それと同時に、「じゃあ、短期トレードで利益を出したい人はどうすればよいの?」というお問い合わせも頂きました。ぼく個人的には、短期トレードは儲からないうえ、「ストレスが大きい」「人によって運用成績のムラが激しい」「資産形成が上手くいかない」といった課題があるので、オススメしていません。
しかし、それでも「株式トレーダーになりたい!」という方は一定数いるようなので、「短期トレードでも儲かりそうな方法はあるのか?」という話をしていこうと思います。
トレードの心得その1:デイトレードは「空売り」だけ!
専門誌「ジャーナル・オブ・ファイナンシャル・エコノミクス」に掲載された論文(1)によると、株式市場は「日中に上がりにくい」傾向が確認されています。ですから、デイトレーダーとして「日中に株を買って、値上がり益を狙う」というのは、現実的ではありません。かなり不利な手法だと言えるでしょう。
むしろ、日本株式市場の場合などは、「日中に株価が下がりやすい!」という傾向が確認されています。ですから、デイトレードで利益を出したい方は、空売りを覚えるとよいでしょう。
空売りとは、信用取引の一種で、「株価が下がるほど利益につながる手法」です。この方法を使うことで、デイトレードでもそこそこ利益が期待できるでしょう。
トレードの心得その2:株を買うなら「オーバーナイト」!
とはいえ、空売りは初心者にはリスクが大きく、危険な取引でもあります。なので、初心者が手を出すべきではありません。なので、ぼくがオススメなのはこれからご紹介する2つ目の「オーバーナイトトレード」という手法です。「オーバーナイトトレード」とは、夜間に株式を持ち越すことで値上がりを狙う手法です。デイトレードとの違いは、利益を狙うときの「タイミング」です。デイトレードが「昼間に利益を出す」のが狙いであるのに対し、オーバーナイトトレードでは、「夜間に利益を出す」ことが狙いです。
オーバーナイトトレードは経済学者の間でも有効性が確認されておりまして。先ほどの論文(1)によると、「株式市場は夜間に株価が上がりやすい!」傾向が確認されています。
日本株式市場でもこの傾向は確認されておりまして、個人的に調べたところでも、「夕方15時に株を買って、翌朝9時に株を売ると、利益を出しやすい!」なんて傾向も見つけています。
ですから、短期トレードで利益を出したい!という方は、「デイトレードによる空売り」あるいは「オーバーナイトトレードによる株式保有」を試してみるとよいのではないでしょうか。
まとめ
短期トレードは1日~2日で利益が出たり、出なかったりと、短期間で結果が分かるので、ゲーム感覚で楽しめます。ですから、取引そのものを楽しみたい!という方は、取り入れてみるのもよいでしょう。ただし、何度も言いますが、「短期取引は利益を出しにくい」「短期取引はストレスの原因になる!」なんて研究(2)(3)もあります。あくまで資産運用の基本は「長期投資」ですから、短期トレードにとらわれ過ぎないように気をつけましょう。
●参考文献
- 論文:Lawrence Harris, 1986, "A transaction data study of weekly and intradaily patterns in stock returns", Journal of Financial Economics, 16(1), pp. 99-117
- 論文:Brad M. Barber and Terrance Odean, 2000, "Trading Is Hazardous to Your Wealth: The Common Stock Investment Performance of Individual Investors", The Journal of Finance, 55(2), pp. 773-806
- 論文:川西諭, 田村輝之, 功刀祐之, 2012, "長期分散投資vs短期集中投資 日経マネー誌アンケートから見えるネット投資家行動の実態", 行動経済学, 5, pp. 152-156