実は、会社の成功しやすさは、社長の特性によって大きく変わることが分かっています。具体的には、「オーナー社長」なのか、「雇われ社長」なのか。この違いによって、成功する確率は、まったく違うものになるのです。
オーナー社長と雇われ社長の見分け方
では、オーナー社長の会社と雇われ社長の会社。どちらの方が成功しやすいのでしょうか? 具体的な話に入る前にまずは、これらの社長をどのようにして見分けるか、その方法をお伝えしましょう。オーナー社長と雇われ社長を見分けたいときは、その会社の持株比率を確認するのが効果的です。社長がオーナーである場合は、多くの株式を自分で保有していると考えられます。よって、持株比率の高いところに社長が載っていれば、オーナー社長ということが分かります。
逆に、社長が雇われの場合、株式は保有せず会社は銀行や、ホンモノのオーナーによって保有されています。ですから、主要株主に社長の名前がなく、他の投資家の名前が並んでいる場合は、雇われ社長ということが分かります。
オーナー社長 vs 雇われ社長
社長の見分け方が分かったところで、本題へ移りましょう。「オーナー社長」の会社と「雇われ社長」の会社。どちらの方が、成功しやすいのでしょうか? この問いに対して、西南学院大学の鄭義哲(チョン ウイチョル)氏が、興味深い論文を公開しています(1)。鄭氏は、経営者の持ち株比率と株価の関係を調べました。株価は会社の成功度合いを調べるのには打ってつけの指標です。成功している会社は株価が上がりますし、失敗している会社は株価が上がりづらいです。判断材料としてはわかりやすいのです。
研究の結果、「経営者による持株比率が高い会社の方が、株価が上がりやすい傾向がある」のだとか。もう少し噛み砕いて言うと、「オーナー社長の会社の方が成功しやすい」ということですね。
この理由としては、オーナー社長の方が雇われ社長よりも、自分ごとになって経営できる点が考えられます。経営者の利害が経営の成果と直結しているので、努力を惜しまなくなるのでしょう。このことを、「アラインメント効果」とも言います。
大切な選択を間違えないためにも
あなたが投資家なら、株を買うときは「オーナー社長」の会社の方が良いでしょう。雇われ社長が無能ということではありませんが、すくなくとも科学的には、オーナー社長の方が上手に経営できるようです。また、持株比率については「個人投資家の持株比率が高いとパフォーマンスが悪い」「外国人投資家の持株比率が高いとパフォーマンスが良い」といった他のエビデンス(2)もあります。社長以外でも、こういった点にも注目することで、良い会社に巡りあえるかもしれませんよ。
【参考文献】
(1) 論文:鄭義哲, 2015, 経営者の持株比率と株式パフォーマンス, 西南学院大学商学論集, 62(2), pp. 73-94
(2) 論文:光定洋介, 蜂谷豊彦, 2009, “株主構成と株式超過収益率の検証”, 証券アナリストジャーナル, 47(1), pp51-65
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