原付バイク・スクーター/原付バイク・スクーターの車種情報

プジョーのスクーター・ジャンゴ125試乗インプレ

多くの人が車のメーカーとして認識している「プジョー」は、実は現在もスクーターを製造販売しています。2018年から正式に日本国内の代理店が決定し、プジョーのスクーターが国内販売されることになりました。その中でも注目なのはクラシックな外観がお洒落なジャンゴ125です。通勤で試乗してインプレッションしました。

相京 雅行

執筆者:相京 雅行

バイクガイド

プジョーのスクーターが日本上陸!

プジョーエンブレムがスクーターに!

プジョーエンブレムがスクーターに!


ご存知ですか? プジョーがスクーターを製造している事を。二輪のジャーナリストとして活動し始めて5年目になりますが、日本のプジョー公式ホームページを見てもスクーターのラインナップは紹介されていませんし、恥ずかしながらプジョーがスクーターを製造している事を知りませんでした。

プジョーは1898年にはじめてのバイクをパリのモーターショーで発表し、現在もスクーターを販売しているのでバイクを作り続けて、なんと120年なのです。

2018年の東京モーターサイクルショーADIVAブースにプジョーのスクーターが展示されていた

2018年の東京モーターサイクルショーADIVAブースにプジョーのスクーターが展示されていた


そもそも今回プジョーのスクーターをご紹介する事になったのは、2018年東京モーターサイクルショーでイタリアのバイクメーカーADIVAの日本法人であるADIVA株式会社が正式にプジョースクーターの輸入総代理店として展示を行っていたことを発見し「プジョーってスクーター作ってるんだ!」と初めて認識した事がきっかけとなります。

今回はプジョーのスクーターラインナップの中でもレトロテイスト溢れるジャンゴ125を都内の通勤で試乗してインプレッションします。

プジョーのスクーター ジャンゴ125には5つのバリエーションモデルが存在

ジャンゴ125ヘリテイジ

ジャンゴ125ヘリテイジ
メーカー希望小売価格 税込35万9640円(税抜33万3000円)


ジャンゴ125にはベーシックモデルのジャンゴ125ヘリテイジを中心に複数のバリエーションモデルが存在します。

ジャンゴ125SundefinedABS

ジャンゴ125S ABS
メーカー希望小売価格 税込38万1240円(税抜35万3000円)


つや消しブラックのボディとタンデム側シートを外してシングルシートカウルを装着する事が可能なジャンゴ125S ABS。
ジャンゴ125エバージョンABS

ジャンゴ125エバージョン ABS
メーカー希望小売価格 税込37万440円(税抜34万3000円)


ツートンカラーが特徴的で小ぶりなウインドスクリーンとクロームメッキ仕上げのフロントキャリアを搭載したジャンゴ125エバージョン ABS。

ジャンゴ125アリュールABS

ジャンゴ125アリュール ABS
メーカー希望小売価格 税込38万1240円(税抜35万3000円)


濃い茶色のボディにクロームメッキ仕上げのリアキャリアとバックレスト付リアボックスが標準装備のジャンゴ125アリュール ABS。

ジャンゴ125IDundefinedABS

ジャンゴ125ID ABS
メーカー希望小売価格 税込38万1240円(税抜35万3000円)


そしてキャンディピンクのボディとシングルシートが特徴のジャンゴ125ID ABSがラインアップされています。

ジャンゴ125ヘリテイジのみリアブレーキをかけると前後輪の両方に制動力がかかるコンビネーションブレーキが装備され、それ以外のモデルはABSが標準装備となります。

個人的に人気モデルとなりそうだなと感じたのはツートンカラーにABS、フロントキャリアとウインドスクリーンが標準装備のジャンゴ125エバージョン ABS。今回試乗する機会を頂いたのもジャンゴ125エバージョン ABSです。

プジョーのスクーター ジャンゴ125シリーズ共通の装備をチェック


原付二種スクーターに求められる快適性をまずはチェック。ジャンゴは前後のシートが別体となっており、シート開閉時に開くのは前側だけ。リアシート下はバッテリー収納スペースになっているのでバッテリー交換時のみ開けることになるでしょう。

ジャンゴ125のシート下ラゲッジスペース

ジャンゴ125のシート下ラゲッジスペース


ジャンゴ125のフロントシート下スペース容量は公表されていませんが大柄の車体のわりには125ccクラスとしては標準的な収納力という印象です。私が普段使っているSHOEIのJ FORCE4 M(スポーツジェットヘルメット)とZ-7(フルフェイス)は収納する事ができました。そのほかにグローブやレインウエアぐらいであれば収める事ができそうです。

ハンドル右下のグローブボックスは実質スマホ充電スタンドといえる。

ハンドル右下のグローブボックスは実質的にスマホ充電スタンドといえる


ハンドル下右側のグローブボックスには12VのDCソケットが備わっています。ソケット下にはスマートフォンを入れておく事ができるスペースが準備されています。バイクは段差で上下するのでスマホを入れるなら衝撃からスマホを守るタイプのスマホカバーを装着しておくと良いかもしれません。

ハンドル左下は給油口になっている

ハンドル左下は給油口になっている


ハンドル下左側はグローブボックスかと思いきや給油口でした。開閉した蓋部分には給油口のキャップを入れておくスペースも用意されています。

コンビニフックは使わないときは収納できる

コンビニフックは使わないときは収納できる


そのほか使わない時には収納可能なコンビニフックを装備しています。こちらの最大積載量は公表されていませんが、1kgぐらいという印象です。

ジャンゴ125エバージョン ABSに装備されるスクリーンとフロントキャリアの使い勝手とは?


ジャンゴ125エバージョンにはウインドスクリーンとフロントキャリアが装着されています。ジャンゴシリーズにはグローブボックスがついてはいるものの、実質的にスマホを充電する為のスペースとなっているので、グローブの収納はできません。

フロントキャリアは物を挟んでおく事ができる

フロントキャリアは物を挟んでおく事ができる


ちょっとした買い物の際やパーキングでの休憩の際に便利なのがフロントキャリア。バネ式で挟んでおく事ができるのでグローブなど小物を挟んでおくのにピッタリです。

小ぶりだが実用性は抜群!

小ぶりだが実用性は抜群!


フロントスクリーンは小ぶりですが首下に当たる風を緩和してくれるので、特に長距離走行の際には疲れを軽減してくれる効果がありそうです。また試乗期間が梅雨時期だったこともあり雨に降られることが多かったのですが、小雨ぐらいだと太股が濡れるのを軽減する事ができました。雨風を緩和してくれるスクリーンはあらゆるシチュエーションでライダーをサポートしてくれそうです。


プジョーのスクーター ジャンゴ125の燃費や足つき性は?

ジャンゴ125undefinedサイドビュー

ジャンゴ125 サイドビュー


ジャンゴ125シリーズはモデルによって若干シートが異なりますが、どのモデルもシート高は770mm。シートは比較的前側が絞り込まれているのですがシート下のカウルが広がっているので足が若干広がってしまい数値よりも足つき性は悪い印象です。

ジャンゴ125のサスペンションは初期の沈み込み量を調整する事ができるプリロード調整機構が備わっていますがデフォルトのセッティングは一段階硬くなっていますので調整する事で乗車時のシート高を少し下げる事ができるでしょう。

ただプリロードの調整をするためにはサイドカウルとエアクリーナーボックスを外さないと駄目とのこと。ユーザーが自分でやるには敷居が高いので購入時にお店で調整してもらう事をオススメします。

燃費に関してはカタログに記載がなかったので実走行で調べてみたところ、私の走り方だと32.71km/Lでした。プジョーのスクーター、ジャンゴ125のガソリンタンク容量は8L。単純計算で261.68kmなので125ccクラスのスクーターとしてはトップクラスの連続航行距離といえます。


細かい装備の使い勝手も国産車とは異なる点に注意

ウインカー作動中独特な音がする

ウインカー作動中に独特な音がする


運転していて驚いたのはウインカーを出した際の音です。国産車の場合「カチッカチッカチッ」という音が鳴る事が多いですが、プジョーのスクーター、ジャンゴ125の場合は「ピー・ピー・ピー」という音が鳴ります。わりと目立つ音なので歩行者の方に見られる事がありました。よくあるウインカーの消し忘れはなくなるように思いますが慣れるまでは気になるかもしれません。

ウインカーはちょっと遠い印象

ウインカーはちょっと遠い印象


ウインカーの位置もハンドルから少し離れているので、ジャンゴ125に初めて乗った時は戸惑いました。一週間も乗っていると慣れますがはじめは注意が必要です。

たる型グリップは一回り太くなるので人によっては使い勝手が悪いかも

たる型グリップは一回り太くなるので人によっては使い勝手が悪いかも


ハンドルのグリップ部分はクラシックなバイクをカスタムする際にも使われる事が多いたる型グリップが採用されています。見た目はクラシックで良いのですが一回り太くなるので手の小さい人は慣れるまで少し時間がかかるかもしれません。


プジョーのスクーター ジャンゴ125の走行性能とは?

ジャンゴ125に搭載される空冷4ストロークSOHC2バルブ単気筒エンジンは出力に特化したエンジンではありません。国内メーカーの水冷4ストロークエンジンを搭載するホンダのPCXやヤマハのNMAXは最大出力12PSとなっていますが、ジャンゴ125は10.2PS/8500rpm。

ただ同じ空冷のエンジンを搭載しているモデルと比べてみると、意外にもパワフルなエンジンだという事がわかります。

プジョー ジャンゴ125 空冷4ストローク SOHC2バルブ単気筒エンジン 10.2PS/8500rpm
ヤマハ シグナスX 空冷4ストローク SOHC4バルブ単気筒エンジン 9.8PS/7500rpm
スズキ スイッシュ 空冷4ストローク SOHC2バルブ単気筒エンジン 9.4PS/7000rpm
ホンダ グロム 空冷4ストローク SOHC2バルブ単気筒エンジン 9.8PS/7000rpm

プジョーのスクーター ジャンゴ125はヨーロッパの体格の良い人が乗る事を想定して作られているからか車体はかなり大きめ。ですが実際に走ってみると思っていたよりもはるかにパワフルに加速します。それも谷がある加速ではなく法定速度までフラットに加速していく印象です。

クローズドのコースで加速してみたところ90km/hぐらいまではスルスルと谷もなく加速し、90km/hを超えると加速が鈍くなってきますが最高速は100km/hを超えます。

タイヤは前後とも12インチの同サイズが採用されている

タイヤは前後とも12インチの同サイズが採用されている


しかも走行中は非常に安定しており、直進安定性に優れている印象を受けました。タイヤは前後とも12インチ、幅120mmと原付二種クラスとしては標準的なサイズを装備していますが、前輪の中心から後輪の中心までの長さをあらわすホイールベースがやや長めの1350mmとなっています。一般的にホイールベースは長いほど直進安定性が高くなる傾向があるので顕著に特性に出ているとも言えます。

逆にホイールベースが長いと小回りしづらいと言われていますが気になるほどではありません。ただし前述したようにサスペンションがやや硬いセッティングになっているのでコーナーで旋回する際には若干きっかけが作りづらい印象はありました。

ブレーキは前後ともディスクブレーキを採用。車体が重いプジョーのスクーター、ジャンゴ125ですが、制動力は全く問題なし。フロントのみABSが採用されているので安心感もあります。


プジョーのスクーター ジャンゴ125の割り切ったデザインは国産車にはない魅力

ジャンゴ125undefinedリアビュー

ジャンゴ125 リアビュー


今回試せなかったリアサスペンションのプリロード調整ですが、実用性が求められる原付二種クラスの場合、国産車ならカウルやエアクリーナーボックスを外さなければ調整できない設計にしないはずです。

実用性や機能性を犠牲にしてもデザインを優先する考え方は海外車両ならではと言えます。今回特にこの車両を見せて反応が良かったのは女性でした。普段スクーターに興味を持たない仲間の女性も興味を示し、

「これ可愛いですね! どこのメーカーのですか?」
「プジョーだよ」
「えー、プジョーってスクーターも作ってるんですね! かわいい~」

というやり取りを数人としました。

日々色々なバイクに乗りますが、間違いなく女性受けナンバー1車両です。またデザイン的にいえば50ccの原付ならヤマハのビーノやホンダのジョルノなどクラシックデザインで女性受けしそうなデザインのスクーターがありますが、125ccの原付二種クラスには女性向けデザインのスクーターがありませんでした。

プジョーのスクーター、ジャンゴ125は文句なしに女性にオススメできる原付二種スクーターといえるでしょう。

ジャンゴ125のスペック

全長×全幅×全高 1925mm × 710mm × 1190mm
ホイールベース 1350mm
シート高 770mm
乾燥重量 129kg
エンジン 空冷4ストローク SOHC2バルブ単気筒
排気量 124.6cm³
内径×行程 52.4mm × 57.8mm
最高出力 7.5kW/8500rpm
最大トルク 8.9Nm/7000rpm
燃料供給方式 インジェクション
始動方式 セルフ式
燃料タンク容量 8.5L
変速方式 オート
サスペンション フロント:油圧式テレスコピック、リア:油圧式ショックアブソーバー(5段階調整可)
タイヤ フロント:120/70 – 12″、リア:120/70 – 12″
ブレーキ フロント:ディスク、リア:ディスク


ジャンゴ125関連リンク

ジャンゴ125のエンジン音やマフラー音はこちらの動画でご確認下さい

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