ヤマハ(YAMAHA)LMWシリーズ第二弾は大排気量バイク

NIKENフロントビュー

NIKEN(ナイケン)フロントビュー

ヤマハ(YAMAHA)は、2014年に前側が2輪の125ccスクーター「トリシティ」をリリースしました。トリシティといえば3つのホイールで構成された「3輪バイク」ですが、当初ヤマハはそのトリシティがLMW(リーニングマルチホイール)製品の第一弾であると言及。今後さらにLMWの車両を増やしていくと発表したのです。
 
LMWとは、2輪バイクのように車体を倒して旋回できる車両のことを指します。3輪なら自立するのでは?と思うかもしれませんが、実際は自立せず、乗車した際は足を地面につかなければ倒れてしまいます。ちなみに3輪の車は条件によって普通自動車の免許で運転ができますが、車体が傾いて旋回するLMWの場合は、排気量相当の二輪免許が必要になります。
 
排気量の小さなスクーター「トリシティ」に次ぐヤマハのLMW第二弾は、「スクーター」ではありません。なんと排気量845ccの直列3気筒エンジンを搭載したスポーツバイク「MT-09」をベースにしています。その姿は迫力満点!
 
そんなMT-09をベースにしたLMW第二弾のスポーツバイクの名前は「NIKEN(ナイケン)」。フロント2輪バイクであるNIKENは、フロントフォークを左右に備えているため、これを剣に見立て「2本の剣」という意味でNIKENと名づけられました。NIKENを運転するためには、大型自動二輪の免許が必要になります。
 
正面から見ると、とにかく大きさにビックリするNIKEN。都内の通勤で試乗してインプレッションしました。
 

CMに斎藤工が登場! ヤマハのLMWへの熱の入れ方が半端じゃない!

NIKENのCMは斎藤工がキャスティングされた

NIKENのCMには斎藤工がキャスティングされた

LMWの第一弾「トリシティ」がリリースされた際、ヤマハはさまざまなプロモーションを仕掛けました。中でもインパクトが大きかったのは、元AKB48の大島優子を起用したテレビCMです。そもそもスクーターやバイクのテレビCM自体が少なく、珍しい印象と言うこともありますが、さらにAKB48の中でも人気の大島優子をキャスティングしたということで、一気に話題になりました。ちなみに映画やドラマに引っ張りだこの菅田将暉さんも、トリシティのCMに出演しています。
 
そしてLMW第二弾「NIKEN」発売に合わせて作られた新しいCMでは、斎藤工さんがキャスティングされました。豪華俳優を起用しているところからも、ヤマハのLMWシリーズへの熱が感じられますね!
 

大型3輪バイクNIKENの装備をチェック

ブレーキディスクとローターは左右に1セットずつ装備

ブレーキディスクとローターは左右に1セットずつ装備

とにかく「3輪であること」が目を引くNIKENですが、装備もなかなか豪華。フロントの2輪には、それぞれブレーキキャリパーがひとつずつ装備されています。排気量が大きなスポーツバイクの場合、フロントはひとつのタイヤに対して左右1枚ずつブレーキディスクとキャリパーを装備することが多いのですが、NIKENの場合、フロントが2輪なのでタイヤの外側にディスクとキャリパーが1セットずつ装備されています。
従来はセッティングに工具が必要なプリロード調整が簡単にできる

従来はセッティングに工具が必要なプリロード調整も簡単にできる

フロントフォークは左右2本ずつ配置され、縮む時と伸びる時の抵抗を調整する「減衰力調整機構」が採用されています。リアサスペンションも調整機構付きで、初期の沈み込み量を調整するプリロードと、伸びる時の減衰力のみ調整できる機構が備わっています。通常プリロード調整には工具が必要になりますが、NIKENには工具を必要としないリモートプリロードアジャスターが採用されているため、簡単に沈み込みを調整できます。
ヘッドライトは4個LEDが配置されロービーム時に2灯ハイビーム時に4灯になる

4個のLEDが配置されたヘッドライト。ロービーム時には2灯、ハイビーム時には4灯になる

灯火類は全てLED。特にヘッドライトは、ロービーム時に2眼、ハイビーム時には4眼が点灯するインパクトのあるデザイン。最近のバイクのフロントは「ガンダム顔」と比喩されることもありますが、NIKENのフロントはまさに、モビルスーツ感があります。
走行モードの変更は右ハンドルスイッチで行う

NIKENの走行モードの変更は右ハンドルスイッチで行う

エンジン出力の調整ができる「D-MODE」は1、2、3の三段階で調整可能。1が最もスポーティーなエンジンレスポンスを楽しめるモードになります。メーター横には「DC(直流)電源」も装備。ハンドルにスマホをマウントして充電することができます。
チェンジペダルの動きを感知してクラッチ操作をしなくてもシフトチェンジができる。※シフトアップのみ

NIKENはチェンジペダルの動きを感知して、クラッチ操作をしなくてもシフトチェンジができる。※シフトアップのみ

ライディングをアシストする機構に「アシスト&スリッパークラッチ」があります。アシスト&スリッパークラッチとは、クラッチレバーの操作を軽くすると共に、ギアダウン時にタイヤがロックするのを緩和する機構です。またシフトアップ時にクラッチ操作をしなくても変速できる「クイックシフト」、濡れた路面やマンホールなどでスリップするのを緩和する「トラクションコントロール」も採用されました。
クルーズコントロールの操作は左ハンドルスイッチで行う

クルーズコントロールの操作は左ハンドルスイッチで行う

NIKENには高速道路の走行時など、アクセルを長時間開けて運転するときのために、スロットルを操作しなくても一定の速度で走行することができる「クルーズコントロールシステム」も装備されています。長時間アクセルを開けて走行していると手首に負担がかかりがちですが、クルーズコントロールを使えば疲れ知らず。この機構を採用しているあたりから、ヤマハはNIKENを長距離クルージング用のツアラーとして捉えているような印象も受けます。
 

NIKENの足つき、燃費、価格、MT-09との違いは?

後ろから見ると意外とスッキリしたデザイン

後ろから見ると意外とスッキリしたデザインのNIKEN

正面から見ると、他のバイクと比べてもかなり特徴的なNIKENのフォルム。しかし後方から見ると、意外にもベースとなったMT-09そっくり。ですがあちこちMT-09と比べて微妙に調整されています。そのひとつがシート。ぱっと見た感じでは、端が絞り込まれているMT-09のシートと同じように見えましたが、NIKENの方がMT-09よりもシート幅が広いです。
左右は絞り込まれているが意外と幅広のNIKENのシート

左右は絞り込まれているが、意外と幅広のNIKENのシート

NIKENとMT-09のシート高は、数値上では同じ820mmです。サスペンションもMT-09と同じ「リモートプリロードアジャスター」で、初期の沈み込み量を大きくすればかなり沈み込むようになります。しかしシート幅が広いため股が開き気味になり、足つき性はMT-09に比べるとかなり悪い印象です。さらに足を真っ直ぐおろそうとしてもステップがあるので、結局前後に少しずらして足をつかなければなりません。身長165cmの筆者にとって、足つき性は良いとは言えませんでした。
タンクはNIKEN専用で容量がアップした

タンクはNIKEN専用で、容量もアップ

NIKENのガソリンタンクはMT-09と共通ではなく、アルミ製の18Lタンクが装備されています。燃費は街乗りのみで17.2km/L。そのため連続航行距離は、計算上309.6kmとなります。ちなみに高速道路と山道を走行したツーリング時の燃費は20.5km/Lでした。
 
NIKENの価格は178万2000円。ベースとなったMT-09の価格と比べると77万7600円高く設定されています。間違いなく割高感がありますが、その分乗り心地にもMT-09との明確な差があるのでしょうか? 3輪バイクのメリットを確認するため、都内の通勤で試乗してみました。
 

3輪とはいえ、NIKENの運転に特別な操作は必要ありません

NIKENに搭載される直列3気筒845ccエンジンは専用セッティングが施されている

NIKENに搭載される直列3気筒845ccエンジンには、専用セッティングが施されている

早速NIKENのエンジンをかけてみると、国内のラインナップではヤマハのみが製造している3気筒エンジン独特のエンジン音が鳴り響きます。ベースはMT-09ですが、エンジンとマフラー音はMT-09とはやや違って聞こえました。ギア比やエンジンは、NIKEN専用にセッティングされています。
 
筆者にとってはやや足つきが悪かったので若干緊張していましたが、足つき性の悪さやずっしりとした重量感への不安も走り始めまで。3輪バイクとは言ってもNIKENならではの特別な操作は必要としないので、走り出してしまえば、日常的にバイクに乗っている人であれば違和感がありません。
 
ベースモデルのMT-09は、軽量なボディに元気の良いエンジンのセッティングが魅力のバイク。ドライブモードが搭載されており、最もスポーティーなモードにするとアクセルワークがシビアすぎて街乗りには使い勝手が悪い印象でした。
 
しかしNIKENは、どのモード設定しても加速が穏やか。もちろんアクセルを多めにあけてエンジンを高回転にすれば話は変わります。NIKENのエンジンは116PS/10000rpmを出力するので非力なわけがなく、操作によって鋭く加速することもできます。
 
しかし基本的にはMT-09ほどアクセルワークに気を使う必要はなく、ユッタリとした気持ちで走行することができます。フロント二輪の安定感は絶大で、片側の車輪が段差に乗り上げても、緩やかにパスすることができました。
 
ただ新車出荷時のセッティングは、やや固めの印象。下道の走行を含めた高速道路のツーリングで使用する程度であれば、圧側の減衰力を柔らかめにセッティングしたほうが走りやすいでしょう。
 
旋回時も、上半身の力を抜いて体重移動すれば、ハンドリングは軽く違和感がありません。車体も体重をかければ素直に倒れていきますが、二輪のバイクと比べるとその倒れ方はやや緩やか。スポーツ走行になれている人が大げさなアクションで体重移動すれば、NIKENもガンガン倒しこめるのだと思いますが、普通に運転していればスッと倒れていく感じではありません。
 
ただ車体を倒しながらコーナーを旋回し、段差に乗り上げた際の安定感には、圧倒的なアドバンテージを感じました。サーキットと異なり、公道では旋回中でもお構いなしに滑りやすいマンホールや段差が出現します。通常のバイクなら、車体を倒しこみながら段差をクリアすると「ヒヤッ」とすることもありますが、NIKENの場合はそれがありません。NIKENの安定感は加速、減速、旋回のどのタイミングでも感じることができます。
 

NIKENの安心感はツアラーとして最高の魅力と言える

NIKENリアビュー

ヤマハのLMW第二弾NIKENのリアビュー

バイクは後ろタイヤに駆動力がかかるので、フロントタイヤがロックしたり滑ったりすると立て直すことが非常に難しい乗り物です。しかしNIKENはフロントタイヤが2つあるので、そのどちらかがグリップを失ったとしても立て直すことができます。
 
「転ばない技術」のひとつとして開発されたLMW。今回のNIKENの試乗で筆者が感じた旋回中や加速中の安定感については、ヤマハの実証実験でも結果が出ています。

バイクの運転は楽しいものですが、転倒すれば、即怪我に繋がるリスクも秘めています。しかしNIKENは、運転中の転倒リスクを確実に減らしてくれる新しい「バイク」です。価格はやや割高感がありますが、運転中の安心感は格別。この「安心感」は、NIKENでしか味わえないプライスレスとも言えるのではないでしょうか。
 

NIKENを少しカスタムするなら

NIKENを少しカスタムするなら、ツアラーとしての性能をアップさせいたいところ。NIKEN純正のウインドスクリーンは小ぶりで、ウインドプロテクション効果がイマイチ。オプションでハイスクリーンを装着して、走行時の体への風当たりを緩和したいところです。
  冬場にNIKENに乗るなら、グリップヒーターは装着したいところ。オプションのグリップヒーターは純正メーターと連動しており、作動状況をディスプレイで確認することができます。
 

NIKENスペック詳細

車種名:NIKEN(ナイケン)
認定型式:2BL-RN58J
全長/全幅/全高:2150mm/885mm/1250mm
車両重量:263kg
カラー:ダークグレーメタリックG
シート高:820mm
価格:178万2000円
 

NIKEN関連リンク


ベースモデルのMT-09のインプレッションはこちら



 
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