ストレス要因と向き合うか、目を背けるか?
ストレスをもたらす問題と向き合うことで「ラクになれるか否か」が判断基準
「成長を感じたり、ワクワクしたりしながら、自分にしかできない意味ある仕事をしたい」と思っているのに、現状は、変化のない平凡な日々を送り、「このまま年だけとっていくのか」と虚しさを覚えている、とします。こうした場合には、「希望と現状とにギャップがあるのが問題だ」ということに気づき、「では、どうすればギャップを縮めることができるだろう?」と建設的に考え、実際に行動に移すことで、理想に近づくことができます。
(詳細はこちら → 『仕事がうまくいかない時に!理想に近づく認知行動療法』)
もし問題解決に向けての行動をとることが難しくても、
- 「私は自分の能力がもっと活かせるポジションで働きたい」と友人に心の奥に溜まっているモヤモヤする気持ちを話す
- 「平凡な日々って、別の見方をすると、安定しているとも言える。そう考えると、今の状態は悲劇のない、幸せな状態と言えるのかもしれない」と捉え方を変え、今ある幸せに気づく
このように、自分の認知(物ごとの捉え方)や行動を変えることで「ラクになれること」「自分である程度、コントロールできること」は、向き合ったほうがよい問題です。
捉え方を変えても行動してもラクになれない「どうしようもない問題」からは遠ざかろう
考えれば、考えるほど、苦しくなる
たとえば、災害で、愛する息子を失った場合。
「どうして息子が死ななければならなかったのか?」「なぜ自分ではなく息子だったのか?」といった想いが湧いても、その問いに対する答えはどれだけ建設的に、楽観的に考えようとしてもわからないし、そのことを考えれば考えるほど、苦しくなる。問いかければ問いかけるほど、虚しさが増す……。
そうした「答えのない」「問題が大きすぎてどれだけ考えてもわからない」「ラクになれない」問題に対しては、あえて一旦、問題から目を背けることが、重要です。
「今、ここ」に意識を向けるために呼吸瞑想をしたり、残された家族との時間を大切にしたりして、自分を苦しくさせる「なぜ」の質問についてはできるだけ考えないようにすることも、ストレスマネジメントなのです。
そして、時が経つのを待つ。
人によっては、「息子のいない生活」という状況を生きるなかで感じ方が変わり、現実と向き合い、少しずつ受け入れられるようになることもあります。
また「何のために、自分は生き残ったんだろう」という意味を考えることで、単に生き残ったことに焦点を当てていた状態から、「息子の死を無駄にしないために防災活動に取り組もう」と前に進む人もいます。
仕事でも「逃げたほうがよい」場面がある
災害のような非日常の悲劇でなくとも、仕事の場でも、同様です。「どうしようもない」ときは、自分の身を守ることを最優先に
そうした時は、「ストレス要因となる攻撃的な人からは距離を置く」、場合によっては、「自分を守るために休職・退職する選択も必要となる」ことを覚えておいてください。
「心のセルフケア」の選択肢を多く持ち、時と場合によって使い分けることができると、ストレスとうまくつきあえるようになります。
自分でストレスマネジメントをする方法を、体系的にまとめた、こちらも記事もよろしければご一読ください → 『自分でできる「心のセルフケア」8種類』