老いらくの恋は「気持ち悪い」「恥ずかしい」ことなのか?
タモリ(72歳)と脚本家の中園ミホ(59歳)の不倫愛が週刊新潮にスクープされ話題になっている。実際に恋愛関係かどうかはわからない。ただ、ネット上では「老いらくの恋」と称されているのが気になるところだ。はたからはそう言いたくなるのも理解できなくはない。なぜなら、20代のころ、人は自分が50代、60代になって恋をするとは思っていない。「そんなの気持ち悪い」と思う人さえいるだろう。それでもする人はするのだ、いくつになっても。70代と50代、年齢を経ても恋はする
年齢を経て恋をすることも
「私だってこんなことになるとは思っていませんでした」
そう言うのはヨウコさん(56歳)だ。同い年の夫と結婚して30年近くがたつ。子どもたちは独立し、あとは夫とふたりでのんびり暮らしていこうと思っていた。そんなときボランティア活動で知り合ったのが20歳年上のカツトシさんだった。
「70代には見えないくらいひきしまった体で、笑顔がかわいくて。なんともいえない魅力的な男性なんです。一緒に活動していくうちに、そのリーダーシップも含めてどんどん惹きつけられていきました」
それでも男女の関係になるとは考えてもいなかった。夫との仲が悪かったわけでもない。ただ、カツトシさんへの思いを止めることもできなかった。
「彼がいたからボランティア活動にも熱心になったし、時間があるからいつしかリーダー格の彼の片腕みたいになっていったんです。ふたりで会って話すことも増えて……。あるとき、自分から『好きになってしまった』と告白しました。受け入れてもらおうと思ったわけではなくて、もう気持ちを言わずにはいられなかったんです。彼は『女性にそんなことを言わせて申し訳ない』って。『ボクもあなたのことをずっと好きだった。だけどお互いに家庭がある』と。私は彼を困らせたくなかったから、少し距離を置こうと思いました」
その話はいったん封印された。そのあたりは大人同士だから阿吽の呼吸である。2ヶ月ほどたったころ、彼が真剣な面持ちで「ボクもあなたへの気持ちを抑えきれなくなっている。困った」と言われた。
「困ったと言われて思わず笑っちゃったんです。本当に自分の恋心に私も困っていたから」
一度だけ、ふたりきりになれる場所へ行こうということになった。それで気持ちがおさまるならそれでもいい、あとのことはあとで考えよう、と。
「ただ、彼はセックスでも現役でした。『若いときみたいに固くはならないんだよ』と恥ずかしそうに言いましたが、私はそんなに固いもので突かれたいわけじゃない。自分が彼を包み込んでいるような、とっても気持ちのいいセックスでした」
いよいよ離れられないね、とふたりは笑いながら交わった。そんな心地よさが、夫婦のセックスとはまったく異なっていたから、彼女はますます彼に気持ちがなびいていった。
「恋に貴賤はない」「気持ちを封印するのはもったいない」
好きな気持ちを封印するのは、もったいない?
「私も還暦が見えていますし、彼は喜寿が見えている。そんな年齢だから、“老いらくの恋なんて恥ずかしい”と言われてもしかたがないんでしょうけど、当人たちはそんな意識はあまりないんですよ」
ヨウコさんはそう言う。老いらくと言われてしまうことが腹立たしいわけではないのだが、年甲斐もなく色恋に走っているように揶揄されると、世間は誤解しているとも感じるそうだ。
もし子どもたちが独立していなかったら、ヨウコさんは何がなんでも自分の気持ちを押し殺した可能性が高いと言う。だったら今でも押し殺せばいいと思う人もいるだろう。だが、年齢を経たからこそ、むしろ「好きな気持ちを封印するのは、もったいない」とも思ったそうだ。
「いくつになっても人を好きになるのは悪いことではないし、人生を豊かにすることにつながる気がするんですよね。たぶん私、今、夫に好きな人ができてつきあったとしても、夫が幸せならそれでもいいか、と思えるような気がするんです」
そのあたりは年齢が上のカツトシさんのほうがより切実に感じているらしい。
「みんな仲良く元気に暮らせたら」という境地
嫉妬や略奪したい気持ちはないという
「彼がよく言うんですよ。人生最後の何年かが、あなたのおかげで輝けるものになっている、と。奥さんとも仲良しなんですよ、彼。今もよく一緒に出かけているようです。私はそれに嫉妬なんかする気はありません。みんな仲良く、元気に、楽しく暮らせたらいいなと思ってる。だんだんそういう境地になっていくものなのかもしれませんね」
年齢を経たからこそ、誰も傷つけず、楽しくきれいな恋をしたい。それができれば人生、万々歳といえそうだ。