貯蓄

不労所得を増やす「投資信託」の選び方

インデックス投資では、投資信託を積み立て投資することで、不労所得を作ります。このときに疑問なのが「どの投資信託を買えばよいのか?」という点ですよね。そこで今回は、インデックス投資に向いた投資信託の選び方をご紹介します。

中原 良太

執筆者:中原 良太

エビデンスに基づく資産活用&マネープランガイド

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以前、「金融のプロの話は、アテにならない!」という話をしました。この記事を読んだ方はたいそうショックを受けたようでして。知人からも、「プロを頼りにできないなら、ぼくらは一体どうすればいいの?」なんて相談を受けました。
 
そんな中、ぼくが推奨しているのは「インデックス投資」という運用手法でして。この方法では、投資信託を買って放ったらかしにすることで、不労所得を作ります。ぼく個人としては、現時点で科学的にもっとも正しい資産運用術なのではないか?と考えています。もちろん、ぼくも実践しています。
 
インデックス投資では、投資信託を積み立て投資することで、不労所得を作ります。このときに疑問なのが「どの投資信託を買えばよいのか?」という点ですよね。そこで今回は、インデックス投資に向いた投資信託の選び方をご紹介します。
 

投資信託の選び方1:未来は予測できないのでプロに頼っても無駄

投資信託には2つの種類があります。1つは、「アクティブ型」と呼ばれる、プロの投資家が投資先を選ぶ投資信託です。もう1つは「パッシブ型(またはインデックス型)」と呼ばれる、機械的に投資先を選ぶ投資信託です。
 
「アクティブ型」の投資信託では、経験豊富なプロの投資家が投資先を選びます。プロが手間をかけて投資をするので、その分多く手数料がかかります。
 
一方、「パッシブ型」の投資信託では、機械的に投資先を選びます。手間がかからない分、手数料を安く抑えることができます。
 
こんな話をすると、普通は「やっぱりプロに運用を任せた方が安心だよね!」と考える方が多いようです。しかし、実際は、プロに任せても意味がないようでして。
 
プリンストン大学の名誉教授をつとめる経済学者、バートン・マルキール氏は、書籍(1)の中で、「株式市場の未来は予測不可能なので、プロに頼っても意味がない」という旨を伝えています。
 
ほかにも、「プロの投資家の多数は、市場平均にすら勝てていない!」という事例も数多く報告されています。ですから、投資信託を選ぶときは、プロに任せようとは考えない方がよいでしょう。その代わりに、機械的に取引を行う「パッシブ型」の投資信託を選ぶとよいでしょう。
 

投資信託の選び方2:手数料が安いものを選ぶ

投資信託を選ぶときは、「手数料の安いもの」を選ぶと失敗せずに済みそうです。バートン・マルキール氏は、記事(2)の中で経費率(手数料)の低い投資信託を選ぶことを推奨しています。
 
もともと、株式市場の利回りは「金利+4%~6%」ほどと考えられておりまして。その中で、経費率が1%でも多いと、それだけで利益の多くを食いつぶされてしまうのです。
 
とくに、人手のかかっている投資信託ほど手数料率が高いと考えられます。たとえば、「窓口で勧めてくる投資信託」や「営業マンが勧めてくる投資信託」のように、人手のかかっているものは、手数料が高いと考えられます。だから、他人に勧められた投資信託を選ぶのは、やめておいた方がよいでしょう。
 

投資信託の選び方3:売買回転率が低いものを選ぶ 

バートン・マルキール氏によると、「売買回転率の低い投資信託」ほど、運用成績が良好な傾向があるのだとか。それもあり、彼自身も、記事(2)の中で、売買回転率の低い投資信託を選ぶよう勧めています。
 
「売買回転率が低いほど運用成績がよい」というのは、個人投資家にも言えることでして。経済学者のブラッド・バーバー氏とテランス・オーディーン氏の研究(3)によれば、「頻繁に銘柄を入れ替えない投資家ほど運用成績が良好だ!」という結果が示されました。
 
この傾向には男女差があるようで、「男の人の方が、女の人よりも投資先を取っ替え引っ替えするから、運用成績が悪い!」なんてことも分かっています。話をまとめると、「何もしない人が、一番上手に資産を運用できる!」ということですね。
 

投資信託の選び方4:広範囲に分散しているものを選ぶ

最後に重要なポイントは、「広範囲に分散している投資信託を選ぼう!」というポイントです。
 
たとえば、1カ国に集中投資している投資信託よりは、多国間にわたって分散投資をしている投資信託の方がよいでしょう。あるいは、50銘柄にしか分散していない投資信託よりも、1000銘柄、2000銘柄と、幅広く分散している企業の方がよいと考えられます。
 
インデックス投資では、ノーベル賞を受賞したハリー・マーコウィッツ氏が言うところの「マーケット・ポートフォリオ」(全てのリスク資産を時価総額加重で保有する)がいいと考えられています。インデックス投資を推奨しているバートン・マルキール氏も、論文(4)の中で「幅広い銘柄に分散している投資信託を選ぼう」と言及しています。
 
難しい用語はさておき、「とにかく幅広く分散しておくとよいよ!」ということを、覚えておくとよいでしょう。
 

まとめ

投資の世界では、いろんな情報が飛び交っています。まったく役に立たない情報もたくさんありますから、惑わされないように気をつけてくださいね。
 
「うさんくさい情報にダマされたくない!」「お金で失敗したくない!」という方は、ひとまず、この記事の内容を参考に、インデックス投資からはじめてみてはいかがでしょうか。

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【参考文献】
 
  1. 書籍:バートン・マルキール, 2016, 『ウォール街のランダム・ウォーカー 株式投資不滅の心理 原著第11版』, 日本経済新聞出版社
  2. 記事:Burton G. Malkiel, 2004, "Can Predictable Patterns in Market Returns be Exploited Using Real Money?", The Journal of Portfolio Management 30th Anniversary Issure, 30(5), pp. 131-141
  3. 論文:Brad M. Barber and Terrance Odean, 2000, "Trading Is Hazardous to Your Wealth: The Common Stock Investment Performance of Individual Investors", The Journal of Finance, 55(2), pp.773-806
  4. 論文:Buron G. Malkiel, 2005, "Reflections on the Efficient Market Hypothesis: 30 Years Later", The Financial Review, 40(1), pp. 1-9
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