ウォールナットとは?オークやクルミとの違いって?
ウォールナット、オーク、クルミなど、家具に使われる木材の違いについて、気になるけれどよくわからないという方も多いのではないでしょうか。たとえば、ウォールナットの家具は、シックで落ち着いた色合いや美しい木目で人気ですが、では他の木材とどう違うのでしょうか。今回はそんな家具・インテリアの材質について、インテリア・建築デザインガイドの喜入時生さん監修のもと、詳しくご説明します。
【INDEX】
ウォールナット材とは、どんな木材?特徴は?
ウォールナットはクルミ科の落葉広葉樹ですが、同じく家具の材料としてよく使われる「クルミ」とは別物です。ウォールナットを日本語に訳すと「クルミ」となりますが、家具の材料としてウォールナットと表記されているときには、「ブラックウォールナット」あるいは「アメリカンブラックウォールナット」と呼ばれる種類を指します。ブラックというとおり、ウォールナット材は、深みのある濃い褐色をしているのが特徴です。主産地はアメリカで、今は北米産のものが主流となっています。家具としては15~16世紀からイギリスで多く使われるようになり、現代でもイギリスのアンティーク家具の中にはウォールナット材のものをよく見かけます。
その材質は、堅くて重く、加工したときに狂いが少ないというのが特徴です。薄くスライスして寄木細工にしても、経年とともに反ってきたり伸び縮みすることがほとんどありません。ですから、ウォールナットのアンティーク家具には寄木細工や象嵌細工(ぞうがんざいく/木材の表面を彫り、他の材料を埋め込む寄木細工のような技法)のような緻密な細工を施したものも多く見られるのです。
ウォールナット材の家具は、他の木材のものと比べると、少々値が張ります。マホガニー、チークとともに世界三大銘木に数えられ、その優れた耐衝撃性・加工性からも、高級家具に使われているのがウォールナット材なのです。
オーク材とは、どんな木材?特徴は?
同じく高級家具に使われることが多い木材でも、ウォールナットと比べると低コストで手に入るのが、オーク材で作られた家具です。オークはブナ科の広葉樹で、主産地は北米。実はこれ、日本で古くから家具に使われてきたブナ科のナラ材とほぼ同じなんです。かつてはナラと呼ばれていたものが、いつの間にかオークという呼び方に変わって来たんですね。ただ、北米やロシアから輸入したオークのほうがやや木目が粗く、色も白っぽくなります。
オーク材は目が詰まっていて堅く、粘りが強いのが特徴。しなりがあるので加工がしやすく、椅子やテーブルなど、「足モノ」と呼ばれる足がある家具に向いている木材です。ウォールナット材と同じように耐衝撃性に優れているので、何年も壊れずに使い続けることができるので、アンティーク家具でもよく見かけます。
またフランスやアメリカでは、古くからワイン樽やウィスキー樽の材料としても使われています。つまり、耐水性にも優れているということですね。
クルミ材とは、どんな木材?特徴は?
ウォールナットはクルミ科でしたが、家具の材料としてクルミと書かれている場合には、ウォールナットとは別の木材が使われています。家具でクルミ材というときに使われているのは、日本に昔から広く分布している、オニグルミという種類の木。値段も、ウォールナットよりは安価です。オニグルミは日本では古くから家具材として使われてきており、日本に銃が渡来してきてからは、耐衝撃性に優れているということで銃床の定番材にもなっていました。
明るくナチュラルな色合いであることも、ウォールナットとはまったく異なる点です。重厚感のある家具が好きならウォールナット材、ナチュラルでほっこりしたイメージが好きならクルミ材というように、好みがはっきり分かれるのではないでしょうか。
クルミの無垢材はウォールナットやオークと比べると狂いが出やすいため、多くの家具はオイル塗装されています。自分で定期的に植物性オイルを塗り込んでメンテナンスをすることもできます。
ウォールナット材・オーク材・クルミ材の違いをまとめると……
3種類の木材を紹介してきましたが、大きな違いはその色合いと言えるでしょう。高級感や重厚感のある濃い色のウォールナット材に対して、ナチュラルで明るい色合いなのがオーク材やクルミ材。同じクルミ科でも、ウォールナット材とクルミ材とでは雰囲気がまったく違うのです。ただし、オーク材とウォールナット材には経年とともに色合いが変化するという特徴があります。ウォールナットはもともとは濃く深い色合いですが、これが経年に伴って徐々に明るい色に変化していき、光沢を増していきます。逆にオーク材は、もともと明るい色なのですが、経年とともに深みのある濃い色に変化していくのです。こうした変化を楽しめるのも、天然素材の家具の面白いところですね。
ウォールナット材のおすすめ家具・インテリア
ウォールナット材は高級なため、家具として取り入れるには少々勇気がいるかもしれません。ダイニングテーブル・椅子を一式揃えようとすると高くなってしまうので、一点豪華主義でサイドボード、サイドテーブルなどにとりいれてもよいかもしれません。食器トレイやカトラリーにも使われていることが多いので、そうした小さなもので楽しむのもよいでしょう。
また、もし木目や色合いなどの雰囲気が気に入ったなら、無垢材家具ではなく突板(つきいた)家具を選ぶという手もあります。無垢材家具は、その木そのものを製材して作られていますが、突板家具は木材を薄いシート状に加工したものを、ベニヤ板や木質繊維を圧縮したMDF材などでできた板の表面に貼り付けて作ります。高いウォールナット材も、突板家具なら使われる量が少なくなるため、その分お値打ちになるということです。
ウォールナットの突板家具なら、無印良品やニトリなどでも、さまざまな種類のものが扱われていますので、ぜひチェックしてみてください。