空いた時間のアルバイト程度の副業であれば、懲戒されるほどの問題にはならない
副業がバレるといっても、副業の程度で会社の対応は分かれてきます
一口に「副業」と言っても、その程度はさまざまです。
会社帰りの空いた時間や週末に数時間飲食店やコンビニなどでアルバイトをするのも副業ですし、スキルや知見、人脈を活かして他社で正社員や役員、顧問として勤務することも副業です。
さらには、自ら会社を設立してビジネスを開始するケースもあります。もはや他社で正社員として働いたり、会社設立をしたりというレベルまでになると副業と言ってよいのか迷うところですが……。
それでは、副業禁止の会社や、副業が許可制の会社で許可なく副業を行った場合はどうなるのでしょうか?
就業規則などに、会社の許可なく副業を行った場合の懲戒の定めが設けられていることがあります。とはいっても、どのような副業でも会社が懲戒できるわけではありません。この場合も副業がどの程度のレベルなのかが重要です。
副業が、空いた時間のアルバイト程度の場合であれば、会社に知れたところで、会社に実害が生じない以上は会社が何らかのペナルティを課すことは難しいでしょう。
会社帰りの空いた時間に3時間ほどアルバイトをしたからと言って解雇や減給する正当な理由とはいえません。
会社の勤務時間以外で何をするのかは社員の自由です。買い物をするのか、家で休むのか、お酒を飲みに行くのかを会社が禁止できないのと同じように、アルバイトを会社が禁止することはできません。
会社に知れたところで、会社に実害が生じていない以上、「生活費が足りなくて」と部下に言われて、「法的対応を取るぞ」と言える上司もなかなかいないでしょう。
勤務に問題が出る場合は、ペナルティがある時も
もちろん、アルバイトが深夜に渡って行われる結果、日中の業務時間中に寝てしまうなどであれば問題です。このような場合、あまりにも居眠り時間が長ければ、会社にその分欠勤扱いされても文句は言えません。しかし、これは勤務中に「働いていない」ことに対するペナルティであり、副業でアルバイトをしていることに対するペナルティではありません。深夜まで動画を見たり、ゲームをしたりして日常業務中に寝る社員と同じです。
アルバイトの副業については、会社に知れたところでペナルティなどを課すことは難しい、というのが結論です。とはいえ、職場の人との関係上の問題もあるので、同僚などには副業でアルバイトのことは黙っていた方が得策かもしれません。
会社の利益と相反するような副業には、必ず事前の許可を取るべき
副業が問題になるのは、会社の利益と相反するような副業です。具体的には、以下のような副業が考えられます。1)会社の業務と密接に関係する副業
例えば、プログラマーの社員が、別の会社でプログラミングを行う業務を受託するような場合です。
2)会社の売上や利益を奪うような副業
例えば、会社の取引先と、自分の副業のために取引するような場合です。
3)会社での地位などを利用して行う副業
例えば、○○社役員という肩書で、他社の顧問に就任するような場合です。
これらについては、行う前に必ず会社に確認をとるべきです。社員には、給料の対価として労働力を提供する、つまり働く義務のほかに、勤務時間外でも会社の不利益になることをしない「忠実義務」や、業務上知ったことは社外に漏らさないという「守秘義務」も求められます。
特にこの手の副業の場合、会社内である程度の地位にいる社員が行う場合が多いので、会社の許可なく行った場合や、許可があっても会社に損害を与えた場合には、会社側の対応も解雇など、それなりの重いものになる可能性があります。
会社の許可を受けた場合でも、どの範囲で許可されているのかを必ず確認して、その範囲を順守しなければなりません。