妊娠できないのはなぜ? 「二人目不妊」のつらい悩み

二人目の妊活のイメージ画像

二人目不妊に悩まれる方も漢方外来には多くいらっしゃいます。特有の悩みもありますので、事例と漢方での対処法を紹介します。


「子供を連れて、病院に行くのを躊躇していたら、時間が過ぎてしまっていました。」

「一人目がすぐに出来たので、大丈夫だと思っていたら、なかなか二人目を授かることができず、兄弟、姉妹が欲しいと言う子供の言葉に、申し訳なく感じています。」

漢方外来では、二人目不妊のご相談で、このようなお話を伺う機会もよくあります。

漢方は心身の状態を把握して、処方を検討しますので、お気持ちについても伺いますが、二人目不妊には、二人目不妊ならではのお悩み、そして、注意点があると感じています。また、私自身も二人目不妊の経験があり、今回は、私の経験や、ご相談者様の体験談なども踏まえて、二人目不妊への漢方の効果をご紹介したいと思います。
 

二人目不妊ならではの原因・悩み……タイミング・育児による多忙・加齢等

そろそろ二人目を……と希望しているのになかなか妊娠できない、というご相談を伺っていると、一人目の時にはなかった悩みを抱えていらっしゃることが多いです。
  • 一人目の育児に追われて、なかなかタイミングが取れない
  • 不妊治療を受けたいが、子供を預かってもらえる場所が少なく、通いづらい
  • 仕事、育児、家事などに追われ、二人目を妊娠して大丈夫かと不安になる
  • 一人目の妊娠時よりも年齢を重ねているため、焦っている
  • 一人、子供がいることもあって、治療にお金をかけることができない
  • 産後、月経量が少なくなるなど、月経に伴う変化が気になっている
  • 一人目の産後に心身の不調が続いたので、次の妊娠に踏み出せない

このようなお悩みを伺い、状態や体質に応じて、適した漢方の処方をご提案していきますが、どのケースでも子育てをしながらの妊活には体力と気力が必要だと感じます。そのため、体力、気力を養っていく処方を使っていくことが多いのですが、お体の状態により、妊娠されるまでの期間は様々です。以下では、実際の事例に基づいた3つのケースを挙げながら、二人目妊活における注意点、処方した漢方と妊娠までの期間などを、ご紹介させていただきます。
 

【事例1】産後に月経が再開しなかった二人目不妊のケース……「肝」の不調を取り除く漢方を処方で2カ月後に妊娠

一人目出産後に月経が再開しなかったTさん(38歳)。Tさんは、一人目を32歳で妊娠、33歳で出産された後、2年間月経が戻らないということで、漢方相談にいらっしゃいました。もともと生理不順ではあったものの、一人目を自然に授かれたこともあって、不妊症の心配はされていませんでしたが、二人目が欲しいという気持ちになって専門のクリニックを受診したそうです。しかしそのクリニックの方針が「授乳をやめないと治療はできない」というものだったため、長男のタイミングに合わせて授乳を続けたい気持ちも強く、通院を諦められたという状況でした。

授乳中は、排卵を抑える作用のあるプロラクチンというホルモンの分泌があるため、不妊治療をする場合には、このように授乳を止めてから通院するようにと指示が出る場合があります。授乳していても半年くらい経つと排卵し、自然に月経が再開することが多いのですが、授乳している間は月経が戻らないこともあります。

Tさんのように2年経っても月経が戻らない場合は、プロラクチンが過剰に分泌される「高プロラクチン血症」の可能性もあるので、改めて婦人科の受診をお勧めし、漢方では、育児、仕事、家事の両立をされているTさんの体質に合わせて、気血を養う処方を提案しました。半年ほどで月経の再来がありました。

また、Tさんには、もう一つ悩みがありました。一人目を出産後に、セックスレス状態になってしまい、自然にタイミングを取るのが難しくなってしまっていたのです。そのため、人工授精での治療をスタートされることになりました。ちょうどその頃には卒乳され、漢方の効果も出てきた時期でしたので、前向きに治療に取り組もうとされていました。しかし、実際には、育児、家事、正社員でお仕事をされるTさんにとって、人工授精の日程を組むための排卵チェックの通院や、人工授精当日のスケジュールは、大きな負担となってしまったようです。治療を始めてから8ヶ月経っても2回の人工授精しか実施できず、結果も出ないことで落ち込んでしまう……という相談を受けました。

その頃の体調はあまりよくなく、忙しくて漢方を服用するのを忘れると胃腸の不調が出たり、月経も不順になったりと、「漢方を飲まないのが怖いです」とお話しされるほど、疲れが出ている状態でした。また、妊活が長引くにつれて、PMS(月経前症候群)の症状が出て、お子様に強く当たってしまったり、イライラを旦那様にぶつけたり、また疲れた日には、ヘルペスが出てしまう……というご相談もありました。

そこで、気力を養うだけではなく、ホルモンバランスや自律神経を司る「肝」の不調を取り除く処方を加え、2ヶ月ほど経った時に実施できた人工授精で、無事に妊娠のご報告をいただくことができました。

二人目が欲しいと考えられてからは2年、初めてのご相談からは、1年半ほど経っていました。

Tさんのケースでは、
  • 授乳中とはいえ、2年間月経が止まっていたこと
  • もともと生理不順があったものの、一人目を自然に授かったことでクリニックの受診が遅れたこと
  • 一人目出産後にセックスレスになったこと
  • 育児、家事、仕事の両立に加えての通院の負担が大きかったこと
などが、妊娠に向けてのハードルになっていたと思います。

漢方では、体調と、メンタル面の処方を継続して頂き、マタニティ期間を経て、無事ご出産の報告もいただくことができました。
 

【事例2】卵巣機能の低下が見られた二人目不妊のケース……腎の働きを助け、血流改善を促す処方で4カ月後に妊娠

一人目の妊活時に比べて卵巣機能の低下がみられたEさん(42歳)。Eさんは二人目不妊で体外受精をスタートしたものの、ホルモン値が悪く、なかなかうまく治療が進まない状況でした。それまでお仕事を続けられていましたが治療との両立が難しく、体力的にも限界を感じて退職された後でした。

小学校1年生になる一人目のお子様は、1回目の人口授精で授かったそうです。当時はタイミングを半年ほどとってステップアップし、人工授精に進まれたとのこと。2年前に治療を再開したところ、卵巣刺激ホルモン、AMH(抗ミュラー管ホルモン)の数値が悪く、できる周期には採卵を進められてきましたが、良い受精卵ができず、移植まで進めたのは3回で、いずれも陰性、という状態でした。

お体の状態としては、年齢の影響もあり卵巣機能の低下がみられること、血流の悪さが気になったため、生殖能力を司る「腎(中医学の五臓六腑の一つ)」の働きを助ける処方、血流改善の処方を用いて、4ヶ月継続した後に、採卵に臨んでいただきました。

ちょうど、その周期には、ホルモン値も良好で、2つの卵を採卵でき、1つを新鮮胚で移植したところ、無事に陽性反応とのご報告を頂きました。

Eさんからは、「仕事も忙しく、少し余裕ができたら、また人工授精を頑張ろう。と話をして、積極的に妊活を考えることなく過ごしていました。でも、周りの二人目の妊娠が重なって自分の年齢を意識した時に、気持ちに焦りが出て苦しい時期もありました。主人が支えてくれましたが、ここまで時間がかかるとは思っていなかったです。」とお話をいただきました。

Eさんのケースでは、
  • 一人目を人工授精1回で授かれたことから、クリニックに行けば何とかなると思い、治療が先延ばしになっていた
  • 一人目の時に比べると年齢を重ねるため、卵巣機能の低下があった
このようなことが、二人目妊娠までに時間がかかった要因かと思います。
漢方の服用開始3ヶ月で、ご自身で体感していただいた変化は、次のような症状です。
  • 生理痛の改善
  • 月経前症候群の改善
  • 日々の頭痛の改善
  • 月経周期の安定
生理は痛いものだと認識されていたので、緩和されたことをとても喜んでくださっていました。
 

【事例3】2度の流産で二人目不妊のケース……過長月経のケアと、気血を補う処方で妊娠

産後の不調が長引き、一人目の出産後2回の流産を経験されたSさん(36歳)。Sさんのご相談は、2回目の流産を経験されて、すぐのタイミングでした。2回の連続した流産でしたので、再度の妊娠の前に、できることに取り組みたいとご相談に来てくださいました。

妊娠出産の経歴があるので考えにくいと言われていらっしゃったのですが、不育症、着床についての検査をされたところ、貧血と、ビタミンDの不足が見られるものの、他の要因に関しては検査をしても問題が出ないとのことでした。

ご相談の中で、自覚症状としてとても疲れやすく、月経過長で2週間ほど出血が続き、月の半分くらいは出血をされている状態でした。基礎体温も高温期の体温が低く、動悸やふらつきなど著しい血虚(血を含む必要な栄養素が足りない状態)が見られました。一人目の育児をほぼ一人でこなされていて、あまり眠れずに、近くに甘えられる方もなく、少し、気持ちが追い込まれていることもお話ししてくれました。ただ、ご自身が姉妹で仲が良いこともあり、お子様に弟妹を作ってあげたいという気持ちも打ち明けてくださいました。

漢方の処方では、過長月経のケアと、気血を補う処方をご提案して、半年ほど様子を見ていただきました。出血が長引くことは減り、クリニックからも鉄剤を継続してくださっていましたので、貧血の改善も見られました。気持ちの面でも落ち込むことが減ったという言葉や、旦那様から明るくなったと言ってもらえた話を聞かせてくださいました。

体調が良くなるにつれて、妊活に対しての焦る気持ちも緩和されて、しばらく一人っ子と過ごしていこうかな……と考えも変わりつつありましたが、生理がこないため検査をしたところ、陽性判定のご報告をいただくことができました。

その後、つわりは辛かったものの、順調に成長が見られ、無事出産のご報告をいただきました。Sさんのケースでは、体の不調の原因となったのは、産後の体の回復が不十分だったことではないかと思います。

旦那様はお仕事が休めず、里帰りもできなかったため、退院後は休むこともなく育児に取り組み、心身ともに追い込まれていたとのことでした。産後は、育児が優先になり、自分のことをしっかりケアする間もなく育児に取り組まれる方が多いのですが、ここで無理をしてしまうと次の妊娠に向けての体力や気力がなかなか回復しないことがあります。

床上げ3週間の養生はもちろん、その後の育児でも、生後半年くらいまでは、睡眠不足にもなりやすいので、休める時に休んで、周りに甘えられるところは甘えて、母体の回復に努めましょう。
 

二人目不妊と漢方……気血を補い、腎の働きを補う処方などを妊娠の助けに

今回は実際の二人目不妊の事例から、いくつかのケースをご紹介しました。このように、一言で二人目不妊といっても、その悩みの内容や、お体の状況、妊娠までの期間についても、個々のケースで異なります。

一人目の妊活と同じような部分もありますが、出産後の体で育児をしながらの生活で、慢性的な疲れや睡眠不足などを抱えている方も多く、妊活や不妊治療を進めていく上でも、性欲の低下や通院のハードルなどの問題が起こることが多いと感じています。また、出産経験がある分、周りからも妊娠しにくいとは思われず、「二人目は?」と聞かれたり、子供を通してのお付き合いをされる中で、落ち込まれることもあるようです。

漢方では、お産や育児によって「気(体のエネルギー)」、「血(血を含む栄養素)」を消耗すると考えますので、生活養生だけで改善が見られない場合には、気血を補う処方を使い、産後、育児中の心身を支え、次の妊娠に備えるサポートをしていきます。

また、一人目の妊娠時に比べると、確実に年齢を重ねていることから、生殖能力を司る「腎(中医学の五臓六腑の一つ)」の働きを高める処方を併用することも多くなります。

二人目妊活を始められる場合は、まずは専門のクリニックで体の状態を確認して、体を労わる養生を取り入れて頂き、なかなか妊娠に繋がらない時には、体質や状況にあわせて、漢方での心身のケアも一助にしていただければと思います。
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