ナスダックの最高値更新と「FANG」銘柄
株式市場では、米中の貿易摩擦が警戒されています。関税の引き上げ合戦で「貿易摩擦」が「貿易戦争」になれば、良好な世界経済に影を落とす可能性があるからです。主要な株価指数であるNYダウ工業株30種平均、日経平均株価がさえない展開となっているのは、先行きを見極めたいとの投資家の動きを反映しています。一方、米国ではハイテク株の比重が高いナスダック総合指数は、7月に入って史上最高値を更新しています。この背景には独自のビジネスモデルを構築し、景気の影響を受けにくい企業の株価上昇があります。米国ではこれらの企業の頭文字をとって「FANG」銘柄などと呼ばれます。Fはフェイスブック、Aはアマゾンやアップル、Nはネットフリックス、あるいはエヌビディア、Gはグーグル(社名はアルファベット)です。FAANNGということもあるようです。
日本版プラットフォーム関連候補5銘柄は?
フェイスブックはSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の雄ですね。アマゾンはネット通信販売で飛躍し、アップルはiPhoneで有名ですがApp Storeでのアプリダウンロード数で圧倒。ネットフリックスはネット動画で、エヌビディアは自動運転向けなど画像半導体で業績を伸ばしています。グーグルはネット検索から総合ハイテク企業に脱皮しています。いずれもサービスを受けようと思えば、その企業の「プラットフォーム」を使うしかありません。プラットフォームとは作り手(企業)とユーザー(客)を引き合わせるインフラのこと。圧倒的なプラットフォームを構築することで、景気に左右されにくい収益環境となるのです。アップル社の時価総額は100兆円を超え、日本で最大のトヨタ自動車(24兆円)の4倍以上となっています。
そこで、今回は日本企業で「プラットフォーマー」になりそうな企業をピックアップしてみました。将来的にトヨタを抜くような時価総額の企業が出てくると、日本の産業界も活性化することでしょう。
LINE <3938>
スマホでメッセージをやり取りするアプリ「LINE」で成長しています。世界に利用が拡大しないことが警戒された時期もありましたが、近年ではAIスピーカーや決済システムに注力し、見直されています。特に決済の「LINE Pay」は手数料無料で送金できるシステム。LINEの会員約7500万人で、メガバンク細大の三菱UFJ銀行の個人口座約4000万(市場推計)を凌駕する可能性があります。ペプチドリーム <4587>
特殊ペプチドを使った創薬支援を行なっています。風邪薬など大半の薬は分子の小さい薬で、分子の大きい抗体(免疫の一種)を活用した医薬もあります。特殊ペプチドはこの中間の大きさの分子で、効率的に新薬ができるものと期待されています。同社には営業担当がいませんが、論文を書くと世界の製薬大手から引き合いが来て、技術を供与。プラットフォームはブラックボックスとし、開発段階に応じた収益を得るなどのビジネスモデルとなっています。メルカリ <4385>
フリーマーケットアプリ「メルカリ」を運営しています。簡単に出品できて、すぐに購入できる仕組みを構築し、日本では圧倒的な強みを持っています。自分の住所などを明かさずに安全な取引ができることや、AI(人工知能)を活用して商品の説明なども容易にできます。支持を受けたことで出品数が増え、さらにライバルを引き離す状況です。2018年6月に上場。調達資金で海外市場でもプラットフォームの構築を行なっていく方針です。スタートトゥディ <3092>
通販サイト「ZOZOTOWN」を運営しています。無料で全身の採寸を行なう「ゾゾスーツ」を提供。スマホで自身の体のサイズを計測。これを使うことで、自分にフィットしたスーツやシャツ、ジーンズなどが作ることができます。72カ国に対応しているとのことで、アパレルの新たなプラットフォームとして期待されています。ソニー <6758>
中期経営計画で半導体(センサー)部門の急拡大を目指します。自動運転、FA(工場自動化)、AIを使った警備などにはセンサーが不可欠。同社のセンサーは1億5000万画素という圧倒的な高性能。パソコンで「インテル入っている」というCMがありましたが。これはインテルのCPU(中央演算処理装置)がプラットフォーム化したことを意味していました。今後はセンサー分野で「SONY Inside=ソニー入っている」といわれるようになるかもしれません。※株式投資はリスクを伴います。投資に関する最終判断は、御自身の責任でお願いします。