性は外ですませるほうがいいと考える男女も

信じて疑わなかった、普通の「女の生き方」だったが……

信じて疑わなかった、普通の「女の生き方」だったが……


2016年の記事『「セックスは外注で」と言い始める既婚女性たち』では、40~50歳代の男性の4割、女性の2割が「家族に迷惑がかからなければ、配偶者以外の異性と性的関係があってもかまわない」と答えていた。

夫婦間でマンネリセックスをするより、むしろ家庭は家庭、性は性と割り切って、性は外ですませるほうがいいのではないかと考える人は少なくない。実際、統計として数字が出ることはないのだが、不倫をしている既婚女性の多さを改めて感じることは多々ある。不倫というとどっぷりと恋にはまっている印象だが、先日40代女性と話していると、「最近、外で男性と会っている」と微妙な言い回しをした。


セックスなんてしなくていいと思っていたけど


「セックスは外でしたほうが家庭内がうまくいくような気がするんですよね」

マナミさん(46歳)はそう言って笑った。地方出身のマナミさんは高校を卒業して会社勤めをし、24歳で見合い結婚して家庭に入った。彼女が生まれ育った地域ではごく普通の「女の生き方」だった。

「夫は転勤族だったから、結婚してから7回ほど引っ越しました。その間に子どもを3人産み育てて。夫は常に仕事で忙しかったから、今の言葉でいえばワンオペ育児でしたね、完全に。でもそんなものだと思っていたし、子育ては楽しかった」

4年前から一家は東京暮らし。子どもたちも上ふたりは独立し、いちばん下の娘が大学生で同居している。

夫とは決して「いい関係」ではないが、彼女はパート勤めをしながら趣味の教室やスポーツジムなどに通って楽しんでいる。20年以上にわたる結婚生活の中で、夫の浮気を疑ったことは多々あるという。それでも、彼女は特に問い詰めることもなかった。

「子どもが生まれたらセックスなんてしたくない。ずっとそう思っていたから、夫が外で浮気をしようが風俗に通おうがどうでもよかった。生活させてもらっていることに感謝はしていたし」


40代後半になって気持ちが変わってきた

女友だちの話を聞いて、少しずつ気持ちが変わってきた?

女友だちの話を聞いて、少しずつ気持ちが変わってきた?


そんなマナミさんの気持ちが少し変わったのは2年ほど前からだ。

「初めて東京で暮らすようになって、この街は本当に刺激的だと感じました。ジムで知り合った女友だちから、『不倫してるの』と聞いたときはひっくり返りそうになったけど、そういう生き方もあるんだと知って。私も年を重ねた分、そういう話にも寛容になったんでしょうね」

その女友だちと話すのが楽しくなっていった。そしてあるとき、彼女はジムで顔なじみになった7歳年下の男性と帰りに一杯飲みに行った。

「男友だちができたのは初めてでうれしかったんですよね。恋をしたいなんていう気持ちはありませんでした」

何度か飲みに行くうち、彼に口説かれるようになった。それはそれは心地いい時間だったとマナミさんは言う。だが彼女に「恋愛」をする気持ちはなかった。ジムで出会った女友だちが不倫で苦しんでいるのを見て、「恋愛感情など抱かなければいいのに」と思っていたからだという。

「彼女は夫との愛情が薄れたから不倫に走って、外の男性に愛情を求めた。でも、そういうのってやはりむずかしいと思うんですよ。お互いに離婚するだのしないだのって揉めることになるわけだし。私にとって、家庭は生活そのもの。つまり人生の基盤なんですよね。夫とはそれほどいい関係ではないけど、私が死ねば葬式くらいは出してくれるでしょう。そういう意味では家族としての機能はある。だったらそれでいいじゃないかと思うんです」


セックスは必需品ではないから

年下男性の口説きは気持ちがよかったが、彼女は自分は恋愛する気はないと彼に告げた。ただ、「セックスだけの関係ならいいわよ」とも言った。大胆な発言である。

「それで彼とセックスするようになりました。レスが長いから最初は怖かったけど、人肌って悪くないと思ったし、何度も体を重ねるうちに、深い情が生まれたりもする。ただ、自分の感情に振り回されるのもイヤだったので、半年くらいで彼が転勤になったときはほっとしました」

その後も、ときどきジムで知り合ったり趣味の教室で出会った男性と体を重ねる。恋愛をしているつもりはないから、家族への罪悪感もない。

「言葉にすると、『セックスを外注している』感じなんでしょうか(笑)。私にとってセックスが必需品かと言われると、どうなのかわかりません。ただ、外でセックスをするようになって、自分が女として生きている実感はありますね。求められる快感もある。子どもが大きくなってからは無条件に誰かに求められることも必要とされることもなくなっていたから。でも外の男性に依存する気はありません」

穏やかな口調でマナミさんはそう言う。たおやかで、しかし自分の意志を静かに内に秘めながら淡々と生きている感じの彼女が妙に印象に残っている。
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