エアコンの性能に頼らず、個人でできることは多い
さほど新しい調査ではないですが、資源エネルギー庁が2009年に実施した「家庭におけるエネルギー消費実態について」によると、家庭製品別の消費電力の比較で、エアコンは全体の7.4%で第4位(ちなみに1位は冷蔵庫、2位は照明器具、3位はテレビ)に位置します。ところが、これが夏の日中となると、ダントツの1位。全体の50%超を消費しているのだそうです。つまり、ピンポイントでエアコンを節電できれば、電気代の家計負担を抑えることが期待できます。そこで、まずは国のアドバイスに耳を傾けます。資源エネルギー庁監修の「家庭の省エネ徹底ガイド」から、エアコンの冷房に関する節電ポイントを以下に抜粋してみましょう。
(1)設定温度は28℃
冷房時は設定温度を27℃から28℃に上げると、年間で30kWhの節電となり、電気代では700円程度の節約に(28℃で涼しくないと感じたら温度を下げず、風量を上げるほうが消費電力が少ない)。
(2)フィルターの掃除はこまめに
2週間に一度はフィルター掃除をしましょう。フィルターが目詰まりすると、約4%無駄な電力が発生します。
(3)カーテンで外気を防ぐ
外出時に室内にカーテンをすることで、夏の太陽の照射を防ぎ、室内の冷気が逃げるのを防ぎます。しかも、夏には不似合いですが、厚手で床まで届くタイプがより効果的。また断熱シートを窓ガラスに貼るという方法もおススメ。
(4)室外機の周囲にモノを置かない
室外機の吹き出し口に物を置くと、冷暖房の効果が下がります。風通しのいい場所に設置するのもポイント。
(5)風向きを調整する
冷たい空気は下に溜まります。扇風機やサーキュレーターを利用して、室内の空気を循環させることで冷房効率が上がります。
エアコン自体は年々進化し、省エネ性能も向上しています。自動運転によるお任せが、もっとも省エネに効果的とも言えるでしょう。それでも、個人でこれだけできることがあるということです。
「つけっぱなしが得」は都市伝説なのか!?
さて、エアコン節約術にはもうひとつ気になるものがあります。それは、SNS上でも話題になった「エアコンはつけっぱなしの方が得」という説。実は、先に紹介しました省エネガイドに「冷房は必要なときだけつける」というポイントがありますが、上記節約術からはあえて外しました。「つけっぱなし」説と矛盾するからです。ネット上の「つけっぱなし」推進派がそれを推す根拠は、エアコンは絶えず同じ電気量を消費しているのではなく、起動時や外気との温度差が大きいときがもっとも消費するという点。通常、安定時(設定温度に達した状況)の消費電力は200W以下なのに対して、立ち上がり時は5~10倍もの消費電力になるのだとか。電気料金で比較すると、安定時は1時間1~3円、対して立ち上がり時は20~40円といったところでしょうか。
また、この説には「1時間程度の外出では消さない」というのと、「24時間つけっぱなし」の2タイプがあります。前者の場合、コンビニに行くとか、外食で出るといったケース。個人で実験し、得をしたと報告するサイトもいくつかあり、中には月3000円電気代が下がったという例も。使用時間を1日1時間短縮することによる節電効果は、夏期1シーズンを通して500円程度(資源エネルギー庁試算)とのことですから、数字だけ比較すれば、かなりの開きがあります。
一方、後者については、計算上は確かに得となるものの、実際にそれを実験で証明したという報告はネットでは見当たりません(逆に高くなったという実験結果はあり)。
おそらく、エアコンのON・OFFにおける節電問題は、その行為自体だけでは断定できないというのが、正解だと思われます。マンションと一戸建てでは冷房の効きがまったく違うことを実感した人は、少なくないはずです。住宅が高密度ゆえ、30分程度エアコンを切っても、室温がそこから大きく上昇しなければ、つけっぱなし説の根拠である「起動時は電気を食う」が100%当てはまりません。
エアコンの性能はもちろん、部屋や住宅の向き、あるいは使用する時間帯は日中なのか、夜なのか。時間帯により電力量料金単価が異なるメニューにしている世帯とそうではない世帯でも、当然差は出ます。
つまりは、つけっぱなしが節電に効果的かどうかは、皆さん各自の条件、環境の中で試すしかないようです。ともあれ、エアコンは賢く使いたいもの。電気代を抑えたいばかりに、使用そのものを控えると熱中症になりかねません。その点だけは、くれぐれもご注意ください。
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