相続・相続税/相続・相続税の基礎知識

平成30年最新版 相続税の小規模宅地等の特例(2ページ目)

相続税を安くすることができる「小規模宅地等の特例」。その効果は大きく、可能な限り適用を受けたいものです。一部改正もありましたので今回は平成30年最新版として、かつ分かりやすく解説します。

小野 修

執筆者:小野 修

相続・相続税ガイド

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特定居住用宅地等(被相続人の自宅)の要件

各種特例の中でも最も多く適用されている特例で、以下のいずれかに該当することが要件です。
  • 取得者が「配偶者」であること。
  • 取得者が「同居親族」であり、申告期限まで居住し、かつ所有していること。
  • 被相続人に配偶者が無く、かつ相続人と同居をしていない自宅で、取得者が3年以内に「持家」に居住しておらず、かつ申告期限まで所有していること。なお「持家」には、取得者の配偶者の所有、3親等内の親族が所有、同族会社が所有、取得者が過去(3年超であっても)に所有していた家屋、が含まれます。

特定居住用宅地等(被相続人の生計一親族の自宅)の要件

被相続人自身の自宅でなくても生計一親族の自宅であり、以下のいずれかに該当すれば適用が可能です。
  • 取得者が「配偶者」であること。
  • 取得者が「生計一親族」であり、申告期限まで居住し、かつ所有していること。

特定事業用宅地等(被相続人の事業)の要件

被相続人の貸付事業以外の事業の宅地に適用できます。
  • 取得者が申告期限までに事業を引き継ぎ、申告期限まで事業を継続し、かつ所有していること。

特定事業用宅地等(被相続人の生計一親族の事業)の要件

被相続人の生計一親族の貸付事業以外の事業の宅地に適用できます。
  • 取得者が「生計一親族」であり、相続開始以前から申告期限まで事業を継続し、かつ所有していること。

特定事業用宅地等(郵便局舎の宅地)の要件

日本郵便株式会社に貸し付けられている一定の郵便局舎の敷地の用に供されている宅地等も特定事業用宅地等に該当します。
  • 取得者が建物取得者または建物所有者であり、平成19年9月30日以前から相続開始直前まで賃貸しており、相続開始以後5年以上継続する見込みであることの総務大臣の証明書があること。なおこの特例は1代限りの適用です。

特定同族会社事業用宅地等の要件

同族会社の貸付事業以外の事業の宅地に適用できます。
  • その同族会社に相当の対価で土地または建物を賃貸しており、取得者が申告期限においてその会社の役員であり、かつ申告期限まで所有していること。

貸付事業用宅地等(被相続人の貸付事業)の要件

被相続人の貸付事業の宅地に適用できます。
  • 取得者が申告期限までに事業を引き継ぎ、申告期限まで事業を継続し、かつ所有していること。なお被相続人が3年を超えて事業的規模で貸付事業を行っておらず、かつ3年以内に貸付事業の用に供された宅地にはこの特例は適用できません。

貸付事業用宅地等(被相続人の生計一親族の貸付事業)の要件

被相続人の生計一親族の貸付事業の宅地に適用できます。
  • 取得者が「生計一親族」であり、相続開始以前から申告期限まで事業を継続し、かつ所有していること。なお生計一親族が3年を超えて事業的規模で貸付事業を行っておらず、かつ3年以内に貸付事業の用に供された宅地にはこの特例は適用できません。

特例を適用する場合の限度面積の算出のしかた

小規模宅地等の特例には適用できる面積に上限があります。有利なところから選択して適用が可能です。
  1. 特定事業用と特定同族会社事業用に適用する場合は合計で400平米まで
  2. 特定事業用または特定同族会社事業用(もしくは併用)と特定居住用に適用する場合は1.に特定居住用の上限330平米を合わせて730平米まで(併用できる)
  3. 貸付事業用と併用する場合は、(特定事業用+特定同族会社事業用)×200/400+特定居住用×200/330+貸付事業用=200平米まで


できるだけ分かりやすく説明したつもりですが、そもそもの要件が複雑なためやはり分かり辛いですね。小規模宅地の特例は影響が大きいので間違ったら大変ですし、また条件によっては改正前の要件で適用できる場合もありますので、判断に迷うようでしたら相続税に強い税理士に確認してもらうことをお勧めします。

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