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宇宙で最もパワフルな力「複利」とは?

かつて、物理学者アルバート・アインシュタインが「人類最大の発明」「宇宙で最もパワフルな力」と呼んだと言われるモノがあります。何かご存知でしょうか?それは、「複利(Compound Interest)」です。複利とは、「雪だるま式に数が増えていく」ことを指します。

中原 良太

執筆者:中原 良太

エビデンスに基づく資産活用&マネープランガイド

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複利では、「雪だるま式に数が増えていく」

かつて、物理学者アルバート・アインシュタインが「人類最大の発明」「宇宙で最もパワフルな力」と呼んだと言われるモノ(1)があります。何かご存知でしょうか?

 
物理学者アルバート・アインシュタインが「人類最大の発明」「宇宙で最もパワフルな力」と呼んだと言われるモノ

物理学者アルバート・アインシュタインが「人類最大の発明」「宇宙で最もパワフルな力」と呼んだと言われるモノ


 
それは、「複利(Compound Interest)」です。複利とは、「雪だるま式に数が増えていく」ことを指します。分かりやすい例としては、ねずみ算などがあります。たとえば、1組のねずみのカップルが、10匹の子を産むとします。これで、家族あわせて12匹になります。

さらに、10匹の子ねずみ達が、別のねずみと結婚しました。そして、それぞれ10匹の子を産むとします。すると、ねずみは更に増え、2世代、全カップルを合わせると122匹になります。
 
さらにさらに、100匹の孫ねずみ達が、別のねずみと結婚しました。そして、それぞれの10匹の子を産むとします。すると、ねずみは再び増え、すべてで1222匹になります。
 
これが、複利です。大事なことは、複利では、「雪だるま式に数が増えていく」ということです。複雑な計算式などは忘れても良いので、この点だけは覚えておきましょう。
 

複利のすごさ:株式投資の利回り

『21世紀の資本論』(2) で有名な経済学者トマ・ピケティは、「r > g」という話をしました。数式だけでは何が何だか分かりませんが、これはつまり、「金持ちたちの不労所得はじゃんじゃん増えるけど、給料はぜんぜん上がらないよね」っていう話です。
 
ちなみに彼は、不労所得(株式投資とか)の平均的な利回りは、4%~5%あると話しています。このスピードは超速いです。どれくらい速いかというと、このペースが続くと、18年ごとにお金が2倍になります。36年後には、4倍になります。54年後には8倍、72年後には16倍になります。ねずみほどのスピードではありませんが、このスピードは恐ろしく早いですよ。
 
人間の寿命は、10年ごとに2歳以上のペースで伸びています(3)。それこそ、いま20歳くらいのヒトの多くは、100歳以上生きると言われています。だから、今の20歳のひとが、「1万円分、株式投資に回します!」と決めたら、92歳となる72年後までお金はみるみる膨らみ、16万円になる計算です。
 
それこそ、高校生や大学生が、せかせかと「バイト代を、毎月5万円分、株式投資に回す」なんてことをやったら、それだけで超お金持ちになれるでしょう。月々5万円の蓄財は、72年後には16倍になります。つまり、1カ月あたり80万円分も使えるようになる計算ですからね。高校と大学の7年間で、それだけの蓄財をしていたら、老後の7年間はウハウハな生活ができそうですね。
 
逆に、それができずに5万円をスマホゲームに課金したら、それだけで「老後のウハウハ生活を棒に振っている」ということですね(笑)だから、それくらいの年齢のお子さんをお持ちの親は、複利について教育してあげると良いと思います。
 
一方、中年の人にとっては、複利の効果は下がりますが、その変わりに稼げる額が増えます。だから、その場合は、投資に回すお金を増やすだけでOKです。40歳ぐらいの人なら、85歳になる頃には、投資資金が6倍くらいには膨らんでいるでしょう。
 
つまり、「給料を、毎月10万円分、株式投資に回す」ことができれば、それで老後はほぼ万全だと思います。45年後にはおよそ6倍ですから、1カ月あたり60万円分、使えるようになる計算です。
 
こんな話を聞くと、「複利ってすごい!」と思いますよね?ぼくも、そう思います。「投資の神様」として有名な、ウォーレン・バフェットも、複利を活かすことで世界一の金持ちになりました。複利には、それだけの力が眠っているということです。
 
複利の力を味方につけるには、その本質を理解する必要があります。複利の力が使えるのは、株式投資だけではありません。すべてのものに、複利の力が隠れています。だから、そのことを知ったうえで、お金の力を正しく捉えることが大切です。
 
そこで、これからは、隠れた複利である、「物価」の複利や、「コスト」の複利の話をしていきます。
 

「物価」の複利

2013年1月22日。日本銀行は「インフレ率2%」を目標に掲げました。インフレ率2%とは、「毎年、物価が2%ずつ上がっていきますよ」ということです。「2%なんて、たったの50分の1じゃないか。大したことないよ!」なんて思うかもしれません。
 
でも、あなどることなかれ、これはすごい影響なんです。なぜなら、物価にも複利が働くからです。たとえば、毎年のように物価が2%ずつ上がっていったとします。すると、36年後には、物価が2倍になります。
 
いまの日本では、銀行にお金を預けていても、これっぽっちも増えません。だから、物価が上がるのを、指をくわえて待っていたら、36年後には、「貯金はまったく減っているのに、買えるものは半分になってしまう」なんてことにもなりかねないんです。
 
複利は繰り返されれば繰り返されるほど威力が増していきます。だから、若いヒトにとっては、話はもっと深刻です。たとえば、インフレ率2%が、72年間続いたとしましょう。そうなると、72年後には、物価が4倍になるんです。1万円で買えていたものも、72年後には4万円になるってことですね。
 
これは、お金の価値が4分の1に減ってしまうのと、実質的には同じです。じっとお金を貯めているだけだと、インフレが起こったときにむっちゃ痛い目を見るっていうことですね。
 

「コスト」の複利

先ほど「いまの1万円は、45年後の6万円だよ」という話をしました。実はこれ、コストについても言えるんです。複利は、コストにも隠れています。
 
世界のお金持ちたちも、「コストの複利効果」を知っています。たとえば、投資の神様ウォーレン・バフェットは、何兆円という巨額のお金を持ちながら、350万円の家に住んでいます(日本の一般人が住む家よりも、安いですよね)。高い家を買う以上に、浮いたお金を資産運用に回すほうが、よっぽど得だと知っているからです。
 
たとえば、家の家賃を考えてみましょう。あなたが、家賃10万円の家に住んでいるとします。このとき、もし仮に、引越し費用ゼロで、9万円の家賃の家に引っ越すことができたら、どんなことが起きるでしょうか?
 
家賃が1万円下がりますから、あなたは、1万円を余分に貯めることができます。しかも、そのお金を株式投資に回せば、45年後には6万円に膨らんでいると期待できます。逆に、「家賃を下げずに、毎月1万円を浪費する」ことは、45年後の6万円を、毎月のように失っているとも言い表せます。
 
そう考えると、コストって恐ろしいですよね。ぼくらは「500円くらいの出費だったら」とか、「まぁ、べつに生活に困っている訳じゃないし」なんて考えがちですが、将来への影響のことを考えると、無駄づかいなんてしている場合じゃないですよね。
 

複利:味方にすれば心強く、敵にすると厄介なヤツ

これまでの話をまとめると、「複利はむっちゃ強力なんだよ」ってことです。強力なやつは、味方につけるに限ります。敵にすると厄介ですから、きちんと複利のすごさを理解して、味方にできるように、日々の生活を悔い改めるのがよいでしょうね。
 
 
参考文献
 
(1) 書籍:『Bank Performance Annual(Warren, Gorham & Lamont)』(1978)※諸説あり
(2) 書籍:『21世紀の資本論(トマ・ピケティ)』(2014)
(3) 書籍:『LIFE SHIFT – 100年時代の人生戦略』


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