CB○○Rシリーズの次男 CB250R
ネオスポーツカフェコンセプトを掲げ、新しいシリーズとして展開しているホンダのCB○○Rシリーズ。CB1000Rを筆頭に、今回試乗したCB250R、末弟のCB125Rと3台がラインナップされ、デザインコンセプトは共通となっているので見た目はよく似た3台となっています。
元々、250ccクラスはフルカウルスポーツモデルが人気の中心となっており、ホンダは2010年から単気筒のフルカウルスポーツモデルCBR250Rを販売してきました。しかし2017年に名前の中にRが一つ増えたCBR250RRがリリースされるとカタログ落ちしました。
CBR250RRは排気量の枠を超えた豪華装備が特徴でお値段も高いので、エントリーユーザーが一台目に購入するには敷居が高いバイクです。一方、CBR250Rはお値段もお手ごろだったのでカタログ落ちを残念に思っていましたが、CBR250Rと同じDOHC・4バルブ単気筒エンジンが搭載されてお値段もお値打ち価格の次世代ネイキッドバイクCB250Rがリリースされたわけです。
果たして乗り心地はどうか? 一週間都内の通勤で試乗してインプレッションします。
CB250Rはライバルと比べても軽量
新設計されたフレームは徹底的に軽量化され、車両重量はABS付のモデルで144kgとなっています。これは250ccクラスでもかなり軽量です。ライバルと比べてみると下記のとおりです。
ヤマハ | MT-25 | 166kg |
スズキ | GSX250R | 178kg |
カワサキ | ニンジャ250 | 166kg |
ホンダ | CB250R | 144kg |
GSX250Rとニンジャ250はフルカウルモデルですが、それでもCB250Rはかなり軽量に仕上がっているのは間違いありません。理由としては他のモデルが2気筒エンジンを搭載しているということもありますが、CBR250RのカウルなしモデルCB250Fの車両重量がABS付モデルで161kgあった事も考えると、エンジン以外のパーツもかなり軽量化されていることは間違いないのです。
CB250Rの燃費や足つき性は?
CB250Rのシート高はスペック上800mmとなっています。ライダーが跨ると若干サスペンションが沈み込みます。シートも絞り込まれていますが前の方に座ると足をおろした位置にちょうどいいところにステップがあるので、少し外側に足を出すか足を前側に置く必要があります。少し後ろに座り直してみるとステップの位置をかわす事ができるので、足つきに不安がなくなりました。身長165cmの筆者でも両足ならつま先が設置し、片足ならべったりつきます。ハンドル位置が遠くなるので若干前傾になりますが、ストップ&ゴーが多い街中では少し後ろに座り、足をつきやすくしたほうが乗りやすいでしょう。
今回の試乗での燃費は36km/L程度でした。これは同クラスと比べてもかなり良い燃費といえるでしょう。タンク容量が10Lと少なめなのが気になりましたが、燃費に優れているので連続航行距離は計算上360km。
しかも今回は高速道路をほとんど使用しておらず混雑した街中を走るルートが多かったので、高速道路を使ったツーリングでは燃費は更に良くなるはず。同クラスのライバル車両はタンク容量がもう少し大きな車両が多いですが、一緒にツーリングに行っても給油のタイミングはさほど変わらないでしょう。
CB250Rの装備をチェック
CB250Rはオーセンティックな丸目一灯のヘッドライトを採用していますが、中身は最新のLEDヘッドライトを採用。ウインカーやテールランプなど全ての灯火類でLEDが採用されています。
フロントフォークには倒立を採用しており、軽くすると動きが軽快になると言われているバネ下重量の低減を実現しています。リアサスペンションは初期の沈み込み量を調整するプリロードを7段階調整出来るようになっており、イニシャルの状態では最も柔らかいセッティングから一段階硬いセッティングになっています。
フロントブレーキには4ポッドキャリパーをラジアルマウントしています。一般的なマウント方法に比べると制動力に優れているといわれているので、シングルディスクブレーキですが車体が軽量であることもあり制動力は高そうです。CB250RはABS付か無しかを選ぶ事ができますが、ABS付モデルはブレーキング時にタイヤがロックしてしまうのを緩和するだけでなく後輪の浮き上がり抑制するIMU(車体姿勢推定システム)がついています。
メーターには速度を中心に大きく表示する視認性の良いフルデジタルを採用していますが、最近の車両で装備される事が多いシフトインジケーターが装備されていません。個人的には便利な機能だと思うので表示されないのは残念です。
CB250Rのタイヤサイズは前後とも17インチ、フロントは幅110mm、リア150mmを採用しています。フロントはこのクラスとしては一般的ですが、リアは幅が広め。タイヤ幅が広いとパワーのない車両では動きが鈍くなってしまう事もありますが、車両重量が軽いので動きも軽いのでしょうか? ということで、お待たせしました。以下、試乗です。
CB250Rの魅力はとにかく軽いの一言!
CB250Rはカタログ落ちしてしまったCBR250Rと同じDOHC・4バルブ単気筒エンジンを搭載していますが、CBR250Rが29PS/9000rpmを出力しているのに対して、27PS/9000rpmと最高出力では2馬力低くなっています。
しかし実際の走りはビックリするぐらい軽快です。しっかりと軽量化されている影響も大きいと思いますが、CB250Rのプレスリリースを見てみるとエンジンのセッティングやエアクリーナー形状、さらにはマフラーの構造を工夫する事で低中速の力強い加速フィーリングを実現しているそう。
そのためCBR250Rと比べても走り出しからのトルク感に優れており、走り出しから中速ぐらいまではCBR250Rと比べても優れているのは勿論ですが、ハイパワーエンジンを搭載したホンダCBR250RRやヤマハのYZF-R25と比べてもむしろ優れているように感じます。
CB250Rのサスペンションは前後ともにしっかりとストロークして乗り心地は悪くないのですが、個人的にはリアサスペンションのプリロードは一番柔らかいセッティングにした方が乗りやすく感じました。
ブレーキは予想通りかなり制動力に優れている印象です。すぐに慣れましたがCB250Rに試乗し始めたタイミングでは自分が予想しているよりもブレーキレバーを握った際にブレーキがガツンとかかってしまう事がありました。効き過ぎるということではないので、二~三回減速を繰り返せば慣れるレベルです。
コーナーでのハンドリングもとにかく軽快の一言。ハンドルのキレ角も大きいのでユーターンもラクラクなのですが、ギアを1速まで落としてしまうとエンジンブレーキが効きすぎてしまうので、小さく旋回する際も2速の方が使いやすいかもしれません。
超軽量で安価な価格設定は万人受けする
タイで生産されているCB250Rの販売価格はABS付が55万4040円。ABS無しが50万3280円に設定されています。カウル付なので多少割高になってしまうのは仕方がありませんが、ヤマハYZF-R25のABS付が61万200円。カワサキのニンジャ250はABS付のみラインナップしていますが62万9640円です。
お財布に優しい価格的ですのでエントリーユーザーは手を出しやすいバイクと言えます。また車両重量が軽いのも魅力的。エンジンをかけていない時のバイクの押し引きはもちろん、エンジンをかけて走っている時にも軽さのメリットを感じるシチュエーションは多くありました。
まさにこのクラスでは軽さは正義だなと感じましたが、一点だけデメリットを言えば、直前に試乗していたニンジャ250と比べると横風が吹く橋の上などを走行する際には煽られやすいように感じました。
安定感よりも軽快な走りが魅力的なバイクなので下道ツーリングには最高の一台と言えます。また山道など旋回が多いシチュエーションも楽しそう。ジムカーナなどの競技でも活躍できそうです。
CB250R関連リンク
■CB250Rのエンジン音、マフラー音はこちらの動画でご確認下さい■CBR250Rの試乗インプレッションはこちら
■YZF-R25の試乗インプレッションはこちら