円安が大きく進行しました。一時は1ドル=80円付近と円高だった為替レートが、3年で1ドル=120円付近まで円安が進みました。
これはつまり、「たったの3年間で、円の価値が3分の2になった」ということです。3000万円の貯金をしていた人は、アベノミクスの影響で2000万円くらいの価値に下がってしまったということです。額面(見た目)こそ変わりませんが、円安によって多くの方が損をしました。しかも、「損をした」という事実に、多くの人が気づいていないのだから、恐ろしいですね。
貯金だけだと、円安が起きると気づかないうちにお金が減ることになります。貯金は円安に弱いのです。円安に備えるには、日本の株式や貯金だけではなく、外貨や外国株式などにも資産を分散することが大切です。
まとめ
インフレリスクと円安リスク。この2つのリスクがあるので、「貯金さえしていれば安心!」とはいえません。インフレや円安は目に見えにくいので、損をしていることに気づかないだけなのです。
お金をたくさん持っている人は、多少お金が減ったところで、豊かな生活ができるでしょう。だから、インフレリスクや円安リスクを、さほど意識しなくても平気だと思います。しかし、お金を持っていない人は、「お金が減ると困る」という方も多いはずです。
切実な人ほど資産を運用して、上手にお金を守らなければなりません。本記事の内容を参考に、上手にお金を守る方法を考えましょう。
お金を守る方法を知りたい方は、本記事と合わせて上手にお金を守る方法をまとめた「もっとも手堅い『自分年金』の作り方とは?」「お金で失敗したくない人にオススメな資産運用方法って?」をご覧ください。
●参考文献
- 事典:ブリタニカ国債大百科事典 小項目事典
- 記事:ロイター, "日銀が「2%物価目標」と「無期限緩和」導入、物価上昇見通しは改善小さく", 2019年1月14日時点
- 記事:日本経済新聞, "株高41年ぶり、円安34年ぶり…歴史的値動きの1年", 2019年1月14日時点