地域は?築年は?広さは?自分好みの古民家を探し出す
古民家探しは、地域の自治体の役場や不動産会社に問い合わせる方法もありますが、やはり、古民家再生に取組む全国組織や、全国の物件情報をネットワークするWebサイトが頼りになります。
・JMRA民家バンク(特定非営利活動法人 日本民家再生協会)>>
様々な事情で手放される民家を、日本の住文化として引き継いでいくシステム。民家を譲りたい人から無償で民家の提供を受け、民家バンクに登録し、その情報を民家を欲しい人へ公開し、“縁結び”の役割を果たしてくれます。
移築再生を前提とした民家の情報(建物のみの情報)を提供(当協会が現地調査し登録した物件です)。建物は無償提供ですが、民家バンク利用料(情報料)、解体費、運搬費がかかります。
現在公開している民家は、地域は九州・沖縄を除く全国、種別は民家・蔵など、築年数は50年から299年まで、建築面積は20坪未満から80坪以上まで。
・田舎ねっと.日本>>
“古き良き時代の住まいで暮らそう!”というキャッチーなフレーズで、古民家を紹介しています。各物件詳細も充実しており、暮らし方のアドバイスをしてくれる「担当者からのひと言‥」など、親切なサイトポリシーが安心できます。田舎暮らしのための住まいを、全国から物件を探せることが魅力です。
煤で黒光りした手斧削りの梁組…、土間からの上がり框に大断面のケヤキ…、建具などの意匠には工夫が凝らされており…、アトリエやギャラリーにするなど利用の幅は広い…、数寄屋風の造りの離れがあり…等々、古民家ファンをドキドキさせる紹介フレーズがたまりません。
古民家リノベーションのここがメリット
暮らすことで環境に貢献できる
歴史を経て美しく頑強になった梁や柱を続けて活用することは、自然保護・環境保全に貢献すること。土から生まれ土に還る建築素材で多くが作られており、リサイクルが可能。寿命が尽きた後も有害な廃棄物となって水や空気を汚すことがありません。
先人たちの暮らしの豊かさを体験できる
黒光りする梁や柱、茅葺きなどの屋根、土壁や漆喰など、日本の伝統的な木造建築が持つ、懐かしさや温もりのある風情が味わえます。自然素材ならではの質感や香り、肌触りの良さによる癒し効果など、健康的な暮らしが実現できます。又、年代を感じさせる古民家の柱や梁を新築住宅に効果的に取り入れることで、独自のデザインを楽しむことができます。
自治体による古民家再生補助金が支給される
古屋を一度解体して新築を建てるよりも、リノベーションした方が払う固定資産税が少なくて済みます。また自治体によっては、再生事業や用途、景観等が公共の利益に資する場合、古民家再生の補助金助成を行っているところもあります。
古民家リノベーションのここがデメリット
覚悟しておくべき冬の寒さと室内の暗さ
古民家は、そもそも農家の作業環境に適切な造りになっており、都市住宅の様に暮らしの快適性を追求した建物ではありません。夏は風通しが良く涼しく過ごせるようにできています。しかし、古民家独特の天然素材や深い庇、高い天井等が、冬の寒さや暗さ(トイレが外にある!)を作り出すことを十分理解しておく必要があります。
リノベのスタイルで変わる時間と費用
・古民家が建っている現場でそのままリノベする/建物の傷み具合や間取りによって、工事の中身が大きく変わります。しかし構造や柱、基礎がしっかりしているなら、部分解体して補修するだけで費用はかなり安くなるケースもあり。
・家屋解体後に別の場所に移してリノベする/古民家を全解体した建物の構造体のほとんど使い、かつ場所を移し建て直すというもの。解体、運搬、基礎工事費用がかかり、さらに建築確認申請といった手続きも必要になります。
・新築の一部分に活用してリノベする/移築再生の一つです。古民家の部屋単位で新築建物に組み入れたり、解体された古民家の柱や梁を新築の部材として活用して再生。
リノベーション費用の算定が難しい
再生費用は地域によって材料費も手間賃・経費も異なるため、全国一律の平均的な価格は算定できません。決め手は“古民家の素晴らしさをトコトン理解し情熱を持ったプロ”に出会えるか。以下のサイトで、じっくりリサーチしてみましょう。
・民家再生専門家=JMRA登録事業者
民家再生に取り組んでいる設計、施工、曳家、不動産、古材取扱いの、各分野の専門家が会員として全国各地で多数活動。前述の、「民家バンク」に登録する提供民家の基本調査や民家再生相談、民家再生の設計・施工を受注します。
・一般社団法人「全国古民家再生協会」
全国各地域に残る日本の住文化である「古民家」を、未来の子どもたちへ継承するために活動をおこなう各地の一般社団法人古民家再生協会で構成される全国組織。古民家を何とかしたい!人はまずは、古民家鑑定のご相談へ。
物件探し→周辺環境・建物状態のチェック→リノベーション計画→修繕工事など、古民家に実際に入居できるまでには長い時間を要します。また、暮らし始めて分かる追加の事費が生じることもあるため、費用面でのゆとりも必要です。
移住先で古民家をリノベーションして暮らすということは、その家の持つ歴史・その家に対する地元の思いも受け入れて、集落へ入っていくことを意味します。ご近所づきあいの苦手な人や週末田舎暮らし等には向かないということも、デメリットとして心に留めておきましょう。