『デリカD:5』が売れ続けている理由
2018年は久々のフルモデルチェンジ車であるエクリプスクロスにこそ抜かれたけれど、ここ数年、三菱自動車の登録車(白ナンバー車)で最も売れていたのが2007年1月に発売されたデリカD:5だった。途中、何回かマイナーチェンジし、クリーンディーゼルを搭載するなど手は加えてきたけれど、基本的に12年間大きな変更をしていない。
では、なぜ売れ続けていたか? 優れた悪路走破性(雪道を含む)を持つ3列シートミニバンを買おうとしたら、デリカD:5しかないからだ。ノア3兄弟にしてもセレナにしてもアルファード/ベルファイアにしても、悪路や雪道走破性は普通の乗用車レベルだ。デリカD:5といえば、最低地上高の低いSUVよりタフな走りである。
今回新型のお披露目にあたり、以前スバル フォレスターが試乗で使った悪路コース(普通の4WD乗用車だと床下を擦ったり、車輪が宙に浮いて駆動力失ったりする泥の登り坂)をデリカD:5も使った。結果、フォレスターと遜色ない走破性を確認できた次第。依然として「SUVの性能持つ3列シートミニバン」は健在だと感心しきり。
エクステリアもインテリアも上質になった新型『デリカD:5』
紹介が前後した。今回の変更で最も大きいのは写真を見て頂ければ解る通り、エクステリアだ。最近ミニバンは「押し出しの強い顔つき」の人気が高い。三菱自動車もその流れに乗った、ということ。「やり過ぎ!」という声が出ているようだけれど、私は三菱自動車の新しいデザインテーマである「ダイナミックシールド」の味を上手に出していると思う。
お客さんの評判も良いそうな。合わせてインテリアの質感を大幅に向上させてきた。大きい液晶画面やウッド調パネル、ステッチ入りシート地などなど、従来型と比べ2ランクくらい上級のクルマになった感じだ。エクステリアもインテリアもフルモデルチェンジでなく大がかりなマイナーチェンジながら、とても効果的だと思う。
別物?と感じるくらい変化したディーゼルゼルエンジン
ハード面は大きく進化した。従来型デリカD:5に搭載されていたディーゼルエンジンは、乗ったら誰だって「ディーゼルですね」とわかるくらい賑やかな音を出す。新型も基本的には同じエンジンを使うが、大幅に手を加えたという。カンカン、キンキン、カリカリというディーゼル特有の騒音は限りなく小さくなり、アイドルストップ機能を加えた。さらにパワーとトルクを向上させ、ATは6速から8速にグレードアップ。テストコース内という限られた条件ながら、全く別のエンジンになったと思ったほど。排気ガス処理は信頼性と耐久性の高い尿素SCR式(尿素水も定期的に補給する)を採用している。今や世界的にこのタイプの排気ガス浄化システムが使われ始めた。
試乗で体験してほしい、走りと乗り心地
走りのレベルアップもハッキリわかるほど。元々デリカD:5のシャシは、ラリーで鍛えたランサーエボリューションがベースなっている。したがって先代も好評だった。されど新型になり一段と手を加え、ステアリングギアボックスやサスペンションの見直しなど行った結果、素晴らしい直進安定性と乗り心地になった。ぜひディーラーで味見をして欲しい。
また、自動ブレーキに代表される電子装備はアウトランダーPHEVと同等にアップグレードしている。渋滞時など先行車に続き自動停止する機能や、自動車だけでなく歩行者も検知して自動ブレーキを掛けてくれる。繰り返すが、スライドドア式3列ミニバンで悪路走破性やディーゼルエンジン搭載車を選ぼうとすれば、デリカD:5しか選択肢がない。