LEXUS(レクサス)基幹モデル『ES』の新型を発表
レクサスの新型車『ES300h』が発売された。世界初公開は、中国の北京モーターショー。
といったことからもわかる通り、アメリカや中国市場をメインに開発したモデルである。写真を見て頂くと「LSにそっくりですね」と思うことだろう。実際、私も北京で新型を見た時、台上にLSしかなく新型ESはまだ展示されていないのかと思ったほど。街中を走っていても見分けられないだろう。
クルマの基本はカムリ。アメリカや中国だと、BMW 5シリーズやベンツ Eクラスと同じくらいのボディサイズを持つ割に、安くてお買い得なレクサスという位置づけになっている。
ただ日本仕様の価格を見たら、斜め後方の安全確認を行うブラインドスポットモニター(6万4800円のオプション)などが付いていないのに580万円と超高価。ベースになってるカムリなら353万円なのだ。
参考までに書いておくと、カムリとはサスペンション形式に代表される車体構成だけでなく、178馬力の2500cc4気筒エンジン+120馬力のモーターから構成されるハイブリッドシステムまで全く同じ。高価な部品を使っているワケでもない。どうやったら2倍近い価格になるのか全く理解できないほど。おそらく、『レクサス』というエンブレムに100万円上乗せしてるんだと思う。
ライバル車との違いは?
日本でレクサスを立ち上げた際は「正直な高級車」というコンセプトだった。曰く「輸入車はブランド料金を上乗せしている。レクサスはトヨタ車より高価ながら、キチンと良い部品を使う」というもの。その精神は今や無し。中身はトヨタで厚化粧しているのみ。繰り返すけれど、性能や走りなど機能的には半額のカムリと全く同じ。パワーユニットだって手を加えて欲しい。
VWをベースにしているアウディすら、キッチリとコストを掛けている。良いモノを理解できる人であれば”ホンモノ感”を持つBMWの3シリーズや(ES300より安い)、5シリーズ(ES300より高いものの値引きが強烈のためほとんど同じ支払額で済む)をすすめておく。全長5m近いアメリカンサイズのES300は大きすぎるというなら、ボルボの新型S60なども魅力的だ。
「日本車に乗りたい」という方は、本家トヨタのクラウンなどいかがか? 新しいクラウンは、走りの質感を大幅に向上させてきた。もちろんレクサス好きであれば、LSと見分けが付けられないデザインを580万円で買えるというポジティブな評価もできる。そればかりか、リアシートの居住性はLSより優れているほど。いずれにしろ、購入するならライバル車にも試乗するといいだろう。
話題のデジタルアウターミラーは?
話題になっているデジタルアウターミラー(ドアミラーの場所にカメラを付け、映像を車内のモニーターで出す)については、デザイン1つ取っても「これは厳しい!」と思った。斜め後方から見た外観だけでなく、室内に設けられた液晶画面の位置も後付け感タップリ。また、デジタルインナーミラー(カメラの画像をルームミラーに出す)は、普通のミラーに切り替えられる。
特に厳しいのが50歳代以上のドライバーだ。鏡であれば遠方の実像をそのまま見るため、焦点距離に変化無し。室内に設置した液晶画面の場合、遠くを見た直後にスマホの画面を見るのと同じ。また、デジタルアウターミラーの見え方が気に入らなかった際、普通のミラーには切り替えられない。新しいモノ好きはトライしてみようと思うかもしれないが、もう少し待つことをすすめておく。