子供のしつけ/子供の上手な叱り方・NGな叱り方

子供を叱ると可哀想?それとも叱らない方が可哀想?

叱らないのは子供のためによくないというママ、叱ることには抵抗があるというママ、その狭間で悩んでいるママ……。叱る、叱らないで揺れているママに、この問題をどう見ていくべきかを心理学的にお伝えしていきます。

佐藤 めぐみ

執筆者:佐藤 めぐみ

子育てガイド

その時、子供を叱る?叱らない? 迷うママの心理

叱る、叱らない、どちらが子供のため?

叱る、叱らない、どちらが子供のため?

子育てをしていると毎日遭遇する「ダメッ!」「ちょっと待った!」という出来事。「叱った方がいいのか、それとも叱らない方がいいのか」と悩むママも多いようです。

叱らない選択をした後に、子供にとってやはり良くなかったと後悔することもあるし、叱ったら叱ったで、怒るのってよくないんだよなと思ったり……。そして、両方を行ったり来たりして、何が正しいのか分からなくなってしまう。

叱る方が子供のためなのか、叱らない方が子供のためなのか、それとも……? ママが迷いがちなこの悩み、子育て心理学的にはどう見るのでしょうか?


叱る派、叱らない派、それを支持する理由

叱る、叱らない、両者の間で揺れているママもいる一方、どちらかサイドを強く支持し、一方を否定しているママもいます。

■叱る派を選ぶ理由:叱らないのは子供のためによくない
叱った方がいいと考えるママが持つ「叱らないママ」のイメージは、子供が何をしても大目に見てしまう黙認タイプ。子供がいつか困る日がくる、社会に適応できないと懸念している。

■叱らない派を選ぶ理由:叱るのは子供の心を傷つける
叱るのは可哀想だと思うママが持つ「叱るママ」のイメージは、のび太のママのように鬼のツノを生やして感情的に怒るタイプ。グサグサと強い言葉と勢いで子供を威嚇することで、子供心を大きく傷つけるのではと心配している。

たしかに、お互いが持っている懸念はどちらも納得の内容。子供の行動を何でもOKと見逃してしまうのは、子供のためになりませんし、強く叱り過ぎると、子供の心を傷つけます。

しかし、本当にあるべき姿は、このどちらでもありません。叱る派であっても、感情的にならずに適切に導けているママもいますし、叱らない派でも、黙認するのではなくほめることに力を入れて子供を導いているママもいます。「叱るか」「叱らないか」というくくりで見てしまうと、それ自体が論点になりかねませんが、大事なのはその質で、子供がやっていいことと悪いことをきちんと学べているかどうかです。感情的に叱るパターン、叱らずに黙認するパターンは、どちらも子供の学習は低くなります。


それぞれの欠点と両者の共通点

よって、感情的に叱る=可哀想、叱らずに何でも黙認してしまう=可哀想ということになります。では、感情的に叱ることと、黙認して叱らないことが、なぜ子供のためにならないのか、それぞれの欠点と両者の共通点を見ていきましょう。

■感情的タイプの欠点
感情優先型なので、目の前で子供がなにか悪い行動をすると、それに対する不平や不満を並べ立てます。ついでに前回はどうだった、先週はどうだったと過去の履歴も並べます。叱りネタは満載なのですが、そこには教えがありません。なぜなら、目の前の行動を否定することに注力してしまうため、肝心の「新たに取るべき行動」「望ましい行動」を促せていないからです。

■黙認タイプの欠点
子供は何でも自由にやった方がのびのび育つという思いで日々を過ごしているため、親から発する教えが極端に少なくなります。子供は色々なことを自然に身につけていきますが、社会のルールは親が教えてあげないと、どこからどこまでがOKなのかという範囲を知らずに育ってしまいます。

■両者の共通点
これで分かるように、どちらも「いい行動を育む」という部分が欠落してしまっています。叱ると可哀想とか、叱らないのは可哀想というより、子供への教えがなければ、叱っても叱らなくても子供は可哀想。社会に出たときに、物事を自分で判断できる力が身についていないと、結局、本人が一番困ってしまいますから……。


「〇〇はダメ」よりも、「〇〇しなさい」

感情的に叱るのもよくない、黙認して叱らないのもよくない。どちらも否定してしまいましたが、もし思い当たる節があれば、ぜひ次のような視点を変えた見方をしてみてください。

ポイントは、「子供の悪い行動を消す」という発想から、「子供のいい行動を増やす」という発想に切り替えることです。

特に、感情的に叱ることが癖になっているママは、この発想の転換がカギになります。というのも、そのままのモードだと、ママの目は子供の「悪いこと」を探す目になってしまっているため、飛び込んでくるものは、全て怒りの矛先に。そして、それらを何とか抹消しようと大きな声で注意したり、すごみをきかせて制圧しようとしてしまうからです。

何とか無事に火消しできても、そこで新たな行動を学べていなければ、次もまた同じことを繰り返すことになります。叱るか、叱らないかにこだわるよりも、「この子にちゃんといい行動を教えてあげられているかな?」という点にこだわるのが大事なのです。

「〇〇はダメ」と行動を否定するよりも、「〇〇しなさい」と新たな行動を促す方が、目指す方向が見えるので、子供の教えにつながります。大事なのは、子供の悪い行動を消すことではなく、いい行動を増やすこと、ぜひ視点を変えてお子さんの行動を見てみてください。

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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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