亀山早苗の恋愛コラム

男性の「超オトナ婚」、同世代女性と結婚観の乖離が…

高齢男性有名人の結婚が話題となった。巷の男たちは高齢でも結婚することをよしとして、「家庭を作るのはエライ」とする傾向がある。しかし、同世代の女性たちは経済的に困らない限り、その年齢でわざわざ「結婚」を考えない人も多い。結婚への考え方、男女の間には大きな乖離がある。

亀山 早苗

執筆者:亀山 早苗

恋愛ガイド

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高齢男性の結婚が話題に。男女でその捉え方には差がある?

同じ年齢を重ねてからの結婚でも、男女ではその捉え方に差がある?

同じ年齢を重ねてからの結婚でも、男女ではその捉え方に差がある?


高齢男性有名人の結婚が話題となった。王 貞治氏78歳、清水國明氏67歳、そして「紀州のドン・ファン」こと野崎幸助氏77歳。いずれも最近、結婚したばかりの有名人たちだ。結婚相手はそれぞれ18歳、25歳、55歳年下の女性。清水氏は4度目の結婚で、妻となった女性は妊娠しているという。こういった年齢での結婚は、男性たちからは濃淡はあっても「男としてエライ」という声が強い。

前妻を胃がんで亡くしてから10年来、身の回りの世話をしてくれた女性と結婚という形をとった王氏や、相手が妊娠したことで婚姻届を出した清水氏には、「きちんと責任を取ってエライ」という意味で世の男性からの同意がある。野崎氏に関しては、結果はともあれ55歳も年下の女性と交際して愛人にするだけではなく結婚までしたことに対して、「男としてスゴイ、羨ましい」の声が上がる。

巷の男たちは高齢でも結婚することをよしとする傾向がある。こうした声を聞くと、男にとって「結婚」はやはり「責任をまっとうする」という意味合いが強いのかもしれないとつくづく思う。


「超オトナ」での結婚は、多くの女性にとってめんどう?

定年後の夫とともに過ごす気になれない、と熟年離婚した妻たちは……。

定年後の夫とともに過ごす気になれない、と熟年離婚した妻たちは……。


一方で、女性たちはどう考えているのだろうか。

「私は3年前に子どもの手が離れて、ようやく離婚したところ。今さら結婚なんて考えられない。今から知り合って、関係をイチから構築していくのはとても無理だと思う」

マサミさん(55歳)はそう言う。共働きでありながら、ずっと家事も育児もひとりでやってきたような寂しさがあった。定年後を夫とともに過ごす気にはなれなかったので、「1日でも若いうちに」と離婚を急いだ。

「20数年連れ添ったけど、今後、もし夫が倒れたら……と考えて愕然としたんです。私は夫の介護なんてまっぴらだと思っていることに気づいたから。私自身の介護も夫にはしてほしくない。いつしか気持ちがそれほど離れていたんですね。ただ、夫は私が離婚したいと言ったら、まったくわからないという顔できょとんとしていましたが」

そんな状況で離婚をしたから、それ以降、マサミさんの人生は「バラ色そのもの」だという。息子は仕事で遠方に、娘とは近所でお互いひとり暮らし。週末には娘と食事に行くこともあれば、友だちと遊びに行くことも。

「子どもたちには頼りたくないので、娘とも大人同士のつきあいができればと思っています。今は自由を満喫しています。定年後も働けるだけ働いて、最後は老人ホームにでも行けばいいかなと。離婚してこれほどの自由があるのに、もう一度結婚したいとは思いませんね、私は」

もちろん個人差は大きい。同じように離婚しても、今度は気の合う誰かとともに暮らしたいという女性もいるだろう。ただ、経済的に「食べるのにも困る」ほど苦しくなければ、女性が50歳を越えて再婚を熱望することはあまりない。


ずっと独身だったから、老後は結婚したい?

ずっと独身で生きてきた女性はどうだろう。さんざん自由を謳歌してきたから、老後くらいは誰かと一緒に生活してみたいと思ったりするのだろうか。

「いやいや、結婚はしなかったけど恋愛はしてきたし、ここ数年は親の介護で大変な目にあいましたからね。もうあらゆることから解放されたいという思いしかありません」

クミさん(49歳)は、昨年、父と母を相次いで見送った。それまでの数年間は仕事と介護に明け暮れていたという。

「私の周りの独身女性たちは、もう乙女心もなくなっているオトナなので、一度は結婚したかったという声もほとんど聞きません。これからは女友だちを大事にしながら生きていこうという意見ばかりですね」


男にとって結婚は「家庭を作る」こと

子どもを産んでほしいから結婚したい、という高齢男性は少なくない

子どもを産んでほしいから結婚したい、だから若い女性がいい


しかし、独身男性たちはまた違う気持ちでいるようだ。

「私も親の介護などがあって結婚しそこなってしまったけど、今年から婚活にいそしんでいます。人生の最後は愛する人とともに手を携えて歩いていきたいから」

ロマンティックなことを言うキヨアキさん(53歳)は、友人に誰か紹介してほしいと声をかけつつ、結婚相談所にも足繁く通っている。ところがなかなかつきあいが続かない。

「結婚したら子どもがほしいので30代の女性と会っているんですが、そう言うと、なぜかあまりいい顔をされないんですよね……」

それはそうだろう。まるで「女性は子どもを産む機械」と言った政治家のような発言ではないか。だが、キヨアキさんは自分の発言のどこが問題なのかわかっていないようだ。

「あなたと結婚して子どもがほしい、と言われたら女性はうれしいものだと思うんですが。だって未来永劫、一緒にいたいというアピールになるわけだし」

出会ってほどないかなり年上の男性にこう言われたら、気持ち悪さが募るのではないだろうか……。

男にとっての「結婚」は、相手とともに生きていくというよりは「家庭を作る」ことであり、その輪の中で自分が大事にされることを意味するのではないか。

阿川佐和子さん、夏木マリさん、桃井かおりさんなどがアラ還で結婚しときのコラム(50代以上の女性の「超オトナ婚」)では、女性たちが子どもや親の介護を求められない、つまり、「家庭を作る」という意識ではなく、「寄り添って生きる」感覚が重視されていた。

年齢を経れば経るほど、男性の望む「結婚」と女性が望むそれとの間には大きな乖離があるような気がしてならない。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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