閉経は「オンナ」が終わってしまうときなのか?
<目次>
アラフィフで考える閉経後のセックスと「性生活」
日本人女性の平均閉経年齢は50歳前後といわれ、アラウンド50歳、いわゆる「アラフィフ世代」がそれにあたります。筆者は40代以上の世代を、親しみを込めてオバフォーと呼び、"オバフォーからのセックスレス改善アドバイス"にも力を入れています。とはいえ人生100年時代、50歳はいまだ折り返し地点にすぎません。人生の後半戦を幸せに過ごすためにはセックスが不可欠。それどころか、閉経後に最高のセックスが訪れる可能性もあるのです。今日は幸せな閉経後のための「今」の過ごし方について考えてみましょう。
40代「ビフォー閉経」はホルモン分泌に変化
女性の身体は人生の間に何度か大きく変化しますが、出産以外の理由でホルモンの分泌に変化の兆しが訪れるのは40代、オバフォー世代です。会社では中堅から管理職へ、子どもは思春期で受験期、夫はメタボで健康が心配になりますし、まだ残る住宅ローン、そろそろ始まる介護の予兆など、40代中ば以降の女性を取り巻く環境は結構シビアです。
それでも若いつもりで無理をすると、その翌日以降どっと体に疲れが押し寄せて、「もう若くないんだなぁ」と身に染みるのがこの頃です。このあたりから体は少しずつ変化が始まって、肌のハリが失われ、髪はボッサリして艶がなくなり、気がつくと頬には肝斑が……。
「さようなら、エストロゲン。さようなら、私の中のオンナ……」など切ない気持ちになっている場合ではありません。ビフォー閉経の時期をいかに過ごすかで、アフター閉経のオンナの人生がガラリと変わるのです。
50代「アフター閉経」も愛と性にあふれた日常を
医療が発達し、日本の平均寿命は男女とも80歳を超え、夫婦で一緒に長生きすることになります。シングルの方は引き続きおひとり様で50年過ごすわけです。閉経後の長い人生を「もうおばさんだから」と自虐的に過ごすか、「これから、さらに楽しくなるわ」と積極的に過ごすかで、残りの人生の幸せ度が違ってきます。
閉経後もポジティブに、幸せに、そして願わくば愛とセックスにあふれた人生にするためには、閉経前からやっておくことがいろいろあります。今から実施しておくとよい大事なことを3つ、挙げておきます。
女性ホルモンはなくしても「オンナ」はなくさない
閉経したら女性としてみてもらえないのか? 答えはノーです。閉経後、いやむしろ、閉経後の方がセックスを楽しんでいる女性はたくさんいます。そういう方はみなさん、いくつになっても「オンナ」です。近所のコンビニに行くのだって、すっぴんのジャージ姿などではありません。自分が美しく、魅力的に見える服やメイク、持ち物や立ち居振る舞いまでしっかり意識し、計算し、努力しています。
「もう閉経したから」「オンナ卒業だから」というのは自分が、女性らしくあり続ける努力を怠ることへの言い訳でしかありません。そして、そういう人に限って、実は閉経よりずっと前、30代や40代ですでに、すでに「オンナ」を自分から放棄してしまっていたり、封印してしまっている例が多いのです。
難しいことはしなくても大丈夫。若作りをするという意味ではありません。ウエストがゴムの楽ちんファッションもいいけれど、ときにはウエストを意識した服を着てみる、肌や髪のお手入れをきちんとする、体重をしっかりコントロールする、丁寧な言葉遣いや動作を心がける、適度な運動をする、週に1度はスカートをはく……。そんな日々の小さな積み重ねが、人生の後半50年を大きく変える、大事な要素になります。
閉経後の性生活…セクシースイッチを「オン」にする
セクシースイッチは自分で「オン」にしましょう
「わたしはもうセックス卒業」と、簡単にここでセクシースイッチをオフにしてしまって、本当にいいのでしょうか? 残りの50年間、ワクワクもドキドキもキュンキュンもムラムラも……全部ない人生で本当に後悔しませんか? 追加するとジュンジュンも大切。これらの擬態語を軽視するなかれ、老後に損をしてしまいますよ。
「40代から女性の性は二極化する」というのが筆者の持論です。
性欲が開花し、性に積極的になるタイプと、性欲を封印してしまうタイプの2つに分かれます。筆者のもとを訪れる相談者は、20代よりオバフォーの方が性欲がにじみ出てくる女性が圧倒的に多いです。
なぜ40代は性欲が高まるのかというと、「減ってくる女性ホルモンに対して男性ホルモンの割合が増えてくるから」という医学的な理由のほかに心理的要因もあります。
年齢を重ねると乙女時代の「恥じらい」や「人前で照れる」という情動が減少してきます。なぜなら10代から20代、30代、40代と年齢を重ねるうちに、人はさまざまな経験を積み重ね、その経験がその人を強くします。不都合なことを回避することを覚え、自分のメリットを考えることができるようになります。
そんな40代がセクシースイッチがオンだったら、30代よりも性欲が開花するのは当然です。人付き合いもセックスも開放的になり、「ああ、恥ずかしい、こんな格好して、こんなに声を出しちゃって、なんて恥ずかしいの」と思いながらも「でも気持ちいい。好きな人に抱きしめられて」という自己の開放を果たすのです。
筆者が過去に1609名の主婦を対象に行なった性意識調査でも、オーガズムを感じる割合は40代以降にはっきり増加傾向が見えました。
人の目を気にするのはやめて自分の気持ちに素直に
閉経後に最高のセックスが訪れる可能性も十分あり得る
でも人生の折り返し点まで来れば、いろいろなしがらみから解放されて、自由な時間や自由な立場が手に入るようになってきます。そして前述のように40代から世が開花している場合は、50代で最高のセックスを経験される方もいます。「こんなにいいものだったの?!」という"気づき"がオバフォーでやってくる。
筆者の相談所に来られたあるアラフィフ女性は、まさにその例です。彼女いわく、20代の頃は肉体をバンバンぶつけ合うようなセックスをしていたけれど、相手のするがままにまかせて自分から与えることはしなかったしオーガズムも知らなかったそうです。
ところが今、「盛りを過ぎ、還暦に向かって衰えつつある身体がこれほど過敏に反応することに驚いている」とおっしゃっていました。
「何度も絶頂を迎えるし、相手が気持ちよくしてくれる分、自分も与えてあげたい。気持ちいいことをお返ししたいと思う。身体の細部まで触れて、舐めてくれる相手のことが愛しくて愛しくてたまらなく思える。こんなセックスができる男性にめぐり会えたことは女として最高の幸せ……」とその笑顔は輝いていました。
50代で初めて「本気のセックス」を経験した女性のエピソードは、この人生100年時代にこそ必要な希望でもあります。
この女性の実体験は、今現在アラサーやアラフォーでセックスレス、あるいはセックスがストレスになってしまっている女性にとって「女を卒業せず、セクシースイッチをオンにすることの重要性」を教えてくれているような気がしませんか?
筆者は著書や取材で何度も伝えていますが、アフター閉経をおそれるなかれ。セックスをおろそかにせず向き合う姿勢が、人生100年時代には必須項目となります。決して、目を背けないでください。
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