お盆に行う「迎え火」「送り火」の意味とは
「盆と正月」と言われるように、お正月に次いで大事な行事であるお盆。そもそもお盆は「仏教の「盂蘭盆会(うらぼんえ)」からきていると言われ、ご先祖さまを供養する日本の大切な伝統行事の一つです。いろいろ説はありますが、ご先祖さまの霊があの世から戻り、自宅で迎え供養し、また天に帰っていくという日本古来の信仰と、仏教の行事が結びついたものなのです。「迎え火」はお盆の期間にご先祖さまが自宅に帰ってくる時に道に迷わないようにと行われるもの。要するに、ご先祖さま向けの目印を作るのです。庭先や玄関先で麻幹(おがら)をたいたり、玄関に提灯を下げて迎え火の代わりにします。
「送り火」はご先祖さまがあの世に無事戻れるようにと送り出すために、「精霊送り」の送り火として麻幹をたきます。その火で明るく帰り道を照らして、迷子にならないように送り出してあげます。
迎え火と送り火は、お盆のいつ行う? 2018年だといつ?
2018年のお盆は8月13日(月)から8月16日(木)です。13日の最初の日はご先祖さまの霊をお迎えする「迎え盆(お盆の入り)」として「迎え火」の準備をします。16日の最後の日はあの世にお送りする「送り盆(お盆の明け)」として「送り火」を行います。ただし住む地域によってはお盆が終わる前日の15日に「送り火」をすることもあるようです。
迎え火と送り火のやり方
迎え火と送り火のやり方・流れについて解説します。■1:お盆の入り→12日夕刻から13日の朝
「精霊棚(しょうりょうだな)」を作りお供えをします。
精霊棚は盆棚(ぼんだな)とも言い、ご先祖さまの霊をお迎えする祭壇のこと。お盆の期間、仏壇の前に置き、位牌、ろうそく、香炉、花立、きゅうりで作った馬(精霊馬)やなすで作った牛(精霊牛)、故人が好んだ飲み物や食べ物など飾ります。飾り方は地域や家庭の習慣によって異なります。
■2:迎え日→13日の夕刻
仏壇や精霊棚の前に提灯を灯して、庭先や玄関先で麻幹(おがら)を焚いて迎え火をします。
■3:送り火、お盆の開け→15日か16日の夕刻
精霊送りの送り火をして麻幹をたきます。
<麻幹(おがら)のたき方>
焙烙(ほうろく)と呼ばれる素焼きのお皿の上に折ってつみ重ね、火をつけて燃やします。麻幹は仏壇店、花屋、スーパーやネットでも購入できます。
■4:精霊流しをする
精霊流しとは、飾りやお供えを盆船にのせて海や川に流すこと。許可されている地域かどうか確かめてから行いましょう。
京都「大文字焼き」は大きな送り火
新暦の8月16日に京都で行われる大文字焼き、東山如意ヶ嶽(ひがしやまにょいがだけ)の「大文字」が有名です。ご先祖さまの霊をお送りする、つまり精霊送りの最大のお盆のイベント。そしてこの「大文字」を始めとして、京都の5つの山を囲むように点在している松ヶ崎西山・東山の「妙法」、西賀茂船山の「船形」、大北山の「左大文字」、北嵯峨水尾山(曼荼羅山)の「鳥居形」の順番に点火されていきます。これを「大文字五山送り火」と呼んでいます。
地域で行う送り火
・宮城県:8月16日に“わら”で作った「盆舟」を流し、新盆を迎えた故人の霊が舵取りをして上手く沖へでれば供養できる。現在はお寺に持ち寄るのが一般的。
・青森県大川原:8月16日の夜、アシガヤを編んだ長さ約3m、幅1.5m、帆柱3mの舟3隻に火をつけ、5~6人ずつの若者が1隻を引きながら川を下る「火流し」と呼ばれる行事が行われる。
・長野県:川べりで各々に仏さまを背負う形をして家に帰ってくるのを迎え火をたいてお迎えする。
・静岡県西部(浜松市近辺):初盆の行事である「内施餓鬼(自宅に僧侶がきてお経をあげる)」と「寺施餓鬼、外施餓鬼(お寺で檀家と共に合同法要)」を自宅とお寺での両方でそれぞれ異なる日程で行います。
・関西:8月23日と24日の二日間に「地蔵盆」と呼ばれる子供たちが主役の行事が行われる。
ガイド記事→子どもたちが主役。夏の終わりの地蔵盆
・九州:目蓮(もくれん)尊者が母親を地獄の釜から引き上げたことから綱引きをすると言ういわれ。綱引きの勝敗でその年を占う。
・福岡県筑後市:8月14日に開かれる「久富盆綱引き」が熊野神社で行われ、子供たちが全身にすすを塗り、黒鬼の姿になり大綱を持って町内を引き回す。
・沖縄県:沖縄のお盆は暦の7月13日~15日。この世に戻ってきたご先祖さまの霊を太鼓を叩いて再びあの世へ送り出す舞踊「エイサー」で盛り上がります。
※参考文献
『年中行事辞典』(三隅治雄・編著/東京堂出版)
『都道府県別冠婚葬祭大事典』(主婦と生活社)
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迎え火と共にお盆の期間帰ってこられたご先祖さまと一緒に数日間過ごし、そしてまたあの世へ送り火と共にお見送りする、お盆の最後の締めくくりとなるのですね。また1年後のご先祖さまとの再開まで無病息災でいられるよう、お過ごしください。
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