KTMのスーパースポーツモデルRC125

RC125 フロントビュー

KTM RC125のフロントビュー

KTMはもともと、オフロードバイクのイメージが強かったオーストリアのバイクメーカー。しかし2008年ぐらいからストリートファイタースタイルのDUKEシリーズに力を入れており、先日筆者が試乗した390DUKEを中心に、国内でもスポーツモデルが人気となっています。
 
ところで390DUKEには、同じフレームを採用している排気量違いの125DUKEと250DUKEという兄弟バイクがいます。この3つのバイクは「スモールDUKE」シリーズと呼ばれているのですが、このスモールDUKEシリーズからは「RCシリーズ」というバリエーションモデルも登場。ネイキッドスタイルのDUKEに、カウルを纏ったスーパースポーツモデルに仕立てられているのがRCシリーズの特徴です。
 
今回試乗でお借りしたのは、そんなRCシリーズのRC125。排気量125ccのスーパースポーツモデルです。国内では2018年の1月に発売されたばかりのスズキ(SUZUKI)GSX-R125も、RC125と同じフルサイズスーパースポーツモデルに分類されます。そんなGSX-R125とRC125の違いはどのようなものでしょうか? 今回も都内の通勤で試乗したインプレッションをお届けします。
 

独自のデザインが目を引くRC125の装備とデザインをチェック

カウルに見えますがシートなんです。座れるんです。

カウルに見えますが、シートなんです。座れるんです。

個性的なデザインが印象的ですが、よく見てみるとあちこちにこだわりのパーツが散りばめられているRC125。ヘッドライト周りに目がいきがちですが、装備を見ているときに特に驚いたのは、パッセンジャーシート。
 
ぱっと見るとシングルシートカウルに見えるので、一人乗り仕様かなと思うこちらのパーツ。しかし触ってみると柔らかく、タンデムステップも装着されています。実はシングルシートカウルの形状を採用しつつ、シートとして仕立てられているのです。このアイディアには驚きました。ただタンデムに向いている形状とは言えないので、長時間のタンデムはきついかもしれません。クッション性はありますが、シートとしてはやや硬めです。
フロントスクリーンはサイドの方までカバーするデザインになっている。

フロントスクリーンはサイドの方までカバーするデザインになっている。

次にフロントスクリーン。ウィンドプロテクション効果は、伏せて乗れば多少風を受け流してくれるかな、という程度だったので、あまり期待してはいけません。しかしそのスクリーンの形状には驚かされました。サイドの方までスクリーンがのびてカウル(外装)の代わりも担っています。なんとミラーもスクリーンにマウント。あまり見かけることのない斬新なデザインです。
ウインカーはミラーのシャフト部分に埋め込まれている

ウィンカーはミラーのシャフト部分に埋め込まれている

ミラーのシャフトの部分には、LEDのウィンカーが埋め込まれています。ミラーの境面裏側にウィンカーが埋め込まれている車種はスーパースポーツバイクなどで見かけますが、シャフト部分に埋め込まれている車種は初めて見ました。
タンクの前部分はダミーでバッテリーが納まっている

タンクの前部分はダミーで、バッテリーが納まっている

タンクは縦に長く、シートポジションからハンドルまでもやや遠い印象です。実はタンク前側には、バッテリーが納められています。前後の重量配分を調整する上で、重いバッテリーは前の方に搭載した方が良いという判断なのでしょう。ちなみにバッテリーが納まっているカウルの開閉は、鍵で取り外し可能なシートの下にあるワイヤーフックを引っ張ることで可能になります。
二眼のLEDヘッドライトはデザインの特徴になっている

二眼のLEDヘッドライトは、RC125のデザインの特徴になっている

ヘッドライトは二眼で、ハイとローがそれぞれ別に点灯する仕組み。ヘッドライト下には
LEDのデイライトが埋めこまれているのですが、これがデザインのアクセントになり高級感も漂わせています。ハンドルの操作系スイッチのマークにもLEDが仕込まれていて、夜間でも見やすくなっていました。
 
RC125の兄弟車両、RC250とRC390には装備されているPASCスリッパークラッチ(クラッチの操作とギアダウン時のリアタイヤのロックを緩和する機構)は、RC125には装備されていません。しかしRC125のクラッチは非常に軽いので、ご安心を。
SETボタンの下が隠しボタンになっている

SETボタンの下が隠しボタンになっている

RC125はABSが標準装備されていますが、オフにすることも可能。メーターパネルに「MODE」と「SET」という2種類のボタンがありますが、これらのボタンではABSは解除できません。SETボタンの下側に隠しボタンがあるので、それを長押しするとABSをカットできる仕組みです。
 
エンジン始動時は、セルモータースイッチをワンプッシュするだけで、エンジンがかかるまで勝手にモーターが回る仕組みを採用しています。国内ではスズキのモデルに採用されることが多いシステムです。
 

RC125の足つき・燃費・ハンドルポジション・価格は?

RC125 サイドビュー

KTM RC125のサイドビュー

RC125のシート高は820mm。ネイキッド仕様の125DUKEよりもシート高が10mm低いのが不思議ですが、サスペンションは非常に柔らかく、ライダーがシートに跨るとかなり沈み込みます。シートの形状も左右が絞り込まれたデザインになっているので、足をおろした際にステップなどが当たることもなく、足つき性は良好。さらに乾燥重量が135kgと超軽量なので、足つき性を不安に感じることはあまりないかもしれません。
 
RC125は排気量125ccなので下道オンリーで、エンジンを比較的ガンガン回して走ってみました。その際の燃費は31.27km/h。RC125のガソリンタンクの容量は125DUKEに比べて3.4L少ない10Lなので、計算上の連続航行距離は312.7km。必要にして充分と言えるでしょう。
 
そして気になるRC125の価格は51万円(税込み)です。KTMでは排気量の大きいモデルを本社のあるオーストリアで生産していますが、排気量の小さいモデルは輸入の際の関税が安いインドで製造しています。RC125の生産国はインド。KTMの全モデルの中でも価格が抑えられている印象です。しかしライバル、スズキ・GSX-R125はインドネシア生産で38万6640円(税込み)。この価格差は決して小さくはありません。
 

3速までは法定速度内でレッドゾーンまで回せるのが楽しい!

RC125リアビュー

KTM RC125のリアビュー

排気量250cc以上のバイクになると、エンジンをレッドゾーンまで回せばあっという間に法定速度に到達してしまうので、早めにシフトチェンジする必要があります。一方排気量の小さいRC125は高回転でパワーが出力される設定になっているので、低い回転でシフトアップしてしまうとパワーが出ません。
 
同じ原付二種でも、ホンダ(HONDA)PCXやヤマハ(YAMAHA)シグナスXが信号で並ぶと、RC125は出足の加速で完全に負けてしまいます。RC125にはシフトアップインジケーターが装着されているのですが、それは7000rpmぐらいから点灯します。RC125がパワフルに加速し始めるのは、まさにそのインジケーターが光ってから!
 
7000rpm以降の高回転でのパワー感は、125ccクラスのバイクとは思えないほど。10000rpm以上まで伸びやかにふけあがり、高回転域を維持してパワーバンドに入れたまま走ると、通勤快速スクーターを寄せ付けない加速をみせます。
 
ハンドリングも非常に軽く倒しこみも軽いのですが、サスペンションのセッティングはやや柔らかすぎる印象。加速時はしっかりと路面を掴んでくれるのですが、減衰力が弱めでギャップを拾った際などのツキ上げはやや強めでした。
 
RC125は原付二種クラスなので、高速道路の走行は不可。下道では60km/hまでしか出せませんが、最高速は100km/hを軽く超えます。タイヤサイズは前後17インチで幅がフロント110、リアが150と、125ccとしてはかなり幅広のタイヤサイズが装備されています。車体も同じRCシリーズで排気量の大きいRC390と共通なので、剛性は充分。このパワーや安定感はサーキットなど100km/h以上で走行する際にも魅力的ですが、街乗りとして60km/hで巡航する際にも、安定感抜群です。
 

国内の同ジャンルバイクGSX-R125とどっちが買い?

スズキのGSX-R125も規格外の走りを見せてくれるが・・・

スズキのGSX-R125も規格外の走りを見せてくれるが……

国内メーカーの125ccスーパースポーツバイクと言えば、スズキ(SUZUKI)のGSX-R125。RC125の購入を検討しているなら、同ジャンルのGSX-R125も購入候補に入ってくるのではないでしょうか?

GSX-R125とRC125の違いは2つ。剛性感とパーツの質感です。まず剛性感ですが、390ccのバイクと共通シャーシを採用しているRC125は、当然ながらフレームもガッチリしています。またRC125はタイヤのサイズも390ccのバイクと共通なので、GSX-R125と比べると前後とも2サイズずつ太いタイヤを装備しています。これらの装備の違いから、RC125はGSX-R125より走りに剛性感があるのです。
 
またパーツの質感も2車両で異なります。RC125は390ccのバイクと共通のパーツを採用しているので、ホイールやハンドル、メーター周りなどの質感が非常に高く、所有感を満たす仕上がりとなっています。GSX-R125とRC125の価格差は12万3360円。さすがにここまで価格に差があると、装備のレベルも異なります。
 

クラスを超えた装備と使いきれるパワーがRC125の魅力

今回は街中での通勤でRC125に試乗しましたが、個人的にはタイトなコーナーが続く山道の走行でかなり楽しめそうな印象を受けました。バイクのパワーに頼った走りをすることができないので、無駄のないライディングの練習になりそう。
 
もちろん街中の走行は快適で、パワーバンドに入れながら走れば、車の流れをリードして走行することもできちゃいます。コーナリング時も過度なブレーキングは無用。車体がサクサク寝てくれるので、エンジンの回転を合わせながら2つぐらいギアを下げれば、ノンブレーキでコーナーに入ることができます。排気量の大きい兄弟車両と異なり、RC125にはスリッパークラッチが装備されていないので、シフトダウン時に回転を合わせることは大事です。エンジンブレーキはわりとカッチリ効きます。
 
タイヤのサイズやフレームなど、125ccにしてはオーバースペックな装備が採用されているRC125ですが、巡航時には抜群の安定感があるので、ライディングに余裕が生まれます。価格は原付二種にしてはやや高めですが、価格なりの所有感と性能をきっちりと見せてくれるバイクです。
 

RC125を少しカスタムするなら

カスタムの定番と言えばマフラーですが、RC125のマフラー交換はあまりおすすめできません。理由はひとつ。認証マフラーが販売されていないから。国内の公道をバイクで走行するには、そのバイクが排気ガスと騒音の規制に適合していなければなりません。ノーマルマフラーはもちろん適合していますが、マフラー交換の際には規制に適合するマフラーを選択する必要があります。認証に適合したマフラーはJMCA、政府認証マフラーとしてサイレンサーの裏側に認証プレートがリベットで固定されますが、残念ながらRC125用の認証マフラーは販売されていません。ただしレースで使う場合には、公道使用不可のレース用マフラーがあります。
  RC125で下道ツーリングに行くなら、スマホナビが必須になります。バッテリーの消耗が激しいスマホナビ用に、USB電源は備えておきたいところ。ただRC125のハンドル周りにスマホホルダーを装着するには、少々工夫が必要そうです。タンクバッグを装着してスマホを収納するのが、シンプルでおすすめです。
 

 RCスペック詳細

車種名:RC125
カラー:オレンジ
車両重量:135kg(乾燥重量)
シート高:820mm
ガソリンタンク容量:10L
 

RC125関連リンク


 

※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。