株主優待とは、投資先の会社から、株主に向けて配布される「プレゼント」のようなものです。リスクがあるとはいえ、株を保有しているだけでプレゼントが貰えるので、投資家から人気のある制度であるようです。
とはいえ、マネー誌で特集されている「株主優待銘柄」には、注意が必要であるのも事実でして。「マネー誌で紹介されている銘柄を買っても、中長期で見れば利益になりにくい!」なんて話も有名です。
プロが推奨している銘柄などに飛びついても、あなたが損をしたとしても、彼らはあなたのことを助けてくれません。ですから、株主優待銘柄を買うときには、マネー誌などを頼りにすることなく、自分で「安全に魅力的な優待を受け取れそうな会社」を見つけるようにしたほうがよいです。
そこで今回は、株主優待で損をしないために、上手に優待銘柄を選び、買い時を見極める2ステップ投資術をご紹介しましょう。
ステップ1:株主優待銘柄の割安性を確認する
個人投資家の方にありがちなミスとしては、「株主優待が欲しいあまりに、割高な株を買ってしまう!」という行動が挙げられます。優待に目が眩むあまり、1000円札を1万円で落札するようなことをしているのです。当たり前の話ではありますが、いくら株主優待を受け取るためとはいえ、割高な株を買うのは賢い判断とは言えません。だから、どんなに魅力的な株主優待を見つけたところで、「割高な株は買わない!」と決めておくことが大切です。
割安株を見つける方法としては、「予想PER」という指標を確認するのがオススメです。経済学者のBasuの研究(1)によれば、「PERが低い割安な株ほど、株価が上がりやすい!」という傾向が確認されています。
予想PERを見る時の目安としては、「予想PERが20倍を超えると割高!」「予想PERが15倍を切ると割安!」と言われています。これらの数値はあくまでも目安ですが、株主優待銘柄を買うときには、可能な限り予想PERが低い割安なものを選ぶとよいでしょう。
株主優待銘柄には、予想PERが30倍を超えるようなものも散見されます。どう見ても割高ものも多いので、割高なものはできる限り避けるようにしましょう。
ステップ2:権利確定の3カ月前に買う
割安な株主優待銘柄を見つけたら、次に「いつ株を買えばよいのか?」を調べましょう。具体的なタイミングについては、日本の学者が素晴らしい研究を行ってくれています。結論から申し上げると、株主優待銘柄を買うときは、「権利確定の3カ月前」がよいです。日本での研究(2)によると、株主優待銘柄の株価は、権利確定の3カ月前から値上がりしやすい傾向が確認されました。
この話を言い換えると、権利確定の3カ月前からは株価がグイグイ上がっていくと考えられますので、「権利確定直前になってから株を買うと、割高なものを掴まされる可能性が高い」とも言えるでしょう。
良い優待銘柄を見つけても、タイミングを間違えれば損につながります。そうならないように注意しましょう。
まとめ
「割安な株主優待銘柄を選ぶ!」「権利確定の3カ月前に買う!」
やることはシンプルですが、この2点を守ることで、損をする確率を下げることができると期待できます。上手に株主優待を受け取りたい方は、ぜひ参考にしてみてはいかがでしょうか。
●参考文献
- 論文:S. Basu, 1977, "Investment Performance of Common Stocks in Relation to Their Price-Earnings Ratios: A Test of the Efficient Market Hypothesis", The Journal of Finance, 32(3), pp. 663-682
- 論文:野瀬義明, 2015, “株主優待実施企業の株式パフォーマンス”, 証券経済学会年報, 第49号別冊